ドマンが主張する政策を下敷きにしています。ところでレーガン
とフリードマンはどこで出会ったのでしょうか。
その接点は明確ではないのですが、レーガンにスカウトされた
という説もあります。昨日のEJでご紹介した若田部昌澄教授は
次のように2人の関係を指摘しています。再現します。
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ロバート・サミュエルソン(コラムニスト)は,レーガンが、
「ミルトン・フリードマンのような人物に影響をうけ、インフ
レは貨幣的現象であることを理解していたから」だという。
──若田部昌澄著「歴史としての
ミルトンフリードマン」 http://bit.ly/1kc20fb
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アーノルド・シュワルツネッガー元カルフォルニア州知事は既
に述べているように、フリードマンの信奉者であり、カルフォル
ニア州知事の先輩であるレーガンも、もしかしたら、知事時代に
会っていたのかもしれません。
なお、レーガンは、大統領時代の1988年にフリードマンに
アメリカ国家科学賞と大統領自由勲章を授与しています。実は、
中曽根内閣も1986年に勳一等瑞宝章を授与しているのです。
レーガン元大統領と中曽根元首相は、「ロン/ヤス関係」で知ら
れるように仲が良く、その経済政策でも共通する面があったので
すが、2人ともフリードマンの政策について、強い関心をもって
いたことがこれでわかります。
さて、レーガンが大統領就任直後に発表した「経済再建プログ
ラム」は、その発表直後から賛否両論があったのです。ここに、
その経済政策の実効性について、ミルトン・フリードマン教授と
ポール・サミュエルソン教授の論争があるのでご紹介することに
します。フリードマンは「F」、サミュエルソンは「S」と表記
しています。
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◎「経済再建プログラム」の評価は?
F:連邦支出削滅の詳細かつ包括的計画を高く評価する。
S:福祉国家を求める流れに訣別する試みで、1920年代
の不平等の復活でインフレ問題は解決できない。
◎財政の均衡化は可能か?
F:提案されているのは税収のカットではなく、税率の引き
下げであり、これは、税収の伸びを鈍化させるだけであ
る。歳出はより低いペースの伸びである。規制緩和や安
定的な通貨供給により経済が活発化し、財政にプラスに
働く。
S:「税率は引き下げるが、歳出は削減しなくてよい」とい
うラッファーはインチキである。非国防関係支出の大幅
カットにより、予算収支をバランスさせても、次に景気
後退をもたらすだけだ。
◎連邦支出の削減は公正か?
F:貧しい人々の利益を考慮している。
S:とても公正とは言えない。
◎減税は公正か?
F:減税効果は広く行き渡る。公正の判断は客観的なもので
ない。
S:中流階層底辺以下の人々にとって公正でない。保守派に
とってはレーガン大統領は救世主であり、政策の実効性
に肯定的であるが、リベラル派にとってはレーガン大統
領の再建計画は福祉国家の建設を放棄する危険な計画で
あり、その政策の実効性に懐疑的である。
──「ニューズウィーク」/1981年3月2日号
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上記のサミュエルソン教授が発言している「ラッファーはイン
チキである」の「ラッファー」とはラッファー曲線のことです。
ラッファー曲線は、供給サイド経済学の基本になるものです。
アーサー・ラッファーという経済学者がいたのです。1980
年代にラッファーは次のように主張したのです。
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税率を下げれば、政府の税収が増える
──アーサー・ラッファー
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「税率を上げれば・・」の間違いではないかと一瞬考えてしま
いますね。そういう疑問を発する人に対して、ラッファーは添付
ファイルのような簡単な図を描いたのです。
横軸に「税収」、縦軸に「税率」を取ります。税率がゼロのと
きは無税ですから、税収はゼロです。曲線はA点を通ります。税
率が100%になると、課税所得はすべて税金で取られるので働
く人はいなくなります。企業も国外に脱出するので、税収はゼロ
です。そうすると、曲線はB点を通ることになります。このAと
Bを通る楕円曲線を「ラッファー曲線」というのです。
ラッファー曲線の黄色い領域は、税率を上げて行くと税収が上
がる領域です。しかし、ブルーの領域に入ると税率を上げると逆
に税収が減ってしまうのです。
したがって、もし国の状態がブルーの領域にあると判断したと
きは、税率を下げた方がかえって税収は増えるのです。レーガン
は、需要を喚起するよりは供給力を強めて経済成長を達成しよう
という「サプライサイド経済学」の考え方を採用したのです。国
の状態が、まさにブルーの領域にあると判断したからです。
しかし、サミュエルソンはこれを「インチキ」とこきおろして
います。富裕層に対する減税によって税収が増えるためには、減
税分を上回る社会全体の所得増加がなければならないのです。レ
ーガンは、法人税の減税と所得税の累進税率を下げましたが、か
えって税収が減り、それでも軍事費を増やしたので、大幅な財政
赤字を招いたのです。 ──[新自由主義の正体/24]
≪画像および関連情報≫
●「アメリカ経済50年史」より/あるブログより
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元映画俳優という経歴を持つレーガンであるが、飛行機が苦
手で、汽車に乗ることが多く、その汽車の中でハイエクの著
書などを通読していたという。アリゾナ州の上院議員のバリ
ー・ゴールドウォーターと出会うと意気投合、ゴールドウォ
ーターの政治観と自分の政治観は全く同じだと感じるように
なる。ゴールドウォーターの背後には「マネタリズム」のフ
リードマンがおり、後にフリードマンはレーガンによってス
カウトされ、レーガンに登用される。ゴールドウォーターは
どんな政治観であったかというと、「私は政府の合理化や効
率化に殆んど関心がない。私は政府の規模を縮小するつもり
だ」というハイエク的な新自由主義思想で、後に【レーガノ
ミクス】と呼ばれるものの原型であったとされる。元俳優で
あるレーガンは「選択の時」と題されたテレビ演説が大好評
を博して、一躍、人気政治家になり、そのまま大統領まで登
り詰めた。(レーガンはゴールドウォーターから妬まれたら
しく、共和党内で確執を起こしている。)効率性を重視した
サプライサイド経済学は反ケインズ的で、公共支出による需
要主導ではなく、民の活用を意味しており、具体的には、そ
れが規制緩和と法人税減税であった。また、レーガンはグリ
ーンスパンを社会福祉改革委員長に回し、ポール・ヴォルカ
ーをFRB議長に据えて、金融引き締めも行なった。
http://bit.ly/UpJGKT
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ラッファー曲線