2014年01月21日

●「サプライサイド経済学の経済成長」(EJ第3713号)

 いわゆる新自由主義理論のひとつとして、供給側を強化するサ
プライサイド経済学というものがあります。これは、「需要」と
「供給能力」のうち、供給能力の方を強化することによって経済
成長を促進させるという経済学の考え方です。
 国家の役割を縮小し、なるべく市場原理に委ねることによって
個人や企業の経済活動を自由にし、供給能力を高めようとするの
です。そして、国家としては「小さい政府」を志向します。
 1981年に発足した米国のロナルド・レーガン政権には、サ
プライサイド経済学を志向する経済学者や通貨供給や金利操作な
どの金融政策を重視するマネタリスト、市場原理重視の経済学者
が多く政策ブレーンとして参加し、レーガノミックスを推進して
一定の成果を収めたのです。そしてこれらの経済政策は、それ以
降の米国経済政策の主流を占めるようになっていったのです。
 サプライサイドの能力を高める具体策について、三橋貴明氏は
次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 まずは法人税減税で企業に投資させ、供給能力を増やす。さら
 には、国営企業は基本的に競争をしないため、民営化を促進し
 て市場競争を激化させる。ただし、民営化を進めても、競争相
 手がいなければ、供給能力は増えないため、外資を積極的に導
 入する。すなわち外国の資本を受け入れる。各種の関税や「非
 関税障壁」を撤廃すれば、外資系企業が一気に参入し、競争激
 化により民営化された旧国営企業の供給能力が上がっていく。
 簡単に書けばこのような理論だ。もちろんサプライ・サイド経
 済学では各種規制緩和や投資の自由化もセットになっている。
 「規制やルールが多すぎて、供給能力が上がらない」という、
 基本的な発想があるのである。       ──三橋貴明著
           『真説日本経済』/KKベストセラーズ
―――――――――――――――――――――――――――――
 これを見るとすぐわかることは、かつての小泉内閣や現在の安
部内閣がやっていることにそっくりであることです。これら2つ
の内閣には、いずれも竹中平蔵氏が深く関与しています。小泉内
閣では経済財政担当相として、安倍内閣では産業力競争会議の委
員として、竹中氏は強い影響力を発揮しています。
 安倍首相としては、本当は竹中氏を経済財政諮問会議の委員に
したかったのですが、麻生財務相の根強い反対によって、産業力
競争会議の委員にせざるを得なかったのです。そのため、産業力
競争会議では、第3の矢である成長戦略に竹中氏の主張する規制
緩和が色濃く打ち出されているのです。
 ところで、竹中平蔵氏はデフレについてどのような立場に立っ
ているのでしょうか。竹中氏は2013年7月3日の「ITジャ
パン/2013」で、デフレについて次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 デフレの原因は、人口減少でも需給ギャップでもなく、マネー
 の量が少ないということ。         ──三橋貴明著
 『2014年世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機』/徳間書店
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、竹中氏はデフレについて「貨幣現象派」に立っ
ていることは明らかです。ここで「人口減少」といっているのは
藻谷浩介氏の説(藻谷浩介著、『デフレの正体/経済は「人口の
波」で動く』/角川書店)のことをいっているのですが、これに
ついて竹中氏は田原総一朗氏との対談で、次のように明確にその
説を否定しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 竹中:確かに人口が減ると、よく考えればわかるように、需要
    が、つまり、モノを買う力がそんなに増えないから、デ
    フレ的になる可能性はあるのです。
 田原:もうちょっと具体的にその本の内容を言いますと、実は
    人口が減っているというよりも、仕事をしている現役世
    代の人口が減って、仕事をしない年寄りの人口が増えて
    いる、という言い方でしたね。
 竹中:はい、それも含めてなんですけど、実は世界で日本だけ
    がデフレと申しましたけれども、世界中を見ると、人口
    が減っている国は24ヵ国あります。その24ヵ国のう
    ち、例えばロシアは人口が減っています。ウクライナも
    人口が減っています。でも、ロシアもウクライナも物価
    の上昇率はプラスの6%です。だから、人口が減るから
    デフレになるというのは間違いです。
  ──田原総一朗×竹中平蔵/『ちょっと待って!/竹中先生
   アベノミクスは本当に間違ってませんね?/ワニブックス
―――――――――――――――――――――――――――――
 この本のなかで竹中氏は、デフレと需給ギャップ(総需要の不
足)を否定してはいないのです。不況が長く続くと、需要不足が
起こり、モノの価格が下がることを認めています。しかし、デフ
レの真の原因は「マネーの不足」であるとして、次のように主張
しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 小泉政権下では「需給ギャップ」をなくしたんですけど、その
 ときもまだデフレだったのです。でも、2006年になって、
 「あ、これでデフレは克服できる!」と私たちは自信を持って
 いたのです。ところが、何を思ったのか。2006年3月に日
 本銀行は、それまで5年間行ってきた量的緩和をやめちゃうわ
 けです。これはもう、絶対に間違いだと私、思いました。
           ──田原総一朗×竹中平蔵の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 確かに、添付の「日本政府と民間の収支推移」のグラフを見る
とわかるように、基礎的財政収支は2006年〜2007年には
ゼロに限りになく近づいています。竹中氏は、日銀が量的緩和を
やめたこと、マネーを足りなくすることがデフレの原因であると
主張しているのです。   ── [消費税増税を考える/11]

≪画像および関連情報≫
 ●日本のデフレは人口減少が原因なのか/高橋洋一氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  かなり多くの人々が「デフレ人口原因論」に共感していてい
  るようなので、このコラム「俗論を撃つ!」にふさわしい話
  題だ。まず2つの主張であるが、その代表的な出典を明らか
  にしておこう。「デフレ人口原因論」は藻谷浩介著『デフレ
  の正体』(角川書店)、「デフレ金融政策原因論」は、私の
  『日本経済のウソ』(ちくま新書)である。その上で、両書
  を読み比べると、驚くことに肝心要の「デフレ」の意味が異
  なっている。異なった「デフレ」をそれそれで分析対象にし
  ているので、異なった政策的インプリケーションがでてくる
  のだ。そもそもデフレとはdeflation の日本語訳で、その意
  味は一般的な物価水準の持続的下落である。国際機関などで
  は、GDPデフレータが2年続けてマイナスの場合をいう。
  ここで一般的な物価水準というのは、個別品目の価格ではな
  く全品目の加重平均である「物価指数」を指す。この意味で
  「deflation」 は、一般物価というマクロ経済現象の話だ。
  「日本経済のウソ」では、この国際標準の「デフレ」の意味
  で、一貫して書かれている。その上で、デフレの問題は、デ
  フレが雇用喪失や設備投資減少を引き起こすことが書かれて
  いる。そのロジックは、マクロ的な意味での名目賃金や名目
  利子率には下方硬直性があるために、一般物価の下落に対し
  て、名目賃金や名目利子率がうまく対応できず、結果として
  実質賃金や実質利子率(それぞれ名目値から物価上昇率を引
  いたもの)が高くなるからだ。   http://bit.ly/1bm1aNh
  ―――――――――――――――――――――――――――

政府の基礎的財政収支の推移.jpg
政府の基礎的財政収支の推移
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
誰がなってもそもそも都知事如きに脱原発の権限があるわけないのにね。
「宇都宮氏は都知事選で不正選挙を内乱罪現行犯逮捕せよ」

「北朝鮮デビル夫人、世界のアイドル」http://richardkoshimizu.at.webry.info/201401/article_109.html#comment
>朝からデビル・スカトロ夫人は食欲落ちる(´Д`;)
>噂タクさん2014/01/21 08:27

テレビを捨てればこういう醜い魑魅魍魎の姿も声も見ず聞かずで済んでこどもが本を読んで賢くなるよ。

大和魂のご先祖様は外来夷敵鬼畜外道に佛国日本の土を踏ませぬため己の一番大切な命さえ捨てて戦い武士道攘夷菩薩となった。
その大和魂をご先祖様から受け継ぐわれわれ日本人がなんでご先祖の仇ユダ金戦争屋が作る白痴化洗脳電波発信装置テレビごとき捨てられぬことがあろうか。
ご先祖様を供養礼拝尊崇する躾正しき日本人は全員ただちにテレビを捨てよ。これが日本悠久の伝統の大和魂であり日本人の証明である。

まーテレビを見ている時点ですでに佛敵ユダ金拝金戦争カルトスパイ非人伊藤博文田布施人脈棄民テロ贋政府の先制攻撃が奏功していると言うことだね。

靖国の攘夷大和魂菩薩ご先祖さまはすべての世俗の欲も楽も捨てて不惜身命ユダ金と戦った。ユダ金カルト手先拝金非人賤民政府といまこの地球上で至上の気高い大和魂で戦うもののふは、まさに靖国の仏心英霊を受け継ぐ者である。不惜身命なんぞテレビ如き仏敵拝金カルトの集金装置ぽっち不燃ゴミ廃棄場へ叩き捨てないでおくべきか。

>大将、小沢さん支持はやめちゃったんですか?
>それとも小泉が一緒だから却下?
>ふくろうさん2014/01/21 14:20

ちょっとしらじらしいかなw
別に政治家なんぞに期待する何ものもないが今度の都知事選は2012.12.16と違って単独選挙だからユダ金スパイ総務省選管NHK共犯の不正選挙がボロ出しまくって公務員選挙違反の憲法99条違反内乱罪の動かぬ現行犯証拠がユダ金が嫌がる宇都宮氏を応援することで山盛り捕まえることができるから、選挙の勝敗に関係なく宇都宮氏を応援してるだけである。少し前のエントリー読まなかったのかな、それともただの独立党員撹乱のためかねw

要は不正選挙の証拠をつかんで選管とNHKをぶっつぶして両犯罪組織の所轄省庁総務省を内乱罪で検挙投獄して跡形も残さずぶっつぶす。

今回都知事選で誰が当選しても選挙無効であり、前回1216都知事選の猪瀬当選も無効になる。そうすれば自然に前回次点の宇都宮氏が猪瀬逮捕当選無効を受けて都知事に就任するのさw

同時に1216当選国会議員全員憲法99条違反内乱罪逮捕。安倍ももちろん逮捕。憲法70条総理罷免懲戒免職安倍内閣即日総辞職即日国会解散衆参全議員逮捕してすべて新しい立候補者から両院の全議席に就くべき新しい国会議員を日本国憲法前文「正当な選挙」で選出する。これが立憲法治政治である。

すなわち勝敗に関係なく都知事選で宇都宮氏を応援する。これが大和魂もののふの兵法である。

よって、宇都宮氏は直ちに自分自身で全国の学生生徒に呼びかけて「全国都道府県学生生徒動員社会科実習都知事選挙監視団」を緊急結成せよ。
それが、「天は自ら助くる者を助く」ゆえに「人事を尽くして天命を待つ」ことである。
宇都宮氏が不惜身命自ら助くるためにこの都知事選に人事を尽くさなければ、天も人も宇都宮氏を助けること決して能わず。すなわち宇都宮氏にカンボジアで不惜身命「公明正大な正当な選挙」実現のために尽くした故中田厚仁くんと同じ大和魂があるかないかの問題である。
大和魂菩薩の佛教国日本では、選挙は地位や生まれではなく清らかな行いで作り上げられた崇高な人格で選ぶのである。

釈尊の言葉http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/472.html#c149
 「道を行きて、己よりも勝れたる者、または、己に等しき人に逢わずんば、むしろ、独り行きて誤るな。愚かなる者の友となるなかれ。」
 「あらゆる生物にたいして暴力や悩みを与えてはならない。独り、サイの角のように歩め。実に欲望はいろとりどりで甘美である。心を楽しませてくれ、満たしてくれる。しかし、欲望の対償には、憂いがあることをみて、サイの角のように、ただ独り歩め。」


渋沢敬三宮本常一師弟が創学した日本常民民俗学を学問する民俗学者と学生は、ただちに宇都宮氏に全面協力して「全国学徒動員社会科実習都知事選挙不正防止監視団」結成と運用に全員結集参加せよ。
Posted by 東行系 at 2014年01月21日 23:20
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