2015年02月16日

●「ギリシャのユーロ圏離脱はあるか」(EJ第3974号)

 ギリシャ問題は今日──2月16日が「Xデ−」といわれてい
ます。2月11日に行われたユーロ圏財務相会合では、ギリシャ
はEU側と合意にいたらず、16日に財務相会合が行われること
になっているのです。
 もし、16日もまとまらないと、2月末で切れる支援延長に議
会決議が必要な国もあるので、事実上のタイムリミットは本日と
いうことになります。
 EU側がギリシャに求めるのは、あくまで現行の支援計画の延
長です。しかし、支援延長には、現在の緊縮財政の実行が前提条
件になります。ギリシャ新政権としては、それだけは絶対に飲め
ないのです。なぜなら、それをやると、選挙公約を翻すことにな
るからです。
 ギリシャのチプラス新首相は、2月8日に次の趣旨の議会演説
を行っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 EUなどによるギリシャ支援は明らかに失敗である。2月末に
期限切れを迎える現行の支援制度の延長は、失敗の延長であり、
これを拒否する。しかし、新たな支援策について話し合う間、資
金不足を賄うための「つなぎ措置」を欧州各国に求めたい。
                ──ギリシャ/チプラス首相
―――――――――――――――――――――――――――――
 11日のユーロ圏財務相会合では、現行の支援計画を延長し、
その計画終了の可能性を探るために、ギリシャとEU側は協議を
重ねるということでいったん合意に達しているのです。バルファ
キス財務相は一度は合意しているのです。
 要するに、EU側は、ギリシャがあくまで緊縮計画を継続する
こととが前提の支援計画の延長を受け入れたうえで、若干の返済
猶予などを検討するという考え方なのです。
 ところが、バルファキス財務相が本国に共同声明案を電話した
ところ、その合意を翻したのです。おそらくチプラス首相が反対
したものと思われます。
 しかし、最終的にチプラス政権は支援延長を受け入れざるを得
ないと思われます。「ユーロ離脱」というが、そんな簡単なこと
ではないし、チプラス首相もバルファキス財務相も口ではいうも
のの、その気はないと思われます。
 もし、ギリシャがそれでもユーロ離脱を敢行した場合、何が起
きるかについて、ジャーナリストの鷲尾香一氏は、次のように述
べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 実はユーロには離脱規定がない。しかし、離脱できないわけで
はない。ギリシャがEUを脱退することで、ユーロからの離脱は
可能になる。だが、結論から言えば、ギリシャがユーロ=EUか
ら離脱する可能性は、ほぼゼロに近いだろう。その理由をいくつ
か挙げてみよう。
 まず、ユーロから離脱するということは、ギリシャは新通貨に
切り替えることになる。そもそもギリシャ経済に対して信頼性が
低いため、新通貨の価値は非常に低いものとなる。ギリシャ国民
はユーロで預金を行っているわけで、そのユーロが紙くず同然と
なるかもしれない新通貨に切り替わることを望まない。当然、預
金を引き出し、ドルや円、あるいは金などに避難させようとする
だろう。
 これに対して、ギリシャ政府は預金凍結措置を取るだろうが、
それ以前に、例えばユーロ離脱の話が真実味を帯びた時点で、パ
ニック的な預金解約が発生する。ギリシャ全土の銀行で、「取り
付け騒ぎ」が起き、銀行が破綻し、ギリシャ経済も完全に破綻す
る可能性がある。これは、決して悪夢ではない。
                   http://bit.ly/1A5XOZq
―――――――――――――――――――――――――――――
 ギリシャ側が強気になっているのは、世界的ベストセラーズと
なっている『21世紀の資本』(みすず書房)の著者、トマ・ピ
ケティ氏の心強い後押しです。海外メディアでのインタビューで
ピケティ氏は次の発言をしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ギリシャなどでの反緊縮政党の躍進は欧州にとってよいニュー
スである。緊縮政策は市民に深刻な影響を与えている。
                   ──トマ・ピケティ氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 ピケティ氏がいうまでもなく、経済学的に見ても、緊縮政策を
やっている限り、経済の展望は開けないのです。経済が疲弊して
いるのに、年金カット、公務員削減、消費税増税などの緊縮政策
を続ければどうなるのでしょうか。ドイツ式財政均衡主義には大
きな疑問があるのです。
 白川浩道クレディ・スイス証券チーフ・エコノミストは、ユー
ロの現状に関して次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 各種報道では、ギリシャのユーロ離脱はない、それほど深刻な
状況にはない、というものが多いようですが、問題はもっと根深
いと思います。
 ギリシャをユーロ圏に残すべきかどうか、「出ていく!」「出
ていけ!」といった夫婦喧嘩のような話が現実味をもって議論さ
れるでしょう。最終的には、ユーロの崩壊というテーマも出てく
る。もはや単なる「危機」という段階は過ぎた。そもそもユーロ
という枠組が正しかったのかどうかという歴史的な転換点にきて
しまった。         ──『週刊現代』2/21号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ギリシャ問題は日本と無関係ではないのです。米経済学者のバ
リー・アイケングリーン氏は、ギリシャのユーロ圏離脱を「リー
マンショックの2乗」と予測し、全世界に大きな影響を与えるこ
とになると警告を発しています。
            ─── [検証!アベノミクス/56]

≪画像および関連情報≫
 ●ユーロ圏離脱は財政緊縮よりも「いばらの道」
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  [アテネ 12日 ロイター]ギリシャのユーロ圏離脱、い
  わゆる「グレグジット」は、起きるとすれば恐らく電撃的な
  形で実行されるだろうが、それは同国にとって長くつらい道
  のりの始まりともいえる。ある面では、国際支援プログラム
  の下でこれまで歩んできたよりも厳しい状況が見込まれる。
  急進左派連合(SYRIZA)を中心に誕生した新政権は、
  ユーロにとどまりたいと考えている。だが2月末に期限を迎
  える現行の支援プログラムを延長するか、あるいはそれに代
  わる支援の枠組みを設定することで欧州連合(EU)側と合
  意できなければ財政破綻やデフォルト(債務不履行)によっ
  て、いやでもグレグジットに追い込まれかねない。もしも、
  ユーロから離脱すれば、ギリシャ経済に対して残っている信
  頼感は消滅するので、迅速な政策対応が必要になる。制御で
  きない資金逃避を食い止めるためには資本規制の導入は不可
  避だろう。銀行や金融市場が閉鎖された場合、そうした規制
  が発動されるとみられる。次に政府が必要になるのは新通貨
  だ。この新通貨は歴史的にみれば導入時から非常に弱く、既
  に資金難に苦しむ多くのギリシャ国民や地元企業が多額の貯
  蓄を失うかもしれない。それに伴って物価上昇率は急激に跳
  ね上がる。EUと国際通貨基金(IMF)が課した緊縮政策
  で、国民の4人に1人が失業する事態になった。だがグレグ
  ジットは、少なくともしばらくの間はそれよりもひどい痛み
  をもたらす可能性がある。     http://bit.ly/1yA1Zca
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ギリシャ・チプラス首相.jpg
ギリシャ・チプラス首相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アベノミクス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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