2013年06月27日

●「琉球諸島は日本領/『人民日報』」(EJ第3577号)

 中国は「核心的利益」という言葉をよく使います。尖閣諸島に
ついても中国は「核心的利益」といっています。核心的利益とは
「絶対に一歩たりとも譲らない」、つまり、一切妥協しないとい
う意味なのです。
 それでいて習近平国家主席は「話し合いで解決する」ともいっ
ています。しかし、「絶対に一歩たりとも譲らない」と考えてい
るものを話し合いで解決できるはずがないのです。これは巧妙な
レトリックです。「釣魚島は中国の核心的利益である」というの
は日本に対しての発言ですが、「話し合いで解決」というのは、
日本以外の国に対するアナウンスなのです。
 世界に対して核心的利益と強弁すると、覇権国家や強権国家と
の非難を浴びるので、日本以外の他国へは、平和的手段である話
し合いを口にしているだけなのです。
 尖閣諸島に関心を持っているのは、当事国の日本と中国、関係
国である韓国と台湾、それに米国ぐらいのものです。それ以外の
国は尖閣のことなんか知らないし、関心もないのです。日本が他
国の領土問題のことを知らないのと同じです。
 そういう国からみると、中国が話し合いで解決といっているの
だから、日本は中国と真摯に話し合って解決すればよいと思うは
ずです。つまり、「話し合いで」というのは、他国に中国のソフ
トな印象を与えるための巧妙ないい方なのです。日本に対して譲
る気など、まったくもっていないのです。
 そもそも日本が長い間にわたって実効支配を続けている尖閣諸
島を、中国が魚釣島(尖閣諸島)は自分たちの領土であり、それ
を「核心的利益」と世界に公言する感覚は、日本としては、とて
も容認できるものではありません。
 最近わかったことですが、日本の尖閣諸島国有化宣言で日中関
係が騒然としていた2012年9月頃から、中国版ツイッターの
「微博」上で、尖閣諸島に関する驚くべき情報が伝えられている
のです。それは、1950年代のことですが、中国共産党の機関
紙「人民日報」が社説で、尖閣諸島を日本領と認める記述をして
いることがわかったのです。これは、ニューヨークに本部を置く
報道社「大紀元グループ」のサイトに掲載されています。
 1950年から1960年という年代は、東西冷戦が過熱する
なかで、沖縄は米国の施政権下に置かれていたのですが、沖縄基
地は、ソ連や中国、北朝鮮などの東側諸国に対しての抑止力を持
つ軍事基地であり、フィリピンやタイの基地と並ぶベトナム戦争
の爆撃機拠点および後方支援基地として、重要性を持ちつつあっ
たのです。「人民日報」の社説というのは次の2つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
   ◎『人民日報』/1953年1月 8日付、社説
    「琉球諸島の人民は米国の占有を反対する戦い」
   ◎『人民日報』/1958年3月26日付、社説
    「恥知らずの捏造」
―――――――――――――――――――――――――――――
 「人民日報」の1953年1月8日付の社説で、「琉球諸島は
台湾の東北から九州の西南の間に点在し、尖閣諸島や先島諸島、
大東諸島、沖縄諸島など7組の島からなっている」と書き出し、
そういう琉球諸島を米国は軍事基地に変えようとしていることに
島の人民たちは強く反対していることなどを伝えています。
 これに加えて同社説では、周恩来元総理の発言を次のように伝
えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 周恩来元総理は1951年8月15日、対日講話条約(米英草
 案)およびサンフランシスコ会議に関する声明文において、琉
 球諸島と小笠原諸島などの地域への管理権を主張する米国を批
 判した。その際、同元総理は、「これらの島々は過去のいかな
 る国際協定において、日本からの離脱を定められていない」と
 述べた。            ──「大紀元」の記事より
―――――――――――――――――――――――――――――
 注目すべきは、周恩来首相の「これらの島々は過去のいかなる
国際協定において、日本からの離脱を定められていない」という
発言です。尖閣諸島を含む琉球諸島は日本のものであることを認
めています。続いて、1958年3月26日の社説です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国側は中国政府のラジオ放送に成りすまして、中国外交部の
 公式見解として、「中国は琉球諸島への主権を絶対に放棄しな
 い」という「デマの情報」を広げている、と同紙は報じ、「こ
 れは悪意たっぷりの楔打ちだ」、「米国の狙いは、日本への領
 土返還を求める沖縄人民の強い感情に水を差すためだ」と批判
 した。             ──「大紀元」の記事より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここで注目すべきは、中国外交部が「中国は琉球諸島への主権
を絶対に放棄しないという『デマの情報』を広げていると書いて
おり、それは尖閣諸島を含む沖縄諸島が日本の領土であるという
前提に立って書かれていることです。
 そして、「米国の狙いは、日本への領土返還を求める沖縄人民
の強い感情に水を差すためだ」と、日本に成り変わって米国に怒
りをぶつけています。
 はっきりしていることは、この時点で中国では尖閣諸島はあく
まで日本のものであることを前提として主張しています。昨年の
9月頃からこの記事がネット上に出ると、中国人民から、次のよ
うな書き込みが殺到し、「人民日報」に事実関係の説明を求める
声も上がっているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・昔は米国帝国主義を孤立させるため、我が政府は釣魚島が、
  日本のものと認めていたのではないか
 ・かつては釣魚島を人に渡し、今度は国民を煽って取り戻させ
  ようとしている。国民をバカ扱いか  ──「大紀元」より
―――――――――――――――――――――――――――――
                 ――─ [新中国論/75]

≪画像および関連情報≫
 ●「尖閣諸島が日本領でないという証拠を出せ」/李登輝氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2012年6月5日、台湾の李登輝元総統が台湾中央大学で
  講演を行った際、尖閣諸島に関する中国本土学生からの質問
  に対し、「日本領でないと言うのなら、証拠はどこにあるの
  か?」と詰め寄り、会場が一時騒然となった。6日付で香港
  ・中国評論新聞社が伝えた。質疑応答で手を挙げた中国本土
  の学生はまず、「両岸(中台)学生は今後どのように発展し
  ていくべきか?」と質問。これに対し、李元総統は「良い関
  係を維持するべき。台湾は中国の一部などと言うべきではな
  い」と回答した。その後、李元総統が台湾メディアで「尖閣
  諸島は日本のもの」と主張していることに触れ、「本当にそ
  う思われているのか、この場を借りて確認したい」と問いか
  けると、「尖閣諸島は漁業をする場所。領土問題は存在しな
  い。だが、君が日本領でないと言うのなら、証拠はどこにあ
  るのか?」と詰め寄り、会場は一気に険悪な雰囲気に。司会
  者が慌てて「時間も時間なので」と質疑応答を終わらせよう
  としたが、学生はさらに食い下がり、「台湾は捨てられた存
  在に思える。誰からも関心を寄せられていない」と応酬。李
  元総統が講演で「台湾は50年間の日本統治時代に日本から
  多大な影響を受け、現代化が進んだ」と話したことに対して
  も、「台湾の現代化は米国の影響、日本は近代化に影響を与
  えただけ」と否定した。会場はさらに緊迫した雰囲気となっ
  たが、李元総統は寛容な態度で「この学生が台湾に学びに来
  ているということは、台湾の歴史に大変興味を持っているの
  だろう」と述べ、台湾の歴史について書いた自身の著書をこ
  の学生に贈ったという。(翻訳・編集/NN)
   http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=61909
  ―――――――――――――――――――――――――――
 ●「大紀元」のサイト
   http://www.epochtimes.jp/jp/2012/09/html/d97871.html

1953年1月8日付「人民日報」社説.jpg
1953年1月8日付「人民日報」社説

posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。