2015年10月21日

●「機長が機をハイジャックしたのか」(EJ第4142号)

 MH370便の機長であるザハリエ・アハマド・シャー氏に関
しては、次の3つの疑惑があります。
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 1.ザハリエ機長は反政府活動家で、遠縁に当たるアンワル
   元副首相の熱烈なる支持者である。
 2.事件の前日である3月7日に、ザハリエ機長の家族は住
   居を他の場所へと移動させている。
 3.ザハリエ機長はフライトシュミレーターを個人所有して
   おり、複数空港が登録されていた。
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 ネット上の複数の情報を集約すると、ザハリエ機長は3月7日
の午後にアンワル元副首相の裁判を傍聴しています。そこで、ア
ンワル氏に対して懲役5年の実刑判決が出されています。アンワ
ル氏の弁護団は、直ちにマレーシア連邦裁判所に上告しているの
で、アンワル氏はそのときは収監されていないのです。
 このあと3時間後にザハリエ機長は、MH370便に乗り込ん
でいます。当日の深夜にMH370便に乗務するのであれば、こ
れは当然の行動です。ところが、ザハリエ機長はその日、MH3
70便に乗務する予定になっていなかったという情報があるので
す。真偽のほどはわかりませんが、そのことは、MH370便が
失踪した後で、アンワル元副首相自身がそのように発言したこと
になっています。
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 2014年3月19日、新京報によると、マレーシアの野党指
導者、アンワル・イブラヒム元副首相は、不明となっているマレ
ーシア機のザハリエ機長は、もともとMH370便に乗る予定は
なかったとしている。アンワル氏によれば、直前の変更により、
同便を担当することになったという。
        ──レコードチャイナ/2014年3月20日
─────────────────────────────
 もし、これが本当であるとすると、失踪事件の様相が大きく異
なってきます。しかし、このことはマレーシア当局からの発表は
一切ないし、情報元の信頼性から考えても、その信憑性は低いと
考えられます。
 もうひとつ情報があります。2014年3月23日に、アンワ
ル元副首相の妻のワンアジザ氏がスランゴール州議補選で当選し
ているという事実です。
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 マレーシアで人口最大のスランゴール州議補選が23日投開票
され、野党指導者アンワル・イブラヒム元副首相の妻で、野党の
人民正義党の元党首ワンアジザ氏(61)が当選した。
 スランゴール州は野党連合の地盤。アンワル氏は当初、今回の
州議補選に立候補し、州首相に就任して足場を固め、次期総選挙
で政権奪取をめざす考えだった。しかし今月7日、上訴裁判所が
同性愛行為の罪でアンワル氏に、一審の無罪判決から一転、禁錮
5年の実刑判決を言い渡し、ワンアジザ氏が代わりに立候補して
いた。 ──(クアラルンプール=都留悦史)朝日新聞デジタル
                   http://bit.ly/1NjTfB4
─────────────────────────────
 この時点でアンワル氏は、同性愛の罪で懲役5年の実刑判決を
受けているのです。こういう状況下で、刑はまだ確定していない
ものの、その妻がマレーシアで人口最大のスランゴール州議補選
で当選しているのです。日本なら考えられないことです。
 これは、与党のナジブ政権の評判がきわめて良くないことが影
響していることと、裁判の判決が明らかに政治的なものであるこ
とを国民がよくわかっているからです。それに加えて、同性愛者
の人権が世界的に尊重される時代になっており、マレーシア国内
でも同性愛者が急増している背景があり、一審で無罪判決を受け
ているアンワル氏が二審で懲役5年の実刑判決は厳し過ぎると多
くの国民が感じているのです。
 このようなマレーシアの政治事情から、アンワル元副首相の熱
烈な支持者であるザハリエ機長が、8日に裁判所から下されたア
ンワル氏に対する裁判の判決がきわめて不当なものであることに
憤激したことは十分理解できます。
 そのため、ザハリエ機長がMH370便をハイジャックし、政
府と何らかの交渉をしたのではないかという説がリアリティを持
ちつつあります。多くの乗客乗員を人質に取り、「要求に応えな
ければ海に突っ込み、自爆するぞ」と脅したのではないかという
説です。考えられる要求は「ナジブ政権の退陣」です。
 しかし、MH370便は、すべての通信手段が切断されていた
といわれています。それなら、どのような手段で、ザハリエ機長
は、政府と交渉できたのでしょうか。これについて、杉江弘氏は
次のように述べています。
─────────────────────────────
 エーカーズは切断されておらず、それは無線を除けば、残され
た貴重な通信手段ではなかったのか。そうだとすればコックピッ
トの中の人間とマレーシア当局との問で、なんらかの交渉が行わ
れていた可能性がある。
 「犯人」側から政治的あるいは個人的な要求が出され、それに
ついてマレーシア政府の首脳が協議していた可能性である。そう
でなければ、北京へ向かっていたMH370便が突如左旋回して
6時間40分もの間飛び続ける理由がいったいあるのか。
                       ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 このように杉江氏は、エイカーズは生きており、それによって
ザハリエ機長は、政府と何時間にもわたって交渉した可能性があ
ると述べています。もし政府が、MH370便とそういう交渉が
あったことは伏せておきたかったとすれば、発表する情報を絞る
のは当然です。    ──[航空機事故の謎を探る/017]

≪画像および関連情報≫
 ●機長ハイジャック説のロジック盲点/立花聡ブログより
  ───────────────────────────
   マレーシア航空MH370便の墜落事故、中国系サイトで
  多数見た「マレーシア政府陰謀説」。マレーシア航空MH3
  70便の機長と副機長がマレーシア政府に対しアンワル元副
  首相の釈放を求め、交渉決裂の末、燃料切れで南インド洋に
  墜落したという説。マレーシア当局の今回の対応不備、一連
  の顕在的事象、表象を積み上げると、このような結論があっ
  たのだろう。厳密なロジック推理であろうか、少しでもまと
  もに考えると、矛盾がいっぱい出てくる。私はパイロットで
  はないが、一般常識に基づいて犯人とされる機長と副機長の
  目線を試みる。
   まず、対象便、対象ルートの選択。「交渉」というプロセ
  スを中心にハイジャックを行うわけであって、特にこのよう
  な重大な交渉内容だと、政府関連の調整には時間がかかる。
  無着陸の交渉であればなるべく飛行時間の長い欧米線がよい
  のではないか。北京便は燃料が8時間弱しか積んでいない。
  実質的に6時間ほどの交渉で妥結できるのか。ほぼ絶望的で
  あろう。そして、通常1回ないし2回の着陸を伴い、地上交
  渉も含めた数十時間のものを想定するのなら、南ルートより
  も北ルートのほうがはるかに有利であろう。交渉がぎりぎり
  で妥結しても、南ルートだとそれこそ、着陸する滑走路皆無
  の南インド洋を飛んで何の意味もないのではないか。
                   http://bit.ly/1ZQsRpj
  ───────────────────────────

ザハリエ機長.jpg
ザハリエ機長
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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