2014年05月12日

●「1%が99%の富を収奪する仕組」(EJ第3787号)

 この4ヶ月間経済の問題を書いてきて感じたことがあります。
この世の中は、どんなにあがいてもある方向に強引にもって行か
れようとしているように感じるのです。
 この動きは日本だけでなく、世界中で起こっている現象です。
デフレ、構造改革、金融緩和、規制緩和・撤廃、法人税減税、所
得格差拡大、TPPなどの各種通商協定などなど──こういうこ
とは世界中でいわれていることなのです。
 昔の話ですが、次のような話を聞いたことがあります。「80
対20の原則」に関する話です。
―――――――――――――――――――――――――――――
   世の中のお金の80%は20%の富裕層が握っている
―――――――――――――――――――――――――――――
 この場合、20%の人たちとはユダヤ人であるということだっ
たと思います。ごく最近になって似たような言葉を発見したので
す。それも複数の本からです。
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        1%が99%の富を収奪する
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは「世の中のお金の99%は1%の富裕層が握っている」
ということを意味しています。収奪をする比率が大幅に上がって
います。この「1%」論争に火を点けたのは、ノーベル賞受賞経
済学者のジョセフ・スティグリッツ教授です。それは、スティグ
リッツ教授の次の論文からはじまったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      「1%の1%による1%のための」
       Of the 1%,by the 1%.for the 1%
―――――――――――――――――――――――――――――
 この恐るべき富の収奪システムと深く関係するのが、新自由主
義なのです。新自由主義には賛否両論がありますが、経済評論家
の上念司氏は、新自由主義について次のように述べています。
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 新自由主義とは国家が強力な権力を持って一部の資本家だけが
 有利になるように市場に介入し、さまざまなルールをつくりか
 えてしまう体制のことだそうです。経済分野において、新自由
 主義は国家全体の経済厚生を犠牲にしてでも大企業に有利な参
 入規制や税金免除、補助金、労働規制緩和、労働組合活動の弱
 体化などを行い、一部の特権階級に儲けを差し出すように国家
 が介入するしくみです。
    ──上念司著『アベノミクスを阻む「7つの敵」/消費
   増税と「トンデモ経済学」を論破する』/イーストプレス
―――――――――――――――――――――――――――――
 上念司氏の定義によると、新自由主義とは、現在の安倍政権の
やろうとしていることに酷似しています。自民党は意識してそう
しているというよりも、とくに意識しないでひたすらその方向を
目指しているような気がします。
 2014年4月27日(日)に放送されたNHKスペシャルを
ご覧になったでしょうか。
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 ◎NHKスペシャル
 調査報告:女性たちの貧困/“新たな連鎖”の衝撃
 2014年4月27日(日)/午後9時00分〜9時49分
―――――――――――――――――――――――――――――
 母親と娘2人の家族が、母親が非正規雇用の低賃金のため、ア
パートの家賃が払えなくなり、ネットカフェで、3人別々の部屋
で暮らすようになるのです。姉は進学をあきらめ、母親と一日中
アルバイトをするのですが、3人が食べるのがやっとの生活を過
ごしているのです。
 労働規制緩和による非正規雇用の悲惨さ、いくら働いても最貧
の生活から脱出できない毎日の暮らし。今や親の貧困が子供に連
鎖しているのです。これが世界第3位の経済大国の庶民の生活な
のです。偶然この番組を見て衝撃を受けました。これが新自由主
義なるもののもたらす一面なのです。
 NHKによると、放送後番組サイトが、異例のページビューを
記録したそうです。通常8千程度のページビューが、60万を超
えたのです。そして、寄せられたのは「他人事では決してない」
という切実な声だったといいます。
 私はこの番組を見て、国民にそういう暮らしをもたらす新自由
主義なるものにメスを入れ、多くの人に知ってもらう必要がある
と考えたのです。
 そういうわけで、EJの2014年の第2のテーマを次のよう
に設定して今日から連載していくことにします。
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   1%を豊かにする悪魔の正体/新自由主義とは何か
     ─ どうすれば悪魔を阻止できるか ─
―――――――――――――――――――――――――――――
 たかが経済学の「考え方」ではないかという人がいます。しか
し、その「考え方」が恐ろしいのです。共産主義も1848年に
カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが著した『共産党
宣言』という国の統治の「考え方」が、1922年に共産主義の
実験国家ソビエト連邦を誕生させているのです。
 しかし、ソビエト連邦は国民経済の供給能力不足と国内の格差
拡大により、1991年末に崩壊します。その約70年もの間、
それは一部の共産官僚やノーメンクラツーラ(赤い貴族)をのぞ
く旧ソ連邦に居住する多くの市民を不幸にし、恐怖と貧困のどん
底に突き落とし苦しめたのです。たかが「共産主義」という「考
え方」がそうさせたのです。現在深刻化しつつあるウクライナ問
題もその一環であるといえます。
 新自由主義とはどのような考え方なのか。1%の富裕層とは何
者なのか──明日のEJから考えていくことにします。
               ──[新自由主義の正体/01]

≪画像および関連情報≫
 ●資本主義はなぜ自壊したか/ひまじんさろん
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  NHKニュースを観ていたら『資本主義はなぜ自壊したのか
  〜「日本」再生への提言』という中谷巌という経済学者の本
  と著者を紹介していた。「新自由主義経済学」は悪魔の思想
  だとして、歴代内閣でその「新自由主義経済学」を提言し、
  推進させてきたご本人が、真っ向から自分のこれまでの実績
  (?)を否定する本を出版した。不本意ながら入手し、彼の
  言い分を検証紹介してみよう。まず本の帯、これはこの本が
  なにを主張したいのかのキャッチフレーズのようなものだ。
  「リーマンショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、
  食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった」。「新自由
  主義経済学」は悪魔の思想だ!!広がる格差、止めどない環
  境破壊、迫り来る資源不足、そして金融危機―すべての元凶
  は、資本主義にあった!「構造改革」の急先鋒と言われてい
  た著者が、いま、悔恨を込めて書く警告の書。という内容は
  これまでも中谷氏や竹中平蔵氏の路線を批判してきた経済学
  者や週刊誌などがずいぶん前から主張してきた内容だ。しか
  し、その元凶の牽引車だった中谷巌がこういってしまったら
  あれほど熱狂させた小泉改革はいったいなんだったのという
  ことになる。           http://bit.ly/1kRG5NX
  ―――――――――――――――――――――――――――

ジョセフ・スティグリッツ.jpg
ジョセフ・スティグリッツ 
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新自由主義の正体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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