2015年07月14日

●「STAP反対者だけ登場する番組」(EJ第4076号)

 2014年7月27日に放送されたNHKスペシャル『調査報
告/STAP細胞/不正の深層』は、次の4つの部分から構成さ
れています。
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     第1部:疑惑の論文はこうして生まれた
     第2部: STAP細胞は存在するのか
     第3部: エリート科学者問われる責任
     第4部:    研究不正をどう防ぐか
─────────────────────────────
 2014年7月初旬というと、STAP論文に対する疑惑が拡
大し、ネイチャー誌もSTAP論文の取り下げを決定したことで
多くの人が論文に対する何らかの疑惑を拭い切れなくなっていた
時期に当たります。
 それでも小保方氏や笹井氏がそんなメリットのない捏造をする
はずがないと考えていた人は少なからずいたはずです。しかし、
そういう人たちの思いを完全に打ち砕いたのが、このNHKスペ
シャルだったといえます。
 このNHKスペシャルは、次の3つの点で、公共放送としては
かなりバイアスのかかった番組になっています。
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 1.STAP細胞の存在に疑問を持つ人たちだけしか番組に
   登場しておらず、不公平である
 2.STAP細胞の正体はES細胞であり、存在しないとい
   う前提で話を誘導しようとする
 3.小保方・笹井両氏を論文捏造の首謀者のように扱い、2
   人の名誉を不当に毀損している
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 第1部「疑惑の論文はこうして生まれた」では、論文ができた
経緯について紹介しています。しかし、そのなかでさりげなく、
小保方氏が当時CDBのC棟4Fにあった若山研究室の奥まった
一画で、一人で研究していたことを伝えています。実験は小保方
氏一人で行っており、ES細胞を混入させようと思えばできる状
態であったことを視聴者に示唆しています。
 それからもうひとつ、小保方氏の実験ノートを大写しにし、そ
の記述がメモ程度であったことを視聴者に印象づけています。こ
の実験ノートは小保方氏が理研に提出したものであり、NHKは
それをどのようにして手に入れたのでしょうか。
 問題は第2部「STAP細胞は存在するのか」です。冒頭に記
者は米国のハーバード大学を訪問し、万能細胞の権威ジョージ・
デイリー教授にインタビューしています。
 そこでデイリー教授に、論文通りではSTAP細胞は再現でき
ていないこと、そして、細胞が緑色に光る現象は何回か目撃した
が、それは細胞が死ぬさいに発光する自家蛍光ではないかと考え
ているといわせています。
 しかし、ハーバード大学にまで行きながら、STAP論文の共
著者の一人であり、小保方氏の師であるバカンティ教授には会っ
ておらず、会う予定もなかったようです。ただ、デイリー教授は
バカンティ教授に再現実験に協力してもらうことで合意したとい
うナレーションとともに、バカンティ氏の写真が大写しになった
だけです。
 とにかくこの番組では、小保方氏の味方は誰も登場しないので
す。もし、NHKとしてバカンティ氏にも会う意思があり、たま
たまアポイントが取れなかったのであれば、そのことをアナウン
スするはずです。褒める人には会いたくないのでしょう。
 ここで山梨大学の若山研究室のシーンになります。若山教授と
研究員2人が研究室で実験しています。若山教授が小保方氏に渡
したマウスの遺伝子と、それから作製されたSTAP幹細胞の遺
伝子は一致するはずであるとして、それを確かめる遺伝子解析を
しているのです。その解析と同じ結果が出て、それが後で間違い
だった放医研の調査は外していますが、マウスは異なるのは事実
であるのだからという理屈でそのまま取り上げています。
 その解析結果が異なることが図を使って解説され、その意外な
結果に考え込む若山教授が写し出されます。もちろんNHKがそ
のように演出したのです。若山教授は次のようにつぶやきます。
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 僕のどこに間違いがあったのか。そういう疑いをすべて捨てて
自分にミスがないっていうのを自分が納得できないと、僕は先に
進めない。            ──若山照彦山梨大学教授
─────────────────────────────
 続いて、同じ理研の上席研究員の遠藤高帆氏がリュックサック
を背負って登場します。この人物はSTAP論文が出た直後から
この論文について強い疑惑を抱き、公開されているSTAP細胞
を自分一人で3ヶ月もかけて研究し、ある発見をしたのです。
 遠藤氏がいうのは、若山教授が小保方氏から渡された細胞──
すなわち、STAP細胞には「アクロシンGFT」という特殊な
遺伝子が組み込まれていることを指摘したのです。これに関する
記者と遠藤高帆氏との一問一答です。
─────────────────────────────
 遠藤:STAP細胞には、精子で発現するアクロシンという特
    殊な遺伝子が組み込まれているのです。
 記者:それはSTAP細胞の研究には関係があるのですか。
 遠藤:全く必要ないと思います。STAP細胞は調べれば調べ
    るほど存在自体がわからなくなってくるというようなも
    のだと思います。       ──NHKスペシャル
        『調査報告/STAP細胞/不正の深層』より
─────────────────────────────
 この「アクロシンGFT」という遺伝子は、後から重要な意味
を持ってきます。なぜ、そのような遺伝子がSTAP細胞に組み
込まれたのでしょうか。謎は一層深まるばかりです。
             ── [STAP細胞事件/049]

≪画像および関連情報≫
 ●Nスペ『STAP細胞/不正の深層』の度し難い悪意
  ───────────────────────────
   理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹
  ・副センター長の自殺の報道に接した瞬間に、私はマスコミ
  に対する憤りがふつふつと湧いてきました。論文に対する疑
  惑が生まれて以降のSTAP細胞に関するマスコミ報道に異
  常なものを感じてきたからです。死後に、笹井氏が亡くなる
  10日程前から研究の会話に支障が出るようになったことが
  報じられましたが、ちょうどこの頃に、NHKがNHKスペ
  シャル『調査報告/STAP細胞/不正の深層』を流してい
  たことを私は後になって知りました。ネット上に、同番組が
  アップされているのを見つけ、私自身も見てみました。番組
  名に『STAP細胞/不正の深層』とあるように、STAP
  細胞をトンデモ学説扱いにして、番組が作られていました。
  いかにもNHKらしい番組で、一見中立的な立場のように装
  いながら、実のところは極めて悪意のある番組であったと、
  私は断言します。
   なぜ私がNHKの悪意について断言できるのかといえば、
  笹井氏は4月16日の記者会見で、誠実な科学者らしさを発
  揮して、例えば、以下に挙げることを述べられていたからで
  す。「STAP現象についてはもしも存在しないと思ってい
  たら、共著者には加わらなかった。しかし、それは論文の材
  料がきちんと組み上がっていたときに確信を持つのであって
  今はその組み上げ細工にヒビが入ってしまった。有望ではあ
  るが、仮説に戻して検証し直す必要があると思ってます。こ
  れを、信じる信じないということで論じるべきでないという
  科学者としての立場です」。   http://amba.to/1HodRSR
  ───────────────────────────

遺伝子解析結果を検証する若山研.jpg
遺伝子解析結果を検証する若山研
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | STAP細胞事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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