2015年02月06日

●「日本の国債はバブルに陥っている」(EJ第3969号)

 今日は昨日よりももっと深刻な話をします。ジョン・ローの経
済政策は非常に現代の量的金融緩和政策に似ています。これは、
1710年代から20年代の話ですが、現存する中央銀行のなか
で最古の歴史を有するのは、1668年に設立されたスウェーデ
ン国立銀行です。
 しかし、今日見られるような典型的な中央銀行制度に最大の貢
献をしたのは1694年に設立されたイングランド銀行です。当
初は銀行券を独占して発行はできなかったものの、1844年に
銀行券発行の独占権を認められています。
 さて、「ビットコイン」のテーマのところで、紙幣というもの
が、金匠の発行する預かり証から発達したものであることについ
て述べましたが、ジョン・ローは、スコットランドの首都、エジ
ンバラ近郊で、金細工師・銀行家のウィリアム・ローと、その妻
ジャネットの第5子として出生しているのです。彼は金匠の息子
なのです。そのため、小さいときから、銀行というものについて
よく知っていたのです。
 ジョン・ローは、「紙幣はほとんどコストなしに増発できる」
という事実に目をつけ、「市中に紙幣が増えれば経済は活性化す
る」ということを人々に信じ込ませ、政府の債務を巧みに紙幣に
転換したのです。
 ジョン・ローの場合は、ミシシッピ株式会社の株価がバブルを
起こしたのですが、日本の場合は、国債がバブルを起こしている
といえます。どこがバブルなのかというと、それは、金利が異常
なほど低くなっているからです。
 この原稿を書いている2月3日時点の長期金利は、0・285
%です。ある専門家が「0・3%」を切ることは絶対ないといっ
ていたこのラインをあっさり割ってしまっています。
 2014年末の時点では、残存年数が4年以下の国債利回りが
マイナス0・02〜0・4%、5年国債が0・03%、10年国
債が0・33%、20年国債が1・09%、30年国債が1・3
%となっています。驚くべきことに、残存年数が4年以下の国債
利回りはマイナスになっていることです。
 どうしてこんなに金利が低くなってしまったのでしょうか。
 それは日銀が、2013年4月から「長期国債」を毎月7・5
兆円買い入れることをコミットメントする異次元量的金融緩和を
継続して行い、さらに2014年11月から買入れ額を毎月8〜
12兆円に拡大して、その保有残高を年間80兆円増加させる狂
気の量的追加緩和を始めたからです。
 大雑把にいうとこうなります。今や日銀は市中で新規発行され
る長期国債のほぼ全額を買い入れています。しかし、そうしても
年間32兆円程度しか残高は増えないのです。もちろん償還があ
るからです。
 しかし、日銀は80兆円の長期国債の保有残高を増加させなけ
ればならないので、そのためには、民間保有の「長期国債」を年
間50兆円ほど吸い上げることになります。
 それでも「物価目標2%」の達成は無理なのです。完全にアベ
ノミクスは現在空回りしています。それにもかかわらず、この超
異次元緩和を消費税が10%に増税される2017年4月まで日
銀は続けようとしています。まさかやらないとは思いますが、さ
らに超・超異次元追加緩和をやる可能性だってあるのです。
 長期金利が低下し過ぎると何が起きるでしょうか。
 それは、日本全体において投資収益水準全体の低下が起こり、
投資意欲が減退し、それによって景気が減速し、デフレが加速し
ます。何のことはない。デフレから脱却するためにやっている量
的金融緩和がかえってデフレを加速させることになるのです。
 そして、円安がさらに加速し、既に起きつつある輸入物価の高
騰が起こり、消費者の生活や、中小企業の活動を損ない、さらな
る景気減速を招く恐れがあります。そして、デフレの様相がさら
に深刻化すると考えられます。そして2017年4月には、否応
なしに消費税が10%まで増税されるのです。日本経済は、これ
で完全に沈没してしまいます。
 現在、銀行は日銀の異次元金融緩和によって、非常に安直に収
益を得ている状況にあります。既に述べているように最近の国債
利回りの急低下で、残存年数が4年以下の国債利回りが軒並みマ
イナスとなっており、発行額の多い5年国債利回りが0・03%
7年国債でも0・09%の低さになっています。つまり、0・1
%を切っているのです。
 したがって銀行は、残存年数7年以下の国債をすべて日銀に売
却してしまい、その代金を日銀当座預金に積み上げておけば、大
変安直に収益が上がることになります。日銀当座預金の超過準備
分に対しては、0・1%が付利されているからです。皮肉なこと
に、この0・1%付利が、資金が外に流れ出すことを止める際ど
い滑り止めになっているのです。
 これほどの低金利になると、国内資金が流出を始めることは時
間の問題です。いや、それはもう始まっており、そのため円安に
なっているかもしれないのです。日銀当座預金は、要求払い預金
ですから、銀行がそれを引き出して外債に投資を始めることを止
めることはできないのです。
 そうすると、何が起きるでしょうか。
 それは、これまで国内資金で支えてきた1000兆円を超える
公的債務をファイナンスできなくなることを意味します。財政赤
字がいくら大きくても、それが1000兆円を超えていようと、
それは民間の需要不足を公的需要で補っている結果で、それだけ
ではあまり深刻になる必要はないのです。怖いのは、その公的債
務を国内資金でファイナンスできなくなる事態です。
 日銀の超異次元金融緩和によって、その危機は刻々と近付いて
きています。これ以上、長期金利の低下が続くと、国内資金の海
外流出が起きる可能性が高まっています。それはそんなに先のこ
とではない可能性が高いのです。
            ─── [検証!アベノミクス/51]

≪画像および関連情報≫
 ●日本の長期金利が過去最低を更新した背景
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  2014年12月25日に日本の10年国債の利回り(長期
  金利)は0・310%に低下し、2013年4月5日につけ
  たこれまでの最低となっていた0・315%を下回り、過去
  最低を記録した。26日には、0・003%まで低下した。
  25日には2年国債の入札があり、そこでの平均落札利回り
  は0・003%となり、利付国債の入札としては初めてのマ
  イナス金利が発生した。ここまでの日本の金利低下の背景に
  はいくつかの要因が考えられる。最も影響力があるのが、日
  銀の異次元緩和による新規発行額に相当する国債の買入であ
  る。これにより、需給面ではほとんど不安なく、マイナスで
  あろうが、需要があれば買われる状況となっている。その国
  債への需要であるが、日本でのマイナス金利の背景には海外
  投資家の存在がある。今年の夏以降、為替スワップ市場にお
  いて、ドルの超過需要が強まったことを背景に、円投ドル転
  コストが上昇し、その分がジャパンプレミアムのようなもの
  となった。ドルを保有する外国投資家が、為替スワップを通
  じて非常に安いコストでドルを円に転換できるため、外国投
  資家は、レートがマイナスの国債に対して、マイナスのコス
  トで調達した円を投資したのである。為替スワップによる円
  の調達コストが大きなマイナスであれば、マイナス金利であ
  っても利鞘は取れる。これが日銀の追加緩和の影響も手伝い
  3か月物から1年物におよび、ついに残存4年近くにまでマ
  イナス金利が波及しつつある。   http://bit.ly/18JA0l3
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超異次元緩和を続ける日銀総裁.jpg
超異次元緩和を続ける日銀総裁
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アベノミクス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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