2014年01月24日

●「国家戦略特区法を知っていますか」(EJ第3716号)

 昨年の暮れの12月6日に「国家戦略特区法」という法律が成
立したことを知っているでしょうか。
 12月6日といえば、特定秘密保護法案が深夜の参院本会議で
可決・成立した日であることは、テレビであれほど報道されたの
で、誰でも知っています。その採決のしかたの乱暴さを巡って自
民党に非難が集中したのです。
 しかし、その同じ日に国家戦略特区法が成立したことを知る人
はほとんどいないはずです。しかも、この国家戦略特区法案は、
委員長が審議継続を求めたことから、自民党は委員長を解任し、
強制可決したのです。問答無用の無茶苦茶なことをやっているの
ですが、メディアが報道しないので、知る人は少ないのです。こ
れには野党ではみんなの党が賛成しています。
 この「国家戦略特区」を創設するための法案は、総理大臣を議
長とする「国家戦略特区諮問会議」を内閣府に設置することや、
特区ごとに「国家戦略特区会議」を設け、新たに任命される特区
担当大臣と関係自治体の長、それに民間事業者の3者が事業計画
を作成することなどが盛り込まれています。
 この国家戦略特区──これはアベノミクスの第3の矢といわれ
安倍首相はこれを「成長戦略の一丁目一番地」と強調しています
が、一体何のことか、多くのことはまだ見えていないのです。そ
してこれを仕切っているのが、あの竹中平蔵氏なのです。
 安倍首相は、2012年9月の時点では、第1の矢と第2の矢
のことしかいっていなかったのです。政権党がまずやるべきこと
は、デフレの脱却であり、そのためには、第1の矢である金融政
策と第2の矢である財政政策を実施すべきであるといっており、
第3の矢のことは何もいっていないのです。
 安倍氏の宣言に選挙前から市場は強い反応を示し、円安/株高
の流れができたのです。選挙に勝って首相になった安倍氏は、第
1の矢と第2の矢を実行に移し、円安/株高の流れを確かなもの
にしたのです。あとは放っておけばよかったのです。
 さらに欲をいえば、浜田宏一特別参与のアドバイスを入れ、消
費税増税を延期していれば大正解であったのです。そうすれば、
日本経済はデフレから完全に脱却できたはずです。
 安倍首相は本当はそうしたかったと思います。しかし、首相に
そうさせない2つの勢力があったのです。1つは財務省であり、
もう一つは竹中平蔵氏です。
 財務省としては、消費税増税のスケジュール通りの実施は一歩
も譲る気はなかったのです。そこで、日本は民主党の歴代政権が
G7などの国際会議において、財政健全化のための消費税増税を
国際公約にしてきていることを強調したのです。といってもそう
させたのは、ほかならぬ財務省なのです。
 したがって、もし、増税を見送ると国際的にマイナスの評価を
受けるとして、不退転の覚悟で実施すべきであることを首相に説
いたのです。つまり、やるリスクよりもやらないリスクの方が大
きいと説得したのです。財務省のレトリックです。財務省の御用
学者も一斉に増税すべきであることをテレビなどで発言していま
す。結局安倍首相は財務省に屈したのです。
 もうひとつは、第1の矢と第2の矢に加えて第3の矢が必要で
あるとする竹中平蔵氏の意見を安倍首相が取り入れたことです。
これによって、安倍首相は第3の矢のことをしきりにいい出すよ
うになったのです。これについて、三橋貴明氏は自著にこう書い
ています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2本の矢だけでは不足ですよ。もう一つ、成長戦略も追加して
 3本の矢と称しましょう。山口県(旧長州藩)出身の安部総裁
 が3本の矢と言えば、フレーズとして受けますよ。
                      ──三橋貴明著
 『2014年世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機』/徳間書店
―――――――――――――――――――――――――――――
 実はこのあたりから、アベノミクスは少々おかしくなっていく
のです。竹中氏が所属する産業競争力会議は、政府の成長戦略を
策定する会議であり、有識者の委員には有名一流企業の経営者が
多く参加しています。
 しかし、彼らは経営者としては一流であっても、閣僚などの経
験はないので、そういう意味で小泉内閣で経財担当相、総務相の
経験があり、経営者としてもパソナの会長でもある竹中平蔵氏の
影響力は相当大きなものがあると思われるのです。
 しかし、もうひとつの経済財政諮問会議の方が、格は上のよう
に思われます。この会議には、安倍首相はもとより麻生財務相、
菅官房長官、甘利経済再生相、黒田日銀総裁などがメンバーとし
て常時参加しています。
 当初、安倍首相は竹中氏を経済財政諮問会議の委員にする予定
でしたが、麻生財務相の強い反対でできなかったのです。もとも
と小泉政権で経済財政諮問会議を作って、それを最大限に生かし
たのは竹中氏であり、竹中氏としては表面上は平静を装ってはい
たものの、内心忸怩たるものがあったと思われます。
 産業競争力会議で竹中氏は、徹底して「規制緩和」を説いてい
ます。そしてその実験装置として打ち出したのが、「国家戦略特
区」なのです。経済評論家の渡邊哲也氏は、これを評して次のよ
うにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     新自由主義に染まった危険な「3本目の矢」
                  ──渡邊哲也氏
―――――――――――――――――――――――――――――
 竹中構想は、昨年12月に「国家戦略特区法」の成立を受けて
この1月21日には自民党総務会に「産業競争力強化の実行計画
案」が提出されています。安倍首相としては、これをスイスの世
界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発表する予定だった
のですが、総務会は「性急過ぎる」として計画案の了承を見送っ
ているのです。      ── [消費税増税を考える/14]

≪画像および関連情報≫
 ●自民党:官邸主導でギクシャク 官房長官「手違い」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  菅義偉官房長官は22日、自民党の石破茂幹事長と党本部で
  会談し、21日の党総務会で政府の産業競争力強化実行計画
  の了承が見送られた問題について、「党への説明が十分でな
  かった。今後はできるだけ早く説明して進めていきたい」と
  伝えた。政府は党幹部らに改めて説明し、了承を取り付けて
  閣議決定する考えだ。ただ、この日の党会合でも再び批判が
  出るなど、「政高党低」の現状に対する党側の不満はくすぶ
  りそうだ。菅氏は会談後の記者会見で「今回は政府の手違い
  だった。(政府と党側の)そごでも何でもない」と強調。同
  党は、党内審査が必要な対象に、法案や条約▽予算・財政の
  重要案件▽計画や戦略など党政調会長が必要と判断した閣議
  決定案件──を挙げている。一方、22日の党厚生労働部会
  では、政府の産業競争力強化実行計画について「厚労省も関
  係するのに(厚労部会に)説明がない」「国民の代表より計
  画を作った民間議員の方が上なのか」などと異論が噴出。政
  府に改めて説明を求めることを決めた。党三役経験者の一人
  は「今は官邸主導で何でも物事を回そうという空気で、丁寧
  さを欠いた。(閣議決定が遅れたことで官邸サイドは)結果
  的に安倍晋三首相のメンツをつぶしてしまった」と話した。
        ──毎日新聞【横田愛、鈴木美穂、中島和哉】
                   http://bit.ly/LSSnJb
  ―――――――――――――――――――――――――――

竹中平蔵氏.jpg
竹中 平蔵氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「日本国憲法が定める都知事と国民の政治権限」

0.「カンボジアロシア国際学術交流都知事選挙実地見学実数計測研修団招聘」
「都知事選、確実に不正選挙が敢行されるとみます。」RKブログ
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201312/article_108.html
>いよいよ国連に選挙監視団を派遣してもらわないといけないようだな 情けないことだ!!
>黄昏時のパルチザン兵士さん2013/12/25 19:16

カンボジアのアツヒト村教師学徒村役場の人たちと、ロシアウクライナの選管委員の人たちを招待して日本の学徒と一緒に日本ユダ金スパイ政府の不正都知事選挙を期日前投票から開票当日まですべての投票を一票残らずカウント集計してもらって日本政府総務省選管マスゴミ不正選挙共犯ぶりをじっくり見学してもらうとよいね。都内の大学の人文系教室が諸費用を負担して招聘すればよい。円建てなら2カ国でもごく安い費用でアカデミックな国際選挙監視団を学術文化交流として招聘できるから。
国連の大使だった故中田厚仁君のお父さん武仁氏にこの2カ国から不正選挙見学視察学術交流団の招聘を仲介してもらえば迅速に達成できるでしょう。http://www.youtube.com/watch?v=jC7J9kFXwdM&feature=player_embedded


1.「全国地方自治体住民の生活でもっとも大切な治安を守るには住民の生活の安全を脅かす違法営業施設を法律で強制撤去することが絶対必要である」

江戸の治安を守るには違法営業施設パチンコ屋と暴力団事務所の撤去が第一である。
「都知事は住民生活を危険にさらすパチンコ屋と暴力団事務所を法律で全都内から強制撤去せよ」

東京都も名護市も福島双葉市も同じだが、地域の治安を直接乱しているのは違法賭博業パチンコ屋であり、非合法組織事務所である暴力団事務所の存在であるからして、都道府県市区町村首長はまず自分の統轄行政区内から警察に命令してこの2つの施設を強制執行で最大迅速に撤去せねばならない。これは誰がどこの首長になっても全国的に同じことである。原発やオリンピックや消費税、TPP、秘密保護法など地方行政でなく国政に関する事項は、この非合法施設撤去という緊急治安行政課題を達成したあとで、日本国憲法前文「正当な選挙で」代表を選んだ国会でじっくり議論して方針を煮詰めてゆけばよい。

「憲法に基づき公僕公務員は主権者国民全体に奉仕する神聖な責務を果たせ」
全国の警察が自転車道交法違反を取り締まるための講習を小中学校で始めたそうだが、ふざけるんじゃない。まじめな自転車通学児童通勤社会人を愚劣なくだらん道交法官僚立法(違憲である)法律法令変更で取り締まる前に、そもそも憲法に非合法のパチンコ屋と暴力団事務所を所轄区域内から一掃せよ。それが憲法によって作られた公僕警察本来の第一責務である。非合法組織摘発排除をしない今の警察は給料泥棒税金泥棒憲法99条違反内乱罪組織である。憲法遵守して謹厳実直に納税している主権者国民は憲法破壊公務員公僕を断じて許さない。
http://nueq.exblog.jp/18942965/


2.「放送法は個人私有のテレビに強制的に課金して基本的人権の財産権を侵害する違憲立法である」

>【お前が言うな】ケネディの娘「日本人はイルカ食べるのやめれ、かわいそうでしょ」ちるみぃさんのブログへコメントhttp://blog.goo.ne.jp/kill_me_deadly/e/bf13fc452e7229ba1f70d74b8cb77fa0

「都民はテレビを捨てれ」

「都知事はすべての公共施設官公庁庁舎からテレビをすべて廃棄命令せよ」
これは公務員汚職の摘発でもある。テレビを捨てない官公庁施設職員は全員公金不正使用刑事犯罪現行犯で逮捕起訴有罪となり(これは公金から不正にNHKへテレビ視聴料を支払い、電気を使って視聴することで不正に施設維持運営費からテレビの電気料金を流用支出している税金泥棒窃盗行為であるよってw)、自動的に懲戒免職と損害賠償支払いを命じられることになるからそう思えよ。
Posted by 東行系 at 2014年01月24日 20:27
「田布施人脈」中曽根〜小泉〜(鳩菅野田)〜安倍の憲法破壊暗黒政治

1.謀略が跋扈した小泉政権下で起きた事件だった
    現役の国会議員が刺殺された衝撃的な事件(戦後三人)・・・
「きょう命日 石井紘基・8周忌 〜誰に殺されたのか」http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2010/10/post_1880.html

2.借金800兆円の原因は「中曽根税制改革」か
http://blog.goo.ne.jp/kintaro-chance/e/0c43b0f0bfdd7b6d9e6f20ec6eec560a
・・・
保坂展人(社民党)
Jun 18th
http://twitter.com/hosakanobuto/status/16423823512
菅総理が消費税10%に言及しているが、22年前につくられた消費税納税総額が224兆円で、この期間の法人3税減税額が208兆円だったということをどう考えるのか。消費税のみを取り出した議論は税務官僚の得意技。
・・・
Posted by 東行系 at 2014年01月25日 00:15
「伊藤博文田布施人脈」吉田〜中曽根〜小泉〜(鳩山菅野田)〜安倍の憲法破壊暗黒政治

.伊藤博文田布施人脈
http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/472.html#c139
Posted by 東行系 at 2014年01月25日 08:06
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