で書いてきていますが、田原総一朗氏は本人に直接そのことを聞
いているので、ご紹介します。
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田原:竹中さんの悪口というか、必ず竹中さんを批判するのは
「あの人は新自由主義者である」と。ね。新自由主義と
は何か。要するに競争だと。ね、新自由主義の人は競争
なんだよ。競争ばかりやっていると格差がどんどん出て
くる。しかも勝てる人はごくわずか。そして敗者がいっ
ぱい出てくる。(中略)しかも、新自由主義者は「小さ
い政府」といって、あまりマーケットに政府が介入しな
い。もっといえば、規制とか、あるいは社会保障とか、
自己責任でやれという考え方であると。まさしく竹中さ
んは新自由主義者だとね。この辺、どうですか。
竹中:よく言うんですけど、小さな政府か大きな政府か、新自
由主義者かどうかっていう「レッテル貼り」はですね。
田原:レッテル貼り。
竹中:これはもう、典型的なレッテル貼りですよ。レッテル貼
りというのは議論において何を意味するか・・。「問答
無用」ということを意味するんですよね。小泉さんに対
しても議論がありましたけども、「小泉さん経済わかっ
ていない」と一度レッテルを貼ったら、いくら反論して
も、もう問答無用なのです。中身の話、何にもしていな
いんですよ。だいたい、「新自由主義」って何言ってい
るかよくわからないですよね。
田原:強いて言えばね、竹中さん、レーガンやサッチャーがや
ったような、ハイエクに学んだような政策をとり入れて
これがまあ、新自由主義といわれて───。
竹中:ところが小泉内閣ではそんなことやっていないのです。
「小さな政府」って言いましたけども、小泉内閣で政府
小さくなりましたか?なってませんよ。(中略)「小さ
な政府にして混乱が起きた」とか、「格差を生んだ」と
か、まったく事実と反します。それと「規制緩和ばかり
やった」というのも全然違います。例えば、私が不良債
権を処理したとき、何をやったかというと、実は「規制
強化」したんです。規制を強化しないと、不良債権処理
はできませんから。
──田原総一朗×竹中平蔵/『ちょっと待って!/竹中先生
アベノミクスは本当に間違ってませんね?/ワニブックス
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竹中平蔵氏はとても話術は上手です。このやり取りは田原さん
の突っ込みが甘いせいもあって、竹中氏は巧みに問題をすり替え
て話しています。質問としては、新自由主義者かどうかではなく
「供給側を強化すればどうして経済が活性化するのか」という点
に絞って問い詰めたら、竹中氏の経済に関する考え方をもっと鮮
明にできたと思うのです。
田原総一朗氏は「法人税減税」についても、竹中氏に聞いてい
る部分があるので、引用します。
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田原:(法人税減税について)でも、国民はあまりピンと来て
いない。何で全国民から消費税を取るのに、企業は減税
なんだって。しかも、日本企業の約7割が法人税を払っ
ていないともいわれ、法人税減税の効果を疑問視する声
も少なくありません。どうですか?
竹中:それは違うと思いますよ。法人税を下げて企業が強くな
ったら、庶民にメリットがあるんです。企業が収益を上
げ、日本の経済が上向きになったら、必ず、庶民にも恩
恵が来ますよ。結局、「生活が一番」といって子ども手
当をバラまいても、庶民のためにならないんです。庶民
の生活はそんなもんで良くならないんですよ。
──田原総一朗×竹中平蔵共著の前掲書より
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ここで竹中氏は「トリクルダウン理論」、すなわち「おこぼれ
理論」を展開しています。この言葉が竹中氏が何よりも新自由主
義者であることを物語っています。政治は「国民の生活が第一」
としている小沢一郎生活の党代表の哲学と100%相容れないこ
とがこれでわかります。
竹中氏の考え方は、大企業が潤えば、それはやがて中小企業に
波及し、一般庶民にも利益をもたらすというトリクルダウン理論
を臆面もなく主張しています。竹中氏は、教皇フランシスコの福
音をどのように受け止めるのでしょうか。
経済評論家の渡邊哲也氏によると、産業競争力会議に、帰属す
る地域のない人々──グローバリストが多く集まっているといっ
ています。竹中氏も三木谷氏もそのグローバリストの1人である
というのです。共産主義者、社会主義者、新自由主義者は、この
国家を持たない、帰属地を持たないという点で一致しています。
彼らは、国家・国民に根ざすことなく、国にあれこれ注文をつ
けるところがあるのです。「日本はガラパゴス化している」とか
「日本は構造改革が遅れている」とか「日本の仕組みは古い」な
どと注文をつけるのです。
しかし、経済政策というものは、国家・国民に根ざして考える
べきなのです。日本経済は良い悪いはあるにしても、多様性に根
ざしています。中小零細企業が多数あって、産業分野も分散して
いるという特性があります。これを底力として、日本は豊かな国
になったのです。
しかし、グローバリストは、そういう日本の特性である多様性
を無視して、特区だ、競争だといって、それを否定し、国の仕組
みを変えようとするのです。安倍政権は、こういうグローバリス
トたちに、産業構造、企業構造、生産構造の変革を委ねているこ
とになります。 ── [消費税増税を考える/18]
≪画像および関連情報≫
●成長戦略改定を議論 政府の産業競争力会議/1月20日
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政府は1月20日午前、年明け初めての産業競争力会議(議
長・安倍晋三首相)を首相官邸で開き、6月の成長戦略の改
定に向けた議論を始めた。同日に決める検討方針には、法人
実効税率の引き下げに向け、法人税を納める企業を増やす課
税ベースの拡大などを明記。専業主婦を優遇する配偶者控除
の見直しの検討などを掲げ、女性の就労促進策も柱の一つに
据える。検討方針には雇用・人材、医療・介護、農業を中心
に、昨年の成長戦略「日本再興戦略」で踏み込み不足との指
摘が出た項目が並ぶ。関係する省庁や団体などの抵抗が強い
テーマが多く、安倍政権がどこまで実行できるかが焦点。民
間議員を交えて具体策を練る。医療分野では、複数の医療法
人や社会福祉法人をまとめて運営できる制度の創設などを議
論。持ち株会社の仕組みの解禁で病院や介護施設を一体運営
できれば、経営の効率化が見込める。環太平洋経済連携協定
(TPP)交渉に関する農業分野では、農協や農業生産法人
の改革も対象だ。競争力会議では、今後3年間で実施する成
長戦略の実行計画もまとめ、21日に閣議決定する。産業の
新陳代謝を促す企業支援や、地域を限って規制を緩める国家
戦略特区などに関する具体的な内容や実施時期、担当閣僚を
明記。計画の実行に向け、24日召集の通常国会で約30の
関連法案の成立をめざす。毎年1月に計画の達成具合や進捗
状況を確認する。 ──日本経済新聞
http://s.nikkei.com/MeAAwn
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竹中 平蔵氏と田原 総一朗氏