2015年10月14日

●「どのぐらいの燃料を積んでいたか」(EJ第4137号)

 英国の通信衛星インマルサットは、何によってMH370便の
航跡を把握していたのでしょうか。
 それは航空機が1時間おきに発信する「PINGS」(ピン)
と呼ばれる微弱な信号である──英紙「デイリー・テレグラフ」
の記事はそのように伝えています。
 ところが、ベテランパイロットである杉江弘氏は「そんな信号
の存在は聞いたことはないし、同僚や現役のパイロットにも聞い
てもみんな知らないといっている」と否定しています。これはど
うしたことでしょうか。
 これは、航空機側が衛星からの情報をもとに時刻合わせを行う
ためのものです。実際には、時刻合わせは会社が衛星からの情報
を使ってUTC(協定世界時)を取得して機に送り、パイロット
が備え付けの時計に正確な時刻を設定するのです。しかし、杉江
氏によると、ボーイング777では時刻合わせはGPSによって
自動的に行われるので、コックピットでは時刻合わせをしなくて
もよくなっているといっています。
 それでは、航空機側から発する電波にはどのようなものがある
でしょうか。これについては、既に述べたものを含めて、次の4
つがあります。
─────────────────────────────
         1.      無線
         2.トランスポンダー
         3.   CPTLC
         4.   エイカーズ
─────────────────────────────
 まず、VHFやHFの無線があります。そして無線が使えない
ときの緊急事態発生や、機がハイジャックされたときのために、
トランスポンダーがあります。これはあらかじめ国際的に決めら
れているコード番号を入力することによって管制官に情報を伝え
ることができます。しかし、管制から電波の届く距離範囲でしか
使えないのです。しかし、トランスポンダーは、MH370便が
管制との最後の交信をした直後に切断されているのです。
 「CPTLC」とは何でしょうか。
 CPTLCとは、衛星を使ったデータ通信で、無線の代わりに
データ通信をすることができます。CPTLCは、次の言葉の頭
文字をとったものです。
─────────────────────────────
 ◎航空管制官とパイロット側のデータ・リンク通信
 CPTLC Controller Pilot Data Link Communications
─────────────────────────────
 しかし、「CPTLC」は、この内陸のルートでは使われてい
ない可能性が高いといわれます。そして最後に残る可能性は、エ
イカーズです。杉江氏によると、エイカーズは不作動であっても
電源は入っているので、電波を発信していたのではないかとして
次のように述べています。
─────────────────────────────
 こうして考えてみると、3月24日のナジブ首相の会見では、
「機が消息を絶ってから燃料切れまで6時間40分(クアラルン
プール国際空港出発時からは合計約7時間30分)」と公表され
それは『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事とは飛行時
間は食い違いを見せているが、インマルサットが受信していたと
いう「PINGS」と呼ばれる信号とは、実はエーカーズからの
ものではないか。エーカーズは仮に不作動であっても、電源が入
っている限り、スタンバイ状態(家電製品でコンセントを入れた
状態と同じ)で衛星とつながっている。     ──杉江弘著
      『マレーシア航空機はなぜ消えた』より/講談社刊
─────────────────────────────
 MH370便がどこまで飛行したのかを決める重要な情報のひ
とつは、機がどのくらいの燃料を積んでいたかです。搭載燃料は
飛行計画(フライトプラン)に記載されており、事故などのさい
には航空会社は必ず公表するものです。しかし、マレーシア当局
はいまだに飛行計画を発表していないのです。
 しかし、ナジブ首相は、上記のように「機が消息を絶ってから
燃料切れまで6時間40分(クアラルンプール国際空港出発時か
らは合計約7時間30分)」と発言しているので、大体8時間分
の燃料を搭載していたものと思われます。これは、杉江弘氏が予
測した約8時間分の燃料と一致します。もし、機長が犯人でない
なら、搭載燃料は代替空港分も含めて約8時間分で十分です。
 ボーイング777のER(国際線仕様タイプ)では、満タンに
すると、30万3100ポンド、飛行時間にして約12時間分の
燃料搭載が可能です。ボーイング777は、ジャンボジェットの
ボーイング747と同じくらいの量の燃料を翼や胴体中央部に積
むことができるのです。
 実は、MH370便は満タン近い燃料が搭載されていたのでは
ないかという疑いもあるのです。仮にそうであったとすると、こ
の事件にはマレーシア当局が深くからんでいることになります。
なぜなら、単なる事故であるから、飛行計画などの情報をマレー
シア当局が隠す必要がないからです。
 民間の定期航空会社で働く機長は、自分の一存で搭載燃料の量
を決めることはできないのです。事前に運行管理者と協議して飛
行計画を作製し、それに基いて搭載燃料の量を決め、相互にサイ
ンしてはじめて出発することができるのです。
 もし、機長が運行管理者を説得し、必要以上の燃料を搭載する
のに成功したとしても、まず、同乗の副操縦士から疑念を持たれ
ることは必至です。また、燃料を給油する駐機場でも、通常の便
にしてはオーダーされる燃料が多過ぎると、給油職員にも怪しま
れることになります。このように、通常以上の燃料を搭載するの
は、なかなかハードルが高いのです。マレーシア当局が飛行計画
を隠したのは、MH370便の墜落場所を特定されたくなかった
のです。       ──[航空機事故の謎を探る/012]

≪画像および関連情報≫
 ●機長の犯行か/「心服する野党党首が投獄され憎悪」
  ───────────────────────────
   消えたマレーシア航空機の機長の一枚の写真がある。Tシ
  ャツ姿の彼の胸には「Democracy is Dead」── 「民主主義
  は死んだ」とある。−−−反政府抗議活動として飛行機をハ
  イジャックする可能性のあることが分かってきた。
   アフマド・シャー機長(53)はマレーシアの野党党首ア
  ンワル・イブラヒム氏の“狂信的な”支持者であると言われ
  ている。MH370機が消息を絶つ数時間前、同氏は同性愛
  の罪で拘置されたところだった。
   また、シャー機長の妻と3人の子どもたちはこの前日に住
  居を後に出て行ったことが明らかになった。「MH370機
  はハイジャックされ、二百数十名の乗客・乗員たちはどこか
  知られざる場所で拘束されている可能性も否定できない」と
  FBI捜査官も語る展開になってきた。
   シャー機長は「偏執狂的」とも言えるほどイブラヒム氏を
  熱烈に支持する人物だった。そして彼がクアラルンプールか
  ら“覚悟のフライト”に出る数時間前、イブラヒム氏が拘置
  5年の刑が言い渡されることとなった判決の場に彼が出席し
  ていたことも分かった。与党に対抗するキーマンである政治
  家・イブラヒム氏は、長きにわたって言われなき中傷を受け
  続け、デッチ上げの犯罪を着せられるに至ったと、氏の運動
  員たちは言う。警察筋は、シャー機長が熱心な発信役として
  の政治運動家であったことを確認した。そして判決は彼に抑
  えられない動揺をもたらした恐れがあるとみている。
                   http://bit.ly/1N6kYoU
  ───────────────────────────

マレーシア・ナジブ首相2回目の記者会見.jpg
マレーシア・ナジブ首相2回目の記者会見
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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