2015年10月26日

●「ハイジャックの要件に該当しない」(EJ第4145号)

 MH370便の失踪事故──ザハリエ機長によるハイジャック
でないとすると、マレーシア航空370は、一体どこに行ってし
まったのでしょうか。
 マレーシア政府は、今回のMH370便の失踪事故は、あくま
でハイジャック事件であるとしています。何者かが370便をハ
イジャックし、機をあらぬ方向へ誘導し、最後は燃料切れで海に
墜落したということで、幕引きをしたいようです。
 航空機のハイジャック事件について、杉江弘氏は次のように述
べています。
─────────────────────────────
 これまで我々は何度となくハイジャック事件を経験してきた。
そこでは、コックピットを支配下に置き、乗客乗員を人質に取り
要求が突きつけられる。そして乗っ取った航空機を関連する当局
と交渉しやすい飛行場に着陸させるというパターンであった。そ
れは、背景に政治や宗教が絡んでいたケースが多い。(中略)
 このように、ハイジャック事件はさまざまな原因によって引き
起こされてきたが、共通していることは、「それほど長時間の飛
行はしない」ことと、「目的地はどこかがはっきりしていた」こ
とだ。                    ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 しかし、MH370便の場合、これをハイジャック事件とする
と、杉江弘氏の上げるハイジャック事件の要件には該当せず、次
の3つの不可解なことがあります。
─────────────────────────────
 1.MH370便が離陸直後に全ての通信手段を切断し、何
   の要求もしてこない。
 2.予定された針路を大幅に変更し、燃料切れまで、長時間
   の飛行を行っている。
 3.MH370便の飛行の最終目的地が、どこであるのかは
   はっきりしていない。
─────────────────────────────
 不可解なのは機側が全ての通信手段を切断していることです。
エイカーズは切断されておらず、通信できるという説もあります
が、もしこの失踪劇がハイジャック事件であるとすれば、何の要
求も出してこないのは不可解です。もし、ひそかに当局に要求を
出してきていれば、マレーシア当局は発表するはずですが、何の
発表もないのです。
 さらにわからないのは、どこを目指して飛行しているかです。
杉江氏によれば、もしハイジャック事件であるならば、次の3つ
の飛行コースが考えられるというのです。
─────────────────────────────
      1.マレー半島北西に向って飛行する
      2.インド洋を西に向かって飛行する
      3.インド洋を南に向かって飛行する
─────────────────────────────
 第1は「マレー半島北西に向って飛行する」コースです。
 マレー半島を北西といえば、アンダマン海に向うことになりま
す。アンダマン海とは、インド洋の縁海で、マレー半島とアンダ
マン諸島、ニコバル諸島との間の海の名称です。この方向であれ
ば燃料切れで着陸する場合、タイ、ミャンマー、バングラデシュ
それにインドの沿岸にある複数の空港を利用できます。しかし、
各国のレーダーに捕捉されることになります。
 第2は「インド洋を西に向かって飛行する」コースです。
 ここは強い偏西風が向かい風で吹いているので、燃料に問題は
あるものの、インド南部のチェンナイ(マドラス)、スリランカ
のコロンボ、モルディブなどに到達することができます。もちろ
ん、このコースもレーダーに捕捉されます。
 第3は「インド洋を南に向かって飛行する」コースです。
 インド洋を南下すると途中インドネシアのジャカルタやココス
島、それにオーストラリア西側の海沿いには、いくつかの空港は
あるものの、もっと南下してしまうと、一面海であり、着陸でき
るところは何もないのです。
 通信衛星などの解析によると、MH370便はマレー半島を西
に飛行し、いったん北西に針路をとって、それから南に変針して
インド洋南部に向っています。これは明らかにクアラルンプール
や、インドネシア領スマトラ島北部のメダンのレーダー基地を避
けて飛んでいることは確かです。レーダーを避けるにはレーダー
基地から200マイル(360キロメートル)以上離れている必
要があります。
 MH370便とみられる目撃情報はひとつあるのです。それは
インド洋上の島、モルディブの南180キロメートルにある人口
1000人ほどのクダフバドウ島での目撃情報です。MH370
便が失踪した8日の情報です。2014年3月19日のAFPは
次のように伝えています。
─────────────────────────────
 インド洋の島国モルディブで、マレーシア航空MH370便が
消息を絶ったのと同じ日に、「低空を飛行する大型ジェット機」
が目撃されていたと報じられたことを受け、地元警察が調査を開
始した。警察は18日夜の声明で、3月8日にクダフバドゥ島の
住民が上空を飛ぶ大型の飛行機を目撃したと伝えたニュースサイ
ト「ハビール」の報道を調査していると発表した。
 ハビールによると、同島の住民は、複数の赤い線が入った白塗
りの飛行機が、モルディブの南端に向けて飛んでいくのを見たと
いう。目撃者の1人は同サイトに対し、「この島の上をあんなに
低く飛ぶジェット機は見たことがない。水上飛行機なら見たこと
があったが、それとは絶対に違った。飛行機のドアもはっきり見
えるほどだった」と語った。      http://bit.ly/1XpDFIM
─────────────────────────────
           ──[航空機事故の謎を探る/020]

≪画像および関連情報≫
 ●「インターナショナル・ビジネス・タイムス」より
  ───────────────────────────
   マレーシア航空370便がハイジャックされたとすれば、
  以前ハイジャックされてインド洋に墜落したエチオピア航空
  ボーイング767型機961便と類似している。
   1996年11月23日、ボンベイからアビジャンへ複数
  の空港を経由しながら飛行していたボーイング767が、ア
  ジスアベバとナイロビ間でハイジャックされた。3人のエチ
  オピア人が政治的亡命を理由にオーストリアまでの飛行を要
  求した。事件後、生存者の供述によると、犯人3人は機内の
  雑誌に「961便がオーストリアまで航続可能」と載ってい
  るのを見たという。あくまでも燃料を満載した場合であり、
  エチオピアからケニアまでの短時間飛行の燃料では無理だと
  いう乗務員の説明を信じようとしなかった。
   機長は3人のエチオピア人をうまく騙しながらアフリカ海
  岸を南下して、インド洋のコモロ島まで飛行を続け、どこか
  で緊急着陸ができないかチャンスを待った。しかしコモロ島
  の空港付近まで飛行した時点で燃料が切れ、同機は海上に着
  水するしか方法はなくなった。着水の間際に、犯人たちがパ
  イロットに暴力を振るったため、悲劇的な着水になり、乗客
  175人中125人が死亡する惨事となった。
                   http://bit.ly/1KwkP9C
  ───────────────────────────
 ●地図出典 http://bit.ly/1LMYy9B 

MH370便目撃場所.jpg
MH370便目撃場所
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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