踪機に関する次の4つの事実を示しておきます。
─────────────────────────────
1.マレーシア航空とマレーシア政府はMH370便に関す
る情報を異常なほど隠している。
2.MH370便がクアラルンプール管制から外れたあとは
地上との連絡を一切絶っている。
3.MH370便が行方不明になってから1年6ヶ月になる
が現在も行方不明のままである。
4.2015年7月にレユニオン島で、MH370便とみら
れる翼の一部が発見されている。
─────────────────────────────
「MH370便に関する合理的な説」と題する20年の経験を
持つカナダ人のベテランパイロット、クリス・グッドフェロー氏
のレポートがあるので、要約してご紹介します。
MH370便がクアラルンプール空港を中国北京空港に向けて
出発したのは2014年3月8日、午前0時42分です。約20
分後、副操縦士による管制への「おやすみ」のメッセージの後で
ベトナム沖の上空付近で機影が管制レーダーから消えています。
失踪2日後になって、マレーシア空軍のレーダーが、機体がマ
レー半島を超えて南西に向かい、マラッカ海峡に進んだことを捉
えていることが報道されます。つまり、MH370便は大きく左
旋回したことになります。
なぜ、左旋回したのでしょうか。これは機に何らかの異常が生
じたことをあらわしています。考えられるのは、機内火災です。
最も可能性があるのは、漏電による火災です。
機内火災を探知した機長がまずやったことは、メインバス(主
要な回路)を遮断し、そのうえで回路をひとつずつ回復させ、問
題の回路を分離することです。
主要な回路が遮断されると、トランスポンダーなどの通信機器
も停止されることになります。トランスポンダーが切断されたの
は、これが原因ではないかと思われます。ということは、離陸し
てから約1時間後に異常に気がついたということになります。管
制と最後の連絡をした直後です。
もうひとつ考えられる火災の原因は、前輪の着陸用タイヤのひ
とつが離陸時に過熱し、ゆっくりと燃えていった可能性です。こ
れは、タイヤの空気圧が足りないことが原因で、発生することが
多いのです。
MH370便の機長は、ザハリ・アフマド・シャー氏で、1万
8000時間の飛行経験を持つ熟練したパイロットです。こうい
う古参パイロットは、つねに緊急事態に備えて、最も近い避難空
港を意識して飛行するよう訓練されています。
シャー機長は、マレーシア北部のランカウイ島にある国際空港
への直行ルートをとったのではないかとグッドフェロー氏は考え
たのです。この空港は、海上からアプローチ可能で、障害物のな
い3962メートルの滑走路を有しているまで、ボーイング77
7は十分着陸できます。ランカウイ国際空港の位置を、グーグル
アースで示しておきます。
─────────────────────────────
◎ランカウイ国際空港 http://bit.ly/1P9JMPU
─────────────────────────────
しかし、煙が機内に充満し、乗員乗客は意識を失い、ランカウ
イ国際空港に着陸できず、墜落したというのがグッドフェロー氏
の推理です。これに関して、杉江弘氏もグッドフェロー氏の説を
自著で取り上げ、次のように述べています。
─────────────────────────────
MH370便は離陸直後に火災に見舞われ、機長は最も近い飛
行場であったマレーシア北部のランカウイ国際空港への避難を決
めた。出発地のクアラルンプールに引き返すためには約2400
メートルの山を越える必要があったため、海上からスムーズに進
入可能なランカウイを選んだ。
しかし、やがて通信械器がダメージを負い、通信が途絶えてし
まった。トランスポンダーやエーカーズが使用できなくなったの
はこのためであろう。その後、乗務員は煙に巻かれて意識を失っ
た。機は自動操縦装置によって飛行を続けたものの、燃料切れ、
もしくは、延焼で操縦系統が破壊され、最後には墜落に至った。
以上がグッドフェロー氏の推測である。1998年に起きたス
イス航空111便のケースでも、離陸して1時間後に機内で火災
が発生して、通信機能が遮断された。近くの空港に緊急着陸しよ
うとしたが、最終的には大西洋に墜落している。 ──杉江弘著
『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
「ゾンビプレーン」という言葉があります。パイロット全員が
機内火災で意識を失い、自動操縦装置が代わりに燃料切れまで航
空機を操縦し、最後は自動操縦装置も外れ、失速して墜落するこ
とをいうのです。ゾンビプレーン──いやな言葉です。つまり、
グッドフェロー氏は、MH370便はゾンビプレーンになったの
ではないかと推理したのです。
この推理に立つと、冒頭のキーの2〜3には該当します。通信
手段が使えなくなったこともスムーズに説明がつくし、左旋回し
た理由も緊急避難で説明できます。4も機体の一部がレユニオン
島に流された可能性はゼロではないのです。
しかし、1には該当しないのです。機内火災はあくまで偶発的
な事故であり、マレーシア当局が情報を隠蔽する必要はまったく
ないからです。マレーシア当局は当事者であるので、ローデータ
は当然として、知っている情報はすべて提供して航空機の捜索に
協力すべきです。しかし、マレーシア当局はそれと真逆の方針を
取り、情報を小出しにして、墜落場所をいたずらに拡散させ、機
を発見されないようにさえしたフシがあるのです。何がそうさせ
てたのでしょうか。 ──[航空機事故の謎を探る/013]
≪画像および関連情報≫
●マレーシア航空機はゾンビプレーン!?
───────────────────────────
マレーシアのナジブ首相が緊急会見し、消息不明の航空機
についてイギリスの衛星データを解析した結果、航空機は、
オーストラリア・パース沖のインド洋南部で墜落したとの見
方を示した。墜落の情報は乗客の家族に伝えられた。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎は、「可能性が高い」と
話した。これまで浮上したさまざまな見方は、「乗客による
テロ」「機長や副操縦士による意図的なもの」「何らかの事
故」となっているが、墜落原因について、新たな「ゾンビプ
レーン」という見方が出てきた。
墜落原因について新たな「ゾンビプレーン」とは、何らか
の原因で機長と副操縦士の両方が意識を失い、操縦不能とな
った状態で燃料が尽きるまで飛び続ける状態のことをいう。
2005年に「ゾンビプレーン」による事故が実際に起きて
いた。乗客乗員121人を載せたキプロスからギリシャに向
かっていた旅客機が山に墜落した。墜落前に異常があり、目
的地のアテネ空港に接近しても着陸態勢に入らず、管制塔と
の通信も途絶えている。ギリシャの空軍機が旅客機に近づき
操縦室を確認したところ、操縦室でうつむいたまま動かない
副操縦士を目撃し、機長の姿はなかったという。約1時間旋
回を続けた後に燃料切れで墜落した。原因は、気圧維持装置
が誤ってマニュアルポジションになっていたが気付かず、離
陸後表示された警告を確認せず上昇し、乗務員が低酸素で意
識不明のまま自動操縦が続けられ燃料が尽き墜落したとみら
れている。 http://bit.ly/1GDQWUL
───────────────────────────
●図の出典 http://bit.ly/1iTC1MC
ベテランカナダ人パイロットの推理


