を取得したことを発表したのです。この発表は大きな反響をもた
らしたのです。多くのマスコミは「JAVAとサンの勝利」と報
じたのですが、ビジネス・ウィーク誌は「マイクロソフト/サン
に降伏」とまで書いたのです。
しかし、結果としてサンが世界最強のソフトウェア会社にライ
センスを供与したのは失敗だったのです。といってOSで最大の
シェアを持つマイクロソフト社にライセンスを供与しないと普及
を加速できないという事情もあったことは確かです。
マイクロソフト社としては、JAVAの標準を自社のOSに取
り込み、その機能を拡張しようとしたのです。もし、マイクロソ
フト社がこれに成功すると、そこに「マイクロソフトJAVA」
が誕生することになり、サンの「非マイクロソフトJAVA」と
対立の構図を示すことになります。
こうなると、王者マイクロソフト社の「マイクロソフトJAV
A」が優勢になるのは避けられなくなります。その証拠にマイク
ロソフト社が反撃を宣言した同じ1995年12月に「アクティ
ブX(ActiveX)」という新技術を発表しているからです。
「アクティブX」とは何でしょうか。なぜ、JAVAと競合す
るのでしょうか。
「アクティブX」について詳しく説明するのは避けますが、大
まかにどういうものかについては知っておいても損はないと思う
ので、誰でもわかるようにやさしく説明します。
アクティブXは、マイクロソフト社のウインドウズ・アプリケ
ーションで幅広く使われているOLE(オーレ)という技術をす
こしひねったものなのです。この「ひねった」という表現は、ア
クティブXのマーケティング担当者が使った表現です。
「ワード」で作成した文書に、エクセルで作ったグラフを挿入
することができますね。後になって、グラフを新しいデータで作
り直したい場合、「ワード」の文書に貼りつけてあるグラフをダ
ブルクリックすると、自動的にグラフを作成したエクセルのワー
クシートが表示されます。このアプリケーション連携技術がOL
Eなのです。OLEは次の言葉の省略形です。
―――――――――――――――――――――――――――――
OLE = Object Linking and Embedding
―――――――――――――――――――――――――――――
もし、OLEがないと、新しいデータのグラフをいちいち作成
して貼り替える必要があります。アクティブXは、OLEをイン
ターネットに対応させたものなのです。アクティブXはJAVA
と同じように、ウェブサイトの開発者がページに機能コードを加
えるだけで、ウェブ・ブラウザからそれを取り出して、実行でき
ることを可能にするのです。
このOLEの技術の根底にはCOM――コンポーネント・オブ
ジェクト・モデルというものが存在します。少し難しくなってし
まいますが、OLEは、コンテナと呼ぶ台紙上にCOMを貼り付
けたものをひとつのファイル――コンパウンド・ファイルとして
まとめて扱う技術なのです。
もうひとつ、イメージだけでも知っていただきたものがOCX
――OLEカスタム・コントロールという概念です。これは、次
の省略形です。
―――――――――――――――――――――――――――――
OCX = OLE Custom Control
―――――――――――――――――――――――――――――
ちょっとわかりにくいのは、頭文字をとると、OCCになるの
に、なぜOCXなるのかということです。実はこの「?」は「そ
の他大勢」とか「その他の総称」の意味になるのです。アクティ
ブXの「?」も同様の意味です。
ウインドウズは、次の3つの基本技術が集積されたものと考え
ることができますが、そのなかにOCXが入っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.OCX
2.DocObject
3.Visual Basic
―――――――――――――――――――――――――――――
すべてのウインドウズ・アプリケーションは、一枚のメインと
なるウインドウの上にさまざまなウインドウを重ねて作られてい
ます。画面上にあらわれるものはすべてウインドウなのです。ボ
タンも文字を表示するラベルも、またウインドウをスクロールす
るスクロールバーもすべてウインドウなのです。
これらのウインドウがそれぞれOCXなのです。OCXは各機
能ごとに存在し、それぞれがOLEのテクノロジーを利用して、
かつCOMの集まりから成り立っているのです。
それでは、ドックオブジェクトとは何でしょうか。
ワードで文章を作成しながら、図や絵を入れたい場合、ワード
で図を描くアプリケーションが必要になります。もし、ドックオ
ブジェクトを使用しないと、別々にアプリケーションを起動させ
文章と図をそれぞれ完成させ、別のファイルに保存したうえ、そ
れらを統合するという面倒なことをしなければなりません。
しかし、ドックオブジェクトを使うと、文章を書くときはワー
プロ機能になり、図を描くときは図を描くアプリケーションにな
る――そしてこのときの文章と図は同じファイルに保存されるの
です。これを実現しているのがドックオブジェクトなのです。
3つ目のビジュアルBASICというのは、ウインドウズ・プ
ログラミングのための言語です。これらのウインドウズ上のテク
ノロジーと、HTTPなどのネットワーク・プロトコルなどのサ
ポートなど、インターネット上でデータをやりとりするテクノロ
ジーを融合したもの――これがアクティブXの正体なのです。
いずれにしてもこれを使うと、マイクロソフト独自のWWWの
世界ができるのです。ソフトウェアで圧倒的なシェアを持つ企業
の強みです。 ―― [インターネットの歴史 Part2/53]
≪画像および関連情報≫
・JAVAとアクティブXの基本的な違い
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JAVAとアクティブXには根本的な違いがある。それは、
JAVAはコンピュータ言語であるが、アクティブXは言語
ではなく、ソフト間の通信と連携のためのインフラであると
いうことである。したがって、アクティブXはC++という
言語で書かれているが、JAVAで書くこともできる。これ
は、大きな違いといえる。
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