発言をしています。これが「日銀の異次元緩和」宣言です。
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消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を2年程
度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。このた
め、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年
間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上
に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。
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リチャード・クー氏によると、この黒田発言に欧米の金融関係
者は腰を抜かさんばかりに驚いたというのです。なぜ、驚いたか
というと、日本のマネタリーベースは、GDP比で見れば、福井
俊彦総裁や白川方明総裁の時代から欧米よりも遥かに大きかった
からです。これを2倍にするというのですから、仰天したわけで
す。これについては、添付ファイルのグラフを見てください。
ここで「マネタリーベース」について、その概念を明らかにし
ておく必要があります。日銀は通貨をコントロールできるといわ
れますが、実はコントロールできるのは、マネタリーベースに限
られるのです。日銀のホームページに解説されているマネタリー
ベースの定義は次の通りです。
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マネタリーベース=
「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」
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マネタリーベースは「日銀が発行する現金の量」のことですが
これには「日銀当座預金」が含まれるのです。日銀当座預金とは
各銀行が日銀に預けている預金のことです。日銀は、この口座を
使って銀行に資金を供給することはできますが、それをどれだけ
使うかは銀行の判断によって決められます。マネタリーベースは
ベースマネーとか、ハイパワードマネーとも呼ばれます。
マネタリーベースとよく似た言葉に「マネーサプライ」という
のがあります。マネーサプライとは市中に流通する現金通貨と預
金通貨の合計です。
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マネーサプライ=「現金通貨の量」+「預金通貨の量」
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量的金融緩和政策というのは、デフレなどで政策金利がゼロに
しても十分な景気刺激を実施できないとき、中央銀行が銀行の日
銀当座預金の残高量を増やすことによって銀行に資金を提供し、
融資を促す政策なのです。市中銀行は、日本銀行に置いてある当
座預金残高の額に比例して融資を行うことができるので、その当
座預金の残高を増やすことで、市中のマネーサプライを増やそう
とする政策なのです。
さて、日本のマネタリーベースに話を戻します。日本のマネタ
リーベースは、米国のFRBが量的緩和政策を「QE1」「QE
2」「QE3」の3次にわたって実施していますが、それでもG
DP比でみれば、日本の白川総裁時代の水準に遠く及んでいない
のです。日本のマネタリーベースはそれほど大きいのです。
それでは、どうして日本のマネタリーベースはこんなに膨れ上
がったのでしょうか。
これについて、リチャード・クー氏は、日本と欧米の文化の違
いがあるとして、次のように述べています。
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なぜ日本の方が何倍もあったかというと、日本の場合は個人
も企業も現金や銀行預金をたくさん持っているからだ。現金は
まさにマネタリーベースそのものである。しかも、クレジット
カードが普及している欧米に比べ、日本ではまだ現金による取
り引きが大きなシェアを占めている。(中略)この日本と欧米
の違いには文化的な要因も背景にあるのだと思われる。欧米、
特にアメリカの企業は収益が増えて手元の預金や現金が増える
と、すぐにそれをどこかの金融市場や株で運用して、高い利回
りを取ろうとする。そういう意味では彼らは非常に貪欲なとこ
ろがあるのである。(中略)一方、日本の企業は手元の現金や
銀行預金が増えてもすぐそれを高利回りの金融商品で運用して
高い収益を上げようという行動はとらない。
一方、日本の会社は、自分たちにはきちんとした本業がある
のだから、たまたま増えた預金の利回りを上げるために限られ
た経営資源を資金運用に投入するわけにはいかないという判断
をするからだ。これは決して悪い判断ではないし、本業に最優
秀な人材を投入してきたからこそ、日本企業はここまで優れた
製品を作ることができたのである。 ──リチャード・クー著
『バランスシート不況下の世界経済』/徳間書店
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問題は、量的緩和政策をとって市場にジャブジャブの資金を供
給すると、なぜ景気がよくなるのでしょうか。
このようにいうと、実際にアベノミクスがはじまってから、株
価は上昇したではないかという人がいるかもしれません。しかし
それはたまたま海外の資金が大量に日本に流れ込み、円を売って
株を買ったからであり、日本の機関投資家は債券市場にとどまっ
ていて動いていないのです。
しかし、それも終わりを告げているようです。この原稿は3日
の昼に書いていますが、日経平均は212円下落しています。ド
ル/円は102円です。今後どのように変化するかはわかりませ
んが、これで4営業日連続で、株は下落しているのです。
米FRBの量的緩和縮小の実施によって、海外の資金が日本か
ら引き上げられ、アベノミクスは一つの終わりを迎えている可能
性があります。だが、第2の矢と第3の矢が残っています。これ
をどのように使って、株価を押し上げる政策を展開すればよいの
か。それはすべて安倍政権の今後のやり方にかかっています。
── [消費税増税を考える/23]
≪画像および関連情報≫
●海外投資家はアベノミクスに失望?今後の行方は?
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慶應義塾大学の竹中平蔵教授が、2日に開かれた講演会で、
「アベノミクス」に対する「海外投資家の失望感は非常に高
まっている」ことを指摘したことが注目を集めている。先月
31日におこなった記者会見では、2013年における消費
者物価指数の平均が前年比0・4%上昇と5年ぶりにプラス
に転じたことについて麻生財務相が経済政策の成果と述べ、
また昨年12月の月例経済報告では、「デフレ」の表現が削
除されているが、一方で4月の消費増税後に景気の動向がど
のように変化するかは不明であり、6月に示される新たな成
長戦略の道筋に失望感が集まれば、事態は停滞局面を迎える
可能性もある。こうした中でアベノミクスの「期待感」がい
つまで続くかという問いかけが現実味を帯びてきたからだ。
竹中教授が指摘する様に、アベノミクスの行方を占う声は海
外でも分かれている。ウォール・ストリート・ジャーナルは
最近アベノミクスの懸念事項について貿易赤字と絡めた形で
立て続けに記事を公開したが、その中では2013年の日本
の貿易赤字が1985年以来で最大になったこと自体は問題
ないものの、このことがアベノミクスと現実に格差をもたら
していると指摘し、警戒を求める声が見られた。また、昨年
末の靖国参拝以降、海外メディアの目がアベノミクスから、
「危険なナショナリスト」としての安倍首相の動向へとシフ
トしていることは、決してポジティブな材料ではない。
http://bit.ly/1ibj6uT
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●グラフ出典/ リチャード・クー著
『バランスシート不況下の世界経済』/徳間書店
日本のマネタリーベースと欧米比較
12/30大納会高値から2,300円以上の大暴落です。
1.これは、世界は安倍晋三自民党アベノミクスに見切りをつけたのか?
2.安倍晋三自民党よ調子になるな。都知事選で勝ったら承知しないぞ。と言いたいのか?
株の暴落開始日、都知事選挙の告示日1月23日とぴったり一致しますね。きれいに、一斉に、暴落を開始しています。1月に入って、これから上げようとしていた矢先に大暴落です。
不思議なことに、大暴落しているのに、出来高が急増している。誰かが仕掛けていると見るのが普通でしょうね?
アベノミクスそのものを否定したのなら、暴落はもっとひどく長いものになるでしょうね。
でも、安倍晋三自民党が、都知事選で勝ったら、さらに、2,000円下げるという見方ができますね?
アベノミクスを続けたいなら、安倍晋三自民党は、都知事選で勝つな。という世界の金融業界マネーの要求のような気がします。
明日、500〜1000円戻せなければ、この推測は正しいものになるでしょう。
株屋さんは、自民党に勝たせないことだ。それか、空売りの追撃売りをしますか?これは、大けがをするでしょうね?