2013年07月05日

●「日本は民主主義が根づいていない」(EJ第3583号)

 小沢一郎氏がよく口にする言葉に「自立と共生」というのがあ
ります。これは小沢氏のゆるぎない政治理念になっています。こ
の「自立と共生」という政治理念は、小沢政治のバイブルともい
うべき小沢氏の著書、『日本改造計画』(1993年講談社刊)
に詳しく述べられています。
 小沢氏は政治家になった直後から、日本には米国式の戦後民主
主義が導入されたものの、まだ真の民主主義が根付いていないこ
とを指摘して、「自立」というコンセプトを打ち出しています。
小沢氏は『日本改造計画』で次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主主義の前提は、国民が自分の価値観を持ち、自分の判断で
 行動できる自立した個人であるということだ。この前提が日本
 人に欠けたままであり、アメリカ式の『戦後民主主義』が導入
 されても、実際には民主政治が根付かないまま現在に至ってい
 る。戦前の官僚組織が存続したなどの問題があるが、基本的に
 は、国民の側に民主主義を実現する条件が揃っていなかったか
 らだ。    ──小沢一郎著、『日本改造計画』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 小沢氏は「民主主義は国民の自立からはじまる」という前提が
必要であることを強調しています。しかし、日本では現在におい
てもとくに政治的には個人が自分の価値観を持ち、自分の判断で
行動できていないといっています。
 国民が「自立」していないと、国民が選挙で選んだ代議士が官
僚依存政治を許してしまうことにつながるのです。つまり、国民
の政治意識が低いということを意味しています。
 第23回参議院選挙は昨日5日に公示され、21日に投開票が
行われます。今回の選挙は安倍政権になってはじめての国政選挙
であることと、与党の自公が過半数を獲得して、いわゆる「ねじ
れ」が解消できるかどうかに注目が集まっています。
 しかし、今回の参院選の投票率はきわめて低くなることが予想
されるのです。なぜなら、街頭で国民の声を聞くと、次のような
答えが返ってくるからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      ◎どうせ、自公が勝つに決まっている
      ◎誰が当選しても、政治は変わらない
      ◎どの政治家を選んだらよいかが困難
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの国民の声は、今回の選挙に限らず、いつの選挙でもほ
とんど同じなのです。これはそれだけ国民の政治意識が低いこと
をあらわしています。国民が政策を吟味し、候補者がそれを実行
できる人物かどうかを判断して投票するという意識の人が少ない
のです。投票率が低いのは、それをあらわしています。これでは
「お任せ政治」になってしまいます。つまり、国民が「自立」し
ていないのです。
 ちなみに、今回の選挙から公示日以降でもネットの利用ができ
るネット選挙が解禁されています。しかし、海外の多くの国では
選挙運動は原則自由であり、今頃になってネット選挙だけを解禁
した日本は稀有な存在です。しかも全面解禁ではなく、まだ多く
の不可解な規制が残っています。
 規制が多いということは、政治を役人まかせにしていることの
結果です。もう少し正確にいうと、国民が選んだ代議士が規制を
変えようと努力しなかった結果なのです。そういう規制に対して
国民が声を上げないからです。
 選挙を例にとると、日本の選挙制度は、規制のオンパレードな
のです。米国、英国、ドイツ、フランスと比較してみると、次の
ようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
          日本 米国 英国 ドイツ フランス
    戸別訪問   ×  ○  ○   ○    ○
  選挙運動期間   ×  ○  ○   ○    △
   ネット利用   △  ○  ○   ○    △
     演説会   ×  ○  △   ○    △
  文書頒布掲示   ×  ○  ○   ○    ×
            ○規制なし △一部規制 ×禁止
         ──「WEDGE」/2013年6月号より
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本の選挙は公職選挙法(公選法)の下で実施されます。公選
法の原型は、1925年に制定された男子普通選挙法にさかのぼ
るのです。当時は、納税額によって選挙権が与えられる制限選挙
だったのですが、選挙運動自体には規制はなかったのです。しか
し、選挙権の制限が少しずつ撤廃され、有権者の数が増えるにし
たがって、戸別訪問の禁止や文書図画の制限などが加えられ、戦
前の選挙法ができていったのです。
 しかし、その選挙法とからめて、悪名高い治安維持法が制定さ
れ、政治活動が抑制されるようになっていきます。そして、それ
が、1942年の「翼賛選挙」につながるのです。
 戦後になって治安維持法は廃止され、憲法も改正されたのです
が、選挙法だけはなぜか戦前の規制を残したまま、現在の公選法
が制定され、1950年に交付・施行されています。そしてその
公選法にさらに細かい規制を加えたものをこれまで使ってきてい
るのです。
 公選法は国民が候補者の情報を詳しく知ることを制限していま
す。それはネットを解禁しても十分ではありません。これでは国
民から「誰を選んでいいかわからない」という声が出るのは当然
です。選挙期間についても日本では、衆院議員は12日、参院議
員は17日とあまりにも短いです。1950年の時点では衆参と
もに30日になっていたのを改正のたびに少しずつ短縮していっ
たのです。これでは候補者をますます選びにくくなります。こう
いうことを国民はこれまで黙認してきたのです。それは、国民が
本当の意味で政治的に自立していないからなのです。
             ――─ [自民党でいいのか/05]

≪画像および関連情報≫
 ●ネット選挙解禁で公選法はぶっ壊れる/加藤秀樹氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ネット選挙が次の参議院選挙から解禁される。ウェブサイト
  やSNSを使って候補者や政党、選挙に関する情報が流せる
  ようになるのだ。私が注目しているのは、今度の参院選挙へ
  の影響よりも、ネット選挙解禁が公職選挙法(以下公選法)
  が細かく定めている現在の選挙のし方そのものを、無意味な
  ものにしてしまうだろう、という点だ。法律というものは普
  通読んでも面白くない。ところが、公選法は大いに笑える。
  そこで、選挙のし方について公選法が何を定め、ネット選挙
  解禁がどんなインパクトを持つか整理してみたい。そしてそ
  のことが、皆さんによってこの古風で滑稽な法律に引導を渡
  すような議論につながり、「ネット選挙解禁」が「選挙その
  ものの解放」につながればと期待している。公選法は、昭和
  25年に施行されて以来、毎年のように改正され、今や、約
  270条からなる膨大な法律だ。その中には選挙権、選挙区
  から投開票まで、公職の選挙に関する詳細な規定が並んでい
  る。とりわけ、選挙運動については、約50条、全体の五分
  の一近くが費され、非常に細かな、そのくせ曖昧で解釈に困
  るような規定が並んでいる。
  http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20130603-00025415/
  ―――――――――――――――――――――――――――

ネット会見する小沢一郎氏.jpg
ネット会見する小沢 一郎氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党でいいのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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