2015年10月09日

●「マレーシア当局による北方飛行説」(EJ第4135号)

 MH370便がクアラルンプール空港を離陸したのは2014
年3月8日午前0時41分のことです。午前1時21分頃にトラ
ンスポンダーが切断され、午前1時30分にクアラルンプール管
制との交信が途絶えています。
 しかし、それから午前2時22分まではマレーシア空軍がMH
370便の機影をとらえています。それによると、MH370便
は左旋回し、針路を南西に取っています。そしてさらに西に変針
し、北西へ向かう時点で空軍はMH370便の機影を追うことが
できなくなったのです。もちろんこの情報は、いの一番にマレー
シア政府に伝えられていることはいうまでもないことです。
 ところが3月15日の記者会見でナジブ首相と同行したヒシャ
ムディン運輸相代行は、次のようなことを発言しているのです。
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◎(MH370便は)午前8時11分まで通信衛星が機体を捉え
ており、管制との交信が途絶して以来、6時間40分飛行してい
た可能性がある。機はインド洋上空の衛星から同じ距離にある円
上のどこかにいたことがわかり、燃料的に見て、北は中央アジア
のカザフスタンまで飛んでいった可能性がある。──ナジブ首相
◎衛星データによると、航空機の位置は北もしくは南の可能性が
あります。どちらの進路の可能性も否定できませんし、同じくら
い重要です。         ──ヒシャムディン運輸相代行
                 ──マレーシアナジブ首相
 ──杉江弘著/『マレーシア航空機はなぜ消えた』/講談社刊
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 このナジブ首相らの発言からメディアは一斉にMH370便の
飛行について、マレー半島付近から北にルートを取り、一路アフ
ガニスタンのタリバン支配地域に向ったという「北方飛行説」を
報道したのです。なかには、MH370便はタリバンの支配地域
に着陸して、航空機と人質を隠しているという、荒唐無稽な報道
もあったのです。
 英国の「インデペンデント」紙などは「マレーシア当局は、タ
リバンの支配地域に不明機が着陸した可能性があるとみている」
と、まともに報道する始末です。
 しかし、この北方飛行説はどう考えても不可能なのです。杉江
弘氏は、添付ファイルの図を使って、それがあり得ないことを示
しています。
 「×」は、MH370便がマレー半島西側の海域で空軍のレー
ダーから消えた地点です。この×点とカザフスタンの東端と西端
を線で結びます。図のAとBの線がそれです。
 Aの線上をたどると、タイ、ミャンマー、中国の領空を通るこ
とになります。Bの線上を行くと、インド、パキスタン、アフガ
ニスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの領空を飛行しま
す。したがって、これら各国のレーダーに捕捉されないで飛行す
ることは困難です。Cの線はそういう領空を避けてパキスタンま
で飛ぶルートです。
 MH370便がそんなルートを飛ぶはずがないのです。WSJ
(ウォール・ストリート・ジャーナル)の電子版は、ミャンマー
インド、パキスタンでは、MH370便はレーダーでは探知され
ていないことを伝えています。
 レーダーが探知できないように低空を飛べばよいではないかと
いう意見があります。確かに地上から5000フィート(約15
00メートル)以下を飛べばレーダーには探知されません。しか
し、そのようなことは実際にはあり得ないのです。なぜなら、低
空を飛ぶと、多くの燃料を使うからです。これについて、杉江弘
氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 この説(低空を飛行したのではないか)に同調する軍事評論家
もいたが、そのような低空を飛行したら、燃料を一挙に使い、と
てもタリバンのいるアフガニスタンはおろか、手前の国々にも届
かないことになる。ボーイング777のような大型機では、15
00メートルのような低空と、通常使用する巡航高度とでは計算
するのも時間の無駄になるほどの燃料消費量に差があるからだ。
 加えてこの低空飛行説では、マレーシアから北上したとして、
標高が高い所では、5000〜8000メートルもあるヒマラヤ
山脈やバミール高原をどうやって越えるのか、そのような高さま
で上昇すると、それこそレーダーの画面に映ってしまうではない
か。               ──杉江弘著の前掲書より
─────────────────────────────
 もうひとつMH370便がタリバンの支配地区などに飛行して
いない理由があります。それはタリバンの支配地域には、ボーイ
ング777が着陸できる2000メートル級以上の飛行場などな
いからです。
 しかし、それにしてもマレーシア当局は、なぜタリバン支配地
域などを持ち出したのでしょうか。推測ですが、それには次の2
つの理由があると考えられます。
─────────────────────────────
 1.MH370便が飛行した本当の航跡を知られたくない何
   らかの理由が存在したことである。
 2.タリバンの名前を出すことによって、この失踪事件をハ
   イジャック事件と思わせたかった。
─────────────────────────────
 この事件をめぐって、マレーシア航空やマレーシア政府の一連
のメディア対応を見ていると、この事件の真相をマレーシア当局
は知っており、それを知られたくなかったのではないかと考えら
れるのです。
 マレーシア当局としては、MH370便が、クアラルンプール
空港を発着した直後に何者かによってハイジャックされ、その犯
人の命令にしたがって飛行を続ける途中で、燃料切れのために墜
落したというストーリーを信じさせようとしているように思える
のです。       ──[航空機事故の謎を探る/010]

≪画像および関連情報≫
 ●マレーシア不明機異常行動/アメーバ・ニュース
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   こうした情報が明らかになるにつれ「どう見ても飛行のプ
  の仕業でしょ!」とアメリカのマスコミがまず騒ぎ出し、マ
  レーシアのナジブ・ラザク首相も土曜、「事故ではなく機内
  の何者かに意図的に進路を変えられたものと見られる」と正
  式見解を発表。首相は断定を避けましたが、マレーシア政府
  高官は米CBSに「もはや機長か副機長か外部の人間による
  ハイジャックで確定だ」と話しています。
   トランスポンダは操縦席からボタン1個で切れるのですが
  (EJとしては疑問)コックピットから入った最後の言葉は
  「了解、では」という落ち着き払った声で、何かコックピッ
  トで異変が進行中なことを匂わすようなところは全くありま
  せんでした。この最後の声は「副操縦士の声だった」と、月
  曜マレーシア航空CEOが記者会見で明らかにしています。
   日曜にマレーシア運輸相代行は「エーカーズが切られたの
  は最後の声の前だった」と発表し、副操縦士に一気に疑いの
  目が向けられたのですが、その点についてCEOは「情報送
  信は30分置きなので前か後か断定はできない」と正してい
  ますよ。ファリク・アブダル・ハミド副操縦士はやっとボー
  イング777─200のシミュレーター飛行を終え、実機飛
  行に移ったばかりのひよっこで、失踪のちょうど1ヶ月前に
  はなんとCNNが、たまたまB777─200訓練飛行中の
  コックピットにお邪魔して、その訓練に励む姿をカメラに収
  めています。           http://bit.ly/1hrV2Zr
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MH370便北方飛行説.jpg
MH370便北方飛行説
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 航空機事故の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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