2015年09月10日

●「なぜ『腸管造血説』は異説なのか」(EJ第4117号)

 千島学説の「食は血となり肉となる」を図式にすると、次のよ
うになります。
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    食物 ⇔ 血球細胞 ⇔ 幹細胞 ⇔ 体細胞
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 千島学説によると、食物は「腸」で赤血球などの多能性分化細
胞(血球細胞)に変化し、さらにそれらは、多種多様な万能細胞
(幹細胞)に変化して行きます。そしてそれが、筋肉、骨、神経
などの体細胞を分化するのです。
 もし、人体に飢餓などのリスクが及ぶと、これが逆流します。
つまり、体細胞は多様な万能細胞(幹細胞)に戻り、それが多様
な血球細胞に戻って栄養源に変化し、エネルギーとして消費され
生命を維持するのです。
 さて、人間の血液はどこで造られているのでしょうか。
 生物学の教科書によると、「骨髄」であるとされています。そ
れは、足の骨格である長骨(大腿骨などの長い管状骨)の骨髄で
造られているというのです。
 しかし、血液のすべてが骨髄だけで造られているわけではなく
臓器や他の器官でも若干の造血作用が行われることは認めており
これを「異所造血」と呼んでいますが、あくまでメインは骨髄で
造られるというのが生物学の世界では定説となっています。
 この骨髄造血説を最初に唱えたのは、1868年にノイマンと
ビッズオセロという2人のユダヤ人の医師といわれています。彼
らは、鶏やハトなどを使って実験を繰り返し、その研究結果から
血球を生成する器官は、骨髄、脾臓、リンパ節などで、その大半
は骨髄で造血がなされるという仮説を打ち出したのです。
 この骨髄造血説は、後年米国の血液学者のダン、キャニンガム
セービンの3人によって提唱され、これが現代医学の定説となっ
て定着しています。いわゆる平均的な医者の特性は、そういうテ
キストに書かれている定説を盲信する人が多いようであり、この
骨髄造血説は長く医学の常識になっているわけです。
 まして、医学の世界では、学説に基づいて治療法が決まるので
後からそれがおかしいと気がついても、なかなかそれを訂正する
ことができないのです。
 しかし、われわれは食べればそれが血となり、肉となると昔か
ら教えられており、感覚的に食物と血液は深い関係があると思っ
ています。それなのに、消化器系統から遠く離れた骨髄で、なぜ
血液は造られるのかという素朴な疑問が湧いてきます。
 千島教授もその点に疑問を持ったのです。彼は、ダン、キャニ
ンガム、セービンの学説に疑問を持ち、追試を通じて、ある事実
を突きとめています。この経緯については、忰山紀一氏の論文か
ら引用します。
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 骨髄で造血されることは事実である。千島喜久男もニワトリ、
ハト、そして病気のヤギなどを入手して、追試をおこない確かめ
ている。しかし、それはいずれも、絶食させた場合や病的な状況
下におけるもので、健康で栄養がゆきとどいているときは、骨髄
では造血されていない。すなわち、絶食や病的な状態の造血をも
って、健康体のときの造血が骨髄であると断定していいものかど
うか、千島は疑問をもったのである。
 結論から述べると、健康で栄養がゆきとどいているとき、骨髄
は脂肪で充満していて、細胞分裂はほとんど示さず、したがって
血球造血も行われてはいないのである。人間ばかりではなく、哺
乳類鳥類でも同様で、この事実に反対する血液学者は一人もいな
い。それなのに、骨髄造血説が生物学会で容認されているのは、
アメリカの血液学者、すなわち、ダン、キャニンガム、セービン
の三人の研究を認め、それが権成づけられたからである。
         ──忰山紀一著『間違いだらけの現代医療』
       (株)なずなワールド刊 http://bit.ly/1PYoIsF
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 つまり、こういうことになります。骨髄で造血されるのは、ニ
ワトリやハトを9日〜11日間絶食させた場合のみであるという
ことです。そうでない健康で栄養状態が良いときは、血液は骨髄
ではなく、腸で造られるのです。これは、臨床現場では、誰でも
そのように感じていることであるようです。
 実際にどのようにして「腸」で造血されるのかについてまとめ
ておきます。
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 1.食物は、胃の消化作用や腸の運動でドロドロの状態(モ
   ネラ状)になる。
 2.このモネラが腸の絨毛組織の表面を覆い尽くすかたちで
   一面に付着する。
 3.次にモネラは、腸の絨毛組織内に取り込まれ、新しい絨
   毛組織に変わる。
 4.そのため、古い絨毛組織は奥の方へ押しやられ、赤血球
   母細胞に変わる。
 5.赤血球母細胞は数10個の赤血球を孕んでいてそれを血
   管内に送り出す。
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 「骨髄移植」という白血病の治療に効果があるとされる手術が
あります。「命のリレーは骨髄バンク登録から・・・」のあれで
す。この治療法は、骨髄造血説を前提とした最先端治療です。
 しかし、腸で造血されることが正しいということになると、骨
髄移植はどうなるのでしょうか。骨髄移植は、既に1万例以上の
実績があるようですが、なぜか治癒結果は公表されていないので
す。患者とドナーのプライバシーを尊重するため、公開はできな
いということが建前になっています。
 人の命に関わることです。間違いは正すのがスジであると思い
ます。何もかも「千島学説」というヴェールを被せて覆い隠すの
でしょうか。       ── [STAP細胞事件/090]

≪画像および関連情報≫
 ●異論「骨髄造血」:正論「腸造血」
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   「食べた物が骨髄液になる(骨髄造血説)」と「食べた物
  が血になる(腸造血説)」、二つの論理は天と地ほど違いが
  あり、確実にどちらかが間違っています。具体的な事例を紹
  介します。
   それは、ベストセラーになった『五体不満足』の著者で、
  (現)小学校教諭の“乙武洋匡”さんと、ホームラン記録保
  持者で(現)ソフトバンク・ホークス監督“王貞治”さんの
  健康比較です。
   先天的に手足が短く骨髄量が明らかに少ない乙武さんが、
  貧血症状もなく健康体であるのに比べ、頑丈な骨格を誇る王
  さんは、胃ガン治療で胃の全摘出手術を受け、極端に痩せて
  病弱感が拭えない事です。
   王さんに限らず胃や腸などの内臓を切除した人は、総じて
  貧血症を患い、手術前の体力を回復する事など出来ないので
  す。一方、乙武さんは骨髄量に関係なく健全な内臓を保持し
  ている為、五体不満足であってもスポーツで鍛えた骨でなく
  ても、それ相応の健康を維持できるのです。お二人の健康状
  態は、骨髄から来るものではなく、内臓が左右しているのは
  明白です。胃腸に欠陥がある人は、一様に痩せて血色が悪い
  ものです。この事例は「腸造血説」の信義を、証明している
  のではないでしょうか!      http://bit.ly/1L03QBV
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腸管造血学説の記事.jpg
腸管造血学説の記事
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | STAP細胞事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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