2015年06月03日

●「小保方晴子は優秀な研究者である」(EJ第4047号)

 iPS細胞については、ノーベル賞を受賞したこともあって、
多くの書籍が出版されており、iPS細胞がどのようにして生ま
れたかについて知ることは容易です。
 しかし、STAP細胞については、何しろ発表後1ヶ月も経た
ないうちに疑惑が出てきたので、STAP細胞についてその発見
経緯を詳細を伝える書籍は出版されるはずもなく、むしろSTA
P細胞に対する疑惑や、その実験にかかわった人物の批判本ばか
りが出版されている始末です。
 それにしても、なぜ発表から1ヶ月も経たないうちに論文の内
容の疑惑が出てきたのでしょうか。それは、発表と同時に論文の
ミスを徹底的にチェックした人物、いや組織があったとしか考え
られないのです。それはSTAP細胞論文だけでなく、小保方氏
の博士論文にまで及び、その結果、画像のミスや他の文献からの
コピペにいたるまで、細かく指摘されているのです。
 学術論文にはこうしたミスはつきもので、それがあったとして
も何ら不思議ではないのですが、STAP細胞論文の場合、まる
であら探しをするようにそれをやった人物ないし組織があるので
す。あたかも、STAP細胞が世の中に認知されると困る組織が
あり、最初から「潰し」にかかっているとしか思えないのです。
これについては、改めて取り上げます。
 「STAP細胞はどのようにして生まれたのか」──これに応
えてくれるのが、須田桃子氏の著作の次の章です。
─────────────────────────────
   須田桃子著『捏造の科学者/STAP細胞事件』
    第4章 STAP研究の原点 P98〜118
                    文藝春秋刊
─────────────────────────────
 ここには、STAP細胞が生まれるまでの経緯がわかりやすく
かつ要領よくまとめられています。これを読むと、小保方氏がど
のようにしてSTAP細胞にたどりついたかがわかります。知ら
れざる話がたくさん載っているのです。
 須田桃子氏の本のこの部分の記述で分かったことがあります。
それは、小保方氏の留学の延長を強く希望したのは指導教授であ
るのチャールズ・バカンティ氏であり、留学延長に伴う全費用を
ハーバード大学側が負担したという事実です。
 そのきっかけは、小保方氏が教授から指示された仕事のプレゼ
ンを見事に果たしたことです。その仕事とは、骨髄を使う再生医
学などの最新の論文をまとめ、研究室内のミーティングで発表す
るというものでしたが、小保方氏は「1週間で200本以上」の
論文を読み込み、見事なプレゼンを行ったのです。
 バカンティ氏は小保方氏の仕事ぶりに惚れ込み、彼が2001
年に弟のマーティンと一緒に発表した「胞子様細胞」の論文の研
究に小保方氏を使うようになったのです。須田氏の本には、これ
について次の記述があります。
─────────────────────────────
 「ぜひ彼女の滞在を延長してほしい。彼女は素晴らしい研究者
になりつつあるので、共同研究を続けたい」。論文発表直後に記
者会見した常田聡教授によると、バカンティ氏から電話で打診さ
れたのは、小保方氏が渡米して数ヶ月経った頃だった。当初半年
の予定だった留学は2009年8月末まで延長された。それも後
半の5ヶ月分の費用はすべてハーバード大学側が提供するという
「破格の待遇」(常田氏)だった。小島氏によると、バカンティ
氏は自らブリガム病院の事務に電話で交渉し、小保方氏の雇用や
ビザを手配。博士号もない学生を雇用するのは無理だと説明する
事務のスタッフに、バカンティ氏はただ「分かっている。だが私
は彼女が必要なんだ」と言って電話を切ったという。
            ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著
       『捏造の科学者/STAP細胞事件』/文藝春秋
─────────────────────────────
 これからの小保方氏の仕事ぶりはすさまじいものがあったので
す。彼女は休日も含めほとんどの時間を研究室で実験に取り組み
空いた時間には、再生医学の授業や一流研究者のセミナーに参加
するなどの充実した日々を過ごしていたといいます。
 細胞にいかにして刺激を与えるか──小保方氏は、極細のガラ
ス管にマウスのさまざまな組織の破片を通して小さな細胞を分離
する実験に取り組んでいたのです。そこで小保方氏は、ある興味
ある現象を発見したのです。須田氏はこれについて次のように書
いています。
─────────────────────────────
 面白いことに、(ガラス管を通す)操作を行うとその細胞は出
てくるのに、操作しないとみられませんでした。操作をすればす
るほど細胞は増えてきたので、アイソレーション(分離)ではな
く、(新たに)できてきているのではないかと考えました。しか
も、脳や皮膚、筋肉、軟骨、骨髄など、マウスのあらゆる体細胞
を試しても、似たような細胞が採取できたのだという。
      ──毎日新聞科学環境部/須田桃子著の前掲書より
─────────────────────────────
 極細のガラス管にマウスの組織の破片を通すと、小さな細胞に
分離するのですが、それらの細胞を培養すると、培養中に塊がで
きるものがあることに小保方氏は気が付いたのです。その塊を調
べると、万能細胞に特有の遺伝子の一つであるOct4が活発に
働いている塊があることがわかったのです。
 Oct4は、幹細胞で作られるので、これが出るいうことは、
幹細胞ができたことを意味するのです。それができたことがわか
るように、緑色に見えるよう緑色の蛍光たんぱく質を組み込んで
おくのです。このようにして、小保方氏はSTAP細胞に一歩一
歩近づいて行ったのです。バカンティ氏のいう胞子様細胞はバカ
ンティ氏のいうように、体内にあるのではなく、刺激によって作
られるものであることを小保方氏は発見したのです。これがST
AP細胞の原型です。 ――── [STAP細胞事件/020]

≪画像および関連情報≫
 ●バカンティによる「胞子様細胞」の論文
  ───────────────────────────
  論文では、既知の胞子様細胞には、ヒトを含む成体の特定の
  種類の幹細胞があり、これらは非常に小さく、非常に多能で
  その他の生物の細胞が分裂、成長、死亡するのに対して休眠
  した「胞子様」状態のままで留まっていると主張。更に休眠
  状態にも関わらず、この細胞は成長、分裂、そして他の細胞
  種に分化する能力を維持していると考えていた。2001年
  の論文は説明や証明が不十分で、研究は懐疑的に見られてお
  り、2011年に発表された多能性を検証した論文について
  も撤回すべき程の画像の修正や科学的な疑義が生じている。
  胞子様細胞は2001年にバカンティらによって初めて記述
  された。これらの大きさは極めて小さく(5マイクロメート
  ル未満)、休眠しているように見え、実質的に全ての体組織
  の柔組織全体にわたって分散している。休眠しているため、
  極めて低酸素の環境や極端な温度といったその他の厳しい環
  境でも生き残ると期待されている。(バカンティは、胞子様
  細胞が−86度Cで凍結させた後に解凍したり、85度Cで
  30分以上加熱しても生き抜くとしている。これらの独特な
  細胞が傷害や病気によって活性化されるまで休眠しており、
  病気あるいは損傷で失われた組織を再生する能力を有するこ
  とを、バカンティは信じていると論文に書いた。
           ウィキペディア http://bit.ly/1Fgw3gd
  ───────────────────────────

須田桃子氏の本.jpg
須田 桃子氏の本
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | STAP細胞事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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