たMH17便に戻すことにします。MH17便撃墜事件の事実を
再現します。
─────────────────────────────
2014年7月17日、オランダ・スキポール空港からマレー
シア・クアラルンプール国際空港に向かっていたMH17便が巡
航飛行中の17時15分頃(現地時間)、何者かによってミサイ
ルで撃墜されたのです。墜落場所は、ウクライナ・ドネツィク州
グラボヴォ村です。グラボヴォ村は、ロシアとの国境からおよそ
40キロ離れたところにあります。
MH17便の機種は、ボーイング777─200ER、なんと
MH370便と同一機種です。つまり、約4ヶ月の間に同じ航空
会社の同型機が相次いで事故を起こしたことになります。こんな
ことは普通では起こり得ないことです。
撃墜されたMH17便には、乗客283人、乗員15人、合計
298人が乗っており、全員死亡。撃墜による航空事故では史上
最悪の死者数といわれています。
──2015年11月2日付/EJ第4150号より
─────────────────────────────
この事件に関してウクライナ政府は、MH17便はロシア軍に
撃墜されたと主張し、その証拠として「軍用機と旅客機を間違え
て撃墜してしまった」という音声記録を入手していることを明ら
かにしています。
一方、ロシアは「旅客機はウクライナ軍が撃墜した」と主張し
内戦中の2つの対立勢力がお互いに相手のせいであるといいあっ
ていますが、本当の犯人は別にいるのではないかという説も囁か
れています。
撃墜されたMH17便が撃墜されたとき、高度1万メートルの
上空を飛行していたのです。まず、この飛行機をどのようにして
撃墜できるのかについて考えてみます。
高度1万メートルを飛行する旅客機を地上から撃墜するには、
比較的規模の小さい地対空ミサイル防空システムで可能です。こ
のシステムは目標がどのあたりにいるのかを探す捜索レーダー、
より精密に照準をつける射撃統制レーダー、発射などのコントロ
ールを行う指揮所、そして実際にミサイルを発射するランチャー
が必要です。これに該当するのが旧ソ連製の「ブーク防空システ
ム」です。
軍事アナリストの小泉悠氏は、このブーク防空システムについ
て、次のように述べています。
─────────────────────────────
ブーク防空システムは、高速で進撃する戦車部隊が敵の空襲を
受けないよう上空を防護することを任務として開発されたため、
ミサイル、レーダー、指揮所などはすべて移動可能なプラット・
ォーム(キャタピラ式のシャーシやトラックなど)に搭載され、
進撃する部隊に合わせて移動することが可能だ。
性能については、バージョンやターゲットによって違いがある
ものの、ソ連軍で標準的に使用されていた「ブークM1」シリー
ズならば概ね30〜35キロメートルの射程があり、高度2万〜
2万5000メートルまでのターゲットを攻撃できる。
http://bit.ly/1n19Fmy
─────────────────────────────
確かに、これほどの性能のあるブーク防空システムであれば、
高度1万メートルの上空を飛行していたMH17便を撃墜するこ
とは十分可能ということになります。
もちろん見えない敵機に対して、電波だけを頼りに攻撃をする
のですから、間違って民間機を撃墜してしまうことは、これまで
にもあったのです。
1988年7月3日にホルムズ海峡に停泊していた米海軍のミ
サイル巡洋艦「ヴィンセンス」が、地対空ミサイルによって、バ
ンダレ・アッバース発ドバイ行きのイラン航空のエアバスA30
0B2を撃墜した事件があります。これによって乗客乗員290
人が全員死亡しています。事件後、米国側は遺族に賠償金を支払
い、謝罪しています。
さらに2001年10月、演習中のウクライナ防空軍が発射し
た地対空ミサイルが、誤ってロシアのシベリア航空1812便を
撃墜し、乗客乗員78人が犠牲になっています。しかし、ウクラ
イナ側は関与を否定していますが、このように地対空ミサイルに
よる事故は多いのです。
2014年10月13日、MH17便撃墜の原因の調査を主導
するオランダ安全委員会は、最終報告書を発表し、MH17便は
ウクライナ東部から発射されたロシア製ミサイルに撃墜されたと
結論づけています。これについて、2014年10月14日付/
朝日新聞は次のように報道しています。
─────────────────────────────
ロイター通信によると、2014年6月までウクライナの調査
責任者を務めた治安当局関係者は、「マレーシア機を撃墜したミ
サイルシステムは、高度な技術力のある要員とともに、ロシアか
ら送られたと確信している」と語った。
ウクライナ東部では、政府と親ロシア派が2014年2月、ウ
クライナとロシアにドイツ、フランスを交えた4首脳会議を経て
停戦に合意。しかし、戦闘は続き、9月にやっと小康状態になっ
た。(中略)今後の捜査で撃墜事件へのロシアの関与に踏み込め
ば、停戦合意の履行に影響が出ることも考えられる。
──ブリュッセル=吉田美智子、モスクワ=駒木明義
─────────────────────────────
調査委員会は、ミサイルを発射した主体には言及していないも
のの、暗にロシア側の関与を強く示唆しています。しかし、世界
中で何が起きているかを素早く、正しく探知する能力を持つ米国
がこの件につき黙っているのは奇異な感じがします。
──[航空機事故の謎を探る/043]
≪画像および関連情報≫
●プーチン大統領機を狙ったのではないか?
───────────────────────────
東ウクライナで自ら独立を宣言しているルガンスク人民共
和国報道部は「マレーシア航空機ボーイング777を撃墜し
たのは、ウクライナ空軍の攻撃機スホーイ25型機である」
と伝えた。
ルガンスク人民共和国報道部は又次のように発表した―─
「旅客機ボーイング777の飛行を見守っていた現地の人達
は、同機をウクライナ空軍機が攻撃する様を目撃した。攻撃
を受けた後、同機は空中で真っ二つになり、ドネツク人民共
和国領内に落下した。攻撃後、ウクライナ空軍機は撃墜され
こちらはルガンスク人民共和国領内のクラスヌィ・ルーチ地
区に落下した。現在「撃墜された旅客機」の捜索活動が続け
られている」。
ロシア・イタルタス通信は消息筋の話として、17日に撃
墜されたマレーシア航空MH17便がロシアのプーチン大統
領専用機とほとんど同様の航空路を飛行したと伝えた。ロシ
ア・トゥデイが報じた。同氏は「プーチン大統領の専用機が
マレーシア航空のボーイング777型旅客機とほとんど同じ
航空路を飛行した。マレーシア航空機はモスクワ現地時間午
後3時44分に、プーチン大統領専用機は午後4時21分に
そこを通った」と語り、「2機の外観、カラーなどがほとん
ど同じで、2機の区分けをするのは難しい」と付け加えた。
http://bit.ly/1NTSCMk
───────────────────────────
ブーク防衛システム


