2013年09月13日

●「決着はまだ着いていない小沢謀殺」(EJ第3632号)

 官僚組織の中枢は検察です。それは「捜査」と「公訴の提起」
という強大な権限を行使できる組織だからです。これらの権限の
行使を受ける側の立場から見れば、自己の否定や消滅を意味する
ほど決定的な影響力を持つことになります。
 もし、この強大な権限を持つ組織が暴走したらどうなるでしょ
うか。そのあり得ない「暴走」が民主党が政権交代する直前から
現在にいたるまで、小沢一郎という一人の政治家に向けられ、そ
のために民主党は昨年末の総選挙で政権を失っています。
 その検察は、政権交代を目指す総選挙の直前に小沢氏の公設秘
書をいきなり逮捕し、小沢氏を民主党代表の座から引きずり下ろ
したのです。それでも民主党が政権を自民党から奪取すると、今
度は一人の国会議員を含む小沢氏の元秘書3人を証拠もないのに
逮捕し、起訴したのです。これによって小沢氏は幹事長の座から
も下りざるを得なかったのです。
 それでも小沢氏を起訴できないと、「小沢=クロ」を印象づけ
る虚偽の捜査報告書を複数作成し、それを検察審査会に提出する
ことによって、2度にわたって「起訴議決」を出させ、小沢氏を
強制起訴に追い込んだのです。まさに手段を選ばない検察の「暴
走」といえます。
 その強制起訴で小沢氏が一審、控訴審で無罪を勝ち取ると、今
度は裁判所を巻き込んで、裁判の常識を破る掟破りの有罪判決を
出し、「小沢は無罪でも秘書は有罪にする」を実現することによ
り、小沢氏の政治生命を断とうとしています。
 このあってはならない検察の暴走を政治家は見て見ぬふりをし
ているように思います。権力を行使する側をチェックすべきマス
コミはその役割を放棄し、最初から検察の広報機関を務め、無罪
判決を受けた小沢氏をいまだに批判しています。それは異常とい
うか、おぞましい光景です。
 そういう壮絶な小沢バッシングのなかで、当時山口一臣氏が編
集長を務めていた「週刊朝日」は、陸山会事件について、きわめ
て筋の通った報道を続けていたのです。「小沢=クロ」ではない
のですから、まともに報道すれば「小沢擁護」になるのです。そ
のためか、山口編集長は解任されてしまうのです。
 その山口元編集長は「『週刊朝日』は小沢を擁護していたわけ
ではない」として、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 はっきり言って、政治家としての小沢氏を擁護しているつもり
 はまったくなかった。「小沢事件」においては、小沢氏は捜査
 権力を行使される側であって、メディアが監視すべきは権力を
 行使する側(検察)だと考えていたからだ。権力を行使される
 側が誰であっても、それは同じだ。常に弱者の側、虐げられる
 側、支配される側に立って、その声を拾っていこうというのは
 私の編集者としての姿勢でもある。もちろん、小沢氏の側に明
 確な不正があれば、それはきっちり追及するつもりだった。だ
 が、週刊朝日の力不足かもしれないが、いくら取材しても、違
 法献金、脱税、あっせん利得といった事実を示す証拠は出てこ
 なかった。「政治とカネ」、「天の声」といった抽象的な言葉
 はやたらと飛び交っていたが、それが5W1Hに結び付くこと
 はなかった。考えて欲しいのは、百歩譲って、一議員の事務所
 が政治資金収支報告書に間違ったことを記入したということと
 国家権力を代表する捜査機関が証拠を改ざん、捏造しながら恣
 意的な捜査を繰り返しているのと、どちらが「不正義」かとい
 うことだ。法をねじ曲げ、無理やり人を犯罪者に仕立てるよう
 な行為は先進法治国家ではあってはならないことだ。
                 ──鳥越俊太郎・木村朗編
   『20人の識者がみた「小沢事件」の真実/日本文芸社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党に政権交代をもたらした最大の功労者は小沢一郎です。
これを否定する者は誰もいないはずです。小沢氏は民主党の恩人
といえるでしょう。その小沢氏が検察からいわれなき迫害を受け
ているのに民主党の幹部は誰も助けようともせず、逆に小沢排除
という信じられない行動を起こしたのです。それが民主党を今の
惨状を招いたのです。
 2013年5月のことですが、民主党は政権担当時の失敗を総
括する「公開大反省会」を開催したのです。そのとき、出席した
のは、菅直人元首相、枝野幸男元官房長官、長妻昭元厚労大臣の
3人ですが、司会者から「小沢一郎氏についてひと言」と聞かれ
て次のように答えています。何と彼らは、3人そろって小沢氏を
批判したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 菅 :自分の権力が最大限の状態を維持したい人。これほど
    どひどいとは思わなかった
 枝野:何をしたいのかが分からない。とにかく分らない人だ
 長妻:私とはちょっと感覚の違う政治家
          ──鳥越俊太郎・木村朗編の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 何という小沢評でしょうか。彼らは民主党がこうなったのは党
を割った小沢氏のせいだと思っているようです。この期に及んで
も、彼らには何も見えていないし、事態を何も読めていないので
す。これでは民主党の再生などとても無理です。
 この3人衆については、元共同通信記者で、現在同志社大学教
授の浅野健一氏がコメントを述べているので、「関連情報」に掲
載しておきます。
 さて、今回のテーマも既に54回目です。現在は小沢「謀殺」
の仕掛け人候補として「官僚」について述べてきていますが、も
うひとつ大事なことが残っています。それは検察審査会の闇につ
いての追及です。
 小沢氏はこの検察審査会によって2回「起訴相当」議決が出さ
れ、強制起訴されています。問題はその2回目の議決が謎に包ま
れているのです。来週から、これについて、EJスタイルで述べ
ることにします。     ─── [自民党でいいのか/54]

≪画像および関連情報≫
 ●小沢政権阻止のための検察の政治介入/浅野健一氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  この3人──菅、枝野、長妻の小沢氏評こそ、松下政経塾と
  対米隷属政治家によって第二自民党に変質させた民主党幹部
  の精神的退廃ぶりを見事に表している。小沢氏は官僚機構と
  対略し、米国との対等な関係を求め、原発を20年以内に全
  廃するなど、「何をやりたいか」を民衆に訴えていた。日本
  にしかない「記者クラブ制度」の解体も訴え、外国と同じよ
  うな自由な記者会見を実践していた。小沢氏が首相になるの
  を阻止したい政治勢力は、検察の国策捜査を操作して、強制
  起訴という手段を使い、小沢氏を刑事被告人にでっちあげて
  小沢氏のやりたいことを封殺したのではないか。日本の民衆
  にとって「とにかくわからない人たち」は枝野氏らだ。菅、
  枝野両氏は東電福島第一原発「事件」(刑事告訴・告発され
  ており「事故」ではない)で、原子力マフィアと共謀して、
  原発事件に関する情報を隠蔽し、無数の市民を被曝させた張
  本人で、野田氏ともども、今も衆議院議員を続けていること
  が間違っている。
                 ──鳥越俊太郎・木村朗編
   『20人の識者がみた「小沢事件」の真実/日本文芸社刊
  ―――――――――――――――――――――――――――

民主党大反省会出席の3人.jpg
民主党大反省会出席の3人
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
全くそのとうりだとおもいます。日本のマスコミは真実をといいながらそれも出来ない世界三流の記事しか書かない情けない。今の政治家と変わらない。小沢さんの話題は意一切触れないし裁判の間違いもついきゅうしない。権力にピッタリして都合の悪いことはふれない。文章は下手ですがこれを読んで感動しました。体を大事にして頑張ってください。裏で応援さしていただくます。
Posted by あなんとしあき at 2013年09月13日 14:29
モーツァルト狂の私は、平野氏の[モーツァルト」を拝読して感銘を受け、以後、E.Jを敬愛・愛読させて頂き、友人にも勧めています。
「小澤裁判」についての今日の記事は、正に私の思いにピッタリで溜飲スッキリです。マスコミが堕落腐敗して真実を報道しなくなり、日本の民主主義が崩壊寸前の今、真実を発信する貴重な存在です。頑張ってください。不正選挙と開票システムについても疑念が持たれていますが、事実ならば、日本は終わりですね。
Posted by 中澤 洋次郎 at 2013年09月14日 02:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。