2014年12月02日

●「国の借金1000兆円の嘘を暴く」(EJ第3927号)

 消費税増税の議論に必ず出てくる「1000兆円を超える国の
借金」は、借金の内容を分析してみると、多くの疑問が出てきま
す。これについて少し突っ込んで考えてみたいと思います。
 1000兆円の借金のうち、国の債務は800兆円、地方の債
務は200兆円となっています。まず、地方の債務200兆円に
ついて考えてみます。
 地方の債務である200兆円は、それに対応する資産も200
兆円ほどあり、本来であれば国の負債から外すべきです。しかし
財務省は国民に増税を認めさせるため、国の借金の額を大きくし
たいので、この200兆円を借金のなかに入れているのです。
 この地方債務200兆円をなぜ借金から外していいかの根拠に
ついては、植草一秀氏が著書で明解な説明をしています。
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 この数値(国の借金1000兆円)のなかの200兆円は地方
政府の借金である。日本の場合、地方公共団体の債券発行、すな
わち地方債発行については、非常に強い制約が設けられている。
地方自治体の借金計画は、中央で集計され、一県ずつ中央政府の
審査の対象になる。それらが集計されて、地方債計画として公表
もされている。
 地方政府の借金は、それぞれの地方の金融機関などが資金の出
し手となっており、どの経済主体がいくら地方自治体に資金を供
給するかについて綿密な計画がたてられ、その計画に基づいて地
方債が発行されている。
 また、地方債を発行できる事業も限定されており、基本的には
借金返済の裏付けが確かでないものには、地方債発行が認められ
ないような仕組みが取られている。したがって、この200兆円
の地方債の残高については、基本的に大きな懸念が生じる恐れが
ないと言っても過言でない。例外的に地方政府の財政危機が表面
化するケースがあるが、巨大な地方債残高を抱えたまま地方政府
が破綻するといった事態は想定されないのである。
                 ──植草一秀著/青志社刊
  『日本の再生/機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却』
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 基本的には、きちんとした裏づけがあり、返済可能な債務につ
いては、国の借金から外して考えるべきです。国の債務を国際比
較する場合は各国の判断にまかされますが、日本と違ってどこの
国も借金は大きく見せたくないはずで、そういう債務は外してい
るはずです。
 それに「借金や赤字は悪である」という考え方が日本人には根
強くあります。さらに日本人は、国の収支を家計に置き換えて考
える人が多いので、1000兆円に及ぶ国の債務を必要以上に深
刻に考えてしまう人が多いのです。財務省は日本人のそういう潔
癖さにつけこんで、国の借金を家計の借金にあえて譬えているの
です。その方が財務省にとって都合がよいからです。
 個人と違って国は永遠に続くものとして考えられています。し
たがって、国の債務についても年々GDP比が増加して行くのは
問題ですが、少しずつでも減少していけば、どのように長期間か
かろうとも、それは大きな問題ではないのです。そのため基礎的
財政収支(プライマリーバランス)を均衡させることが必要にな
るのです。
 少しデータは古いが、2011年度末のデータを使って考える
ことにします。2011年度末の政府の債務合計は894兆円で
すが、そのなかの地方政府の債務は201兆円です。この当時、
日本の債務は対GDP比185%といわれていたのです。
 しかし、地方政府の債務は返済が確実なので、201兆円を差
し引くと、政府の債務は693兆円になるのです。この債務の内
訳は次のようになっています。
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       建設国債 ・・・・ 251兆円
       赤字国債 ・・・・ 391兆円
        その他 ・・・・  51兆円
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 政府の債務693兆円のうち、251兆円の建設国債について
は、その返済のめどが立っている負債であり、差し引きしてよい
と考えられるのです。そうすると、赤字国債の391兆円が純粋
の債務ということになります。
 それでは、なぜ、建設国債は問題がないのでしょうか。
 建設国債と赤字国債の根拠法は「財政法」です。財政法ではそ
の第4条において、政府支出の財源は税収によって行うことを定
めています。つまり、借金を認めないということです。
 しかし、財政法第4条の但し書きとして、公共事業費、出資金
及び貸付金については、国会の議決を経た金額の範囲内で、国債
の発行ないし借入れをすることができると定めています。これが
建設国債の発行根拠です。インフラを整備するなどの投資的な支
出について許される国債が建設国債です。
 6000億円の建設国債を発行し、同額のインフラ資産を建設
したとします。そのため10年国債を発行したとすると、10年
後に6000億円全額を返済し、また5000億円の10年国債
を発行します。さらに10年後に全額返済し、4000億円を調
達する──このやり方を60回繰り返して、60年後に全額の返
済が完了するのです。これを「60年償還ルール」といいます。
 この場合、建設国債には、それに見合う資産が存在することに
なり、健全そのものといえます。したがって、国の借金を国際比
較する場合、これを引いても問題はないのです。
 これに対して赤字国債は、発行するための特例法を定めなけれ
ばならないのです。そのため、これを「特例国債」とも呼ぶので
す。これによって調達した資金は、国の経常的な支出に充てられ
るため、借金に見合う資産がないのです。したがって、将来への
ツケ回しとされる負債です。これは、2011年度末で約400
兆円存在するのです。  ─── [検証!アベノミクス/09]

≪画像および関連情報≫
 ●「借金1000兆円に騙されるな」/高橋洋一氏
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  それでも、どうしても国債暴落、財政破綻という言葉の恐怖
  から逃れられない人のために、頭の体操を兼ねた馬鹿馬鹿し
  いシミュレーションをしてみよう。『借金1000兆円に騙
  されるな』の第1章の終わりで、歴史上イギリスがネットの
  債務残高が2度もGDPの250%前後になったのに、いず
  れも破綻しなかったことを述べた。日本のネットの債務残高
  のGDP比は70%だから、往年のイギリスと同じ段階まで
  債務残高をふくらませるとしたら、あと900兆円も国債を
  発行しなければならないということになる。実際にそんなこ
  とをする必要はないのだが、もし、900兆円国債を発行し
  て、一気に財政出動したらどんな世の中になるか、ちょっと
  想像してみよう。さすがに1年では賄いきれないだろうから
  9年に分け、年間100兆円ずつ使っていくことにしよう。
  民間金融機関の消化能力を考えて、全額日銀引き受けにしよ
  う。そうすると、毎年政府は日銀が刷った100兆円を手に
  入れられる。日本中のおカネが1年間で100兆円増える。
  政府も投資先が思いつかないので、とりあえず国民全員に配
  ることにしたとすると、国民1人当たり70万円が分配され
  ることになる。4人家族なら、300万円近い札束が、宅配
  便か何かで届くのかもしれない。これには長年デフレに慣れ
  てきた人たちも、さすがに驚くのではないだろうか。隣の家
  にも、向かいの家にも何百万円も配られているのだ。
                   http://bit.ly/1pyF0QM
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1千兆円の借金が心配な人が読む本.jpg
1千兆円の借金が心配な人が読む本
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アベノミクス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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