ら書きはじめたのですが、同じ内容を掲載しているブログのユニ
ーク・ユーザー数やページ・ビュー数によると、大変多くの方に
読まれているようです。3月〜6月までの1日当りの平均値は次
の通りです。ご愛読を感謝します。
―――――――――――――――――――――――――――――
ユニークユーザー数 ページビュー/PV
3月 1444人 4538回
4月 1786人 5135回
5月 1917人 5504回
6月 2122人 5992回
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、このテーマは6月28日をもって終了し、7月1日か
らは新しいテーマに入る予定です。今週は、テーマ全体のまとめ
になるようなことを書く予定です。
6月14日のことです。ノーベル平和賞を受賞した中国の獄中
の人権活動家、劉暁波氏の妻である劉霞氏は、中国版ツイッター
微博上で、次の趣旨のツイートを発信し、習近平国家主席に対す
る公開書簡としたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
『中国の夢』は一人一人の市民によって実現されるものだ。
あなたの唱える夢が、我々にとって『悪夢』にならないこと
を期待する。 ──劉霞氏
―――――――――――――――――――――――――――――
劉暁波氏は現在も収監され、劉霞氏も自宅軟禁状態に置かれて
います。そういう状態で劉霞氏は、中華民族の偉大な復興を「中
国の夢」として掲げる習近平国家主席に対し、国家が個人に優先
する中国の現状を公開で批判したのです。
劉暁波氏は中国の著作家ですが、2008年に民主的立憲政治
を求める「〇八憲章」を起草して拘束され、2020年6月21
日までの懲役刑の判決を受け、錦州監獄で現在も服役中です。劉
氏は、収監後の2010年にノーベル平和賞を受賞しましたが、
中国は受賞を決めたノーベル委員会を批判し、そのことを一切報
道せずに封印しようとしたのです。
ところで「〇八憲章」とは何でしょうか。
「〇八憲章」は、2008年12月9日に劉暁波氏がネット上
で発表した、中国の政治・社会体制について、中国共産党の一党
独裁の終結、三権分立、民主化推進、人権状況の改善などを求め
た宣言文なのです。この宣言文には、303名の署名が付けられ
ています。
共産党一党支配の中国で「一党支配をやめろ」と宣言したので
すから、大変です。しかも、知識人を中心に303名の署名まで
付いている──一昔前の中国なら、署名した303名も全員逮捕
され、即処刑でしょう。
1956年に毛沢東は「百花斉放百家争鳴」という言葉を使っ
て、知識人らに自由に意見を述べるように勧めたのです。最初は
警戒して何もいわなかった知識人が、毛沢東主席の再三の要請に
に応じ、2年経過後から、中国共産党の独裁政治や経済政策を批
判するようになったのです。
そのあまりの激しい批判に危機感を抱いた毛沢東主席は、一転
して反右派運動を掲げ、知識人の弾圧を行ったのです。これによ
り、55万人が右派とされ、処刑されたり、辺境へ追いやられた
り、失職させられたりしたのです。
現在もそのときと考え方は変わっていないのですが、石平氏に
よると、中国共産党の力が落ちて、一人を見せしめにする程度の
ことしかできなくになっているといいます。
どうして中国では民主化が進まないのでしょうか。中国は多く
の思想家が出ている国です。ちょっと数えても、孔子、孟子、老
子、荘子、墨子といくらでも出てきます。そういう国では民主主
義が育つのですが、なぜ中国ではそうならないのでしょうか。
それは、秦の始皇帝以前に限られているのです。前770年の
周の東遷から、秦の始皇帝が、韓・趙・魏・楚・燕・斉を制圧し
て天下を統一した前221年を春秋戦国時代といいますが、多く
の思想家が出たのは、この時代に限られているのです。この時代
の中国は自由の国だったのです。それ以後はずっと独裁政権が続
き、思想家は生まれないし、思想家を必要としなかったのです。
唯一の例外としては、中国南宗の朱子による朱子学と王陽明の
唱えた陽明学がありますが、朱子学は思想とはいえず、治政のノ
ウハウのようなものであり、陽明学はきわめてよい哲学だったの
ですが、中国では異端として排斥されたのです。
陽明学は日本に渡り、日本で評価されて、武士道の根幹を成す
思想になったのです。蒋介石が日本に留学して陽明学を学び、一
生を通して信奉したといわれます。まさに逆輸入です。
そして、毛沢東の統治時代になってすべての学問が抹殺され、
共産主義だけが残ったというわけです。しかし、その共産主義は
真の共産主義ではなく、毛沢東によって勝手に歪められた共産主
義なのです。この中国の共産主義について、宮崎正弘氏と石平氏
は対談で次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
宮崎:マルクス・レーニン主義というのは外国の思想であって
中国人には合わないということを、中国の民主、人権運
動家が1980年代からいっていたんですよね。
石 :でも、マルクス・レーニン主義というものは、毛沢東を
通じて中国で長く支配的な立場に立っていた結果、二つ
の大変な遺産を残したんですよ。ひとつはしょもない平
等の概念。もうひとつは無神論。神様、仏様という概念
を中国人から、特にエリートから消したのです。
──石平/宮崎正弘著
「2013年後期の『中国』を予測する」/ワック刊
―――――――――――――――――――――――――――――
――─ [新中国論/72]
≪画像および関連情報≫
●劉暁波ノーベル授賞と中国政治改革のゆくえ/田中宇氏
―――――――――――――――――――――――――――
2010年10月8日、ノーベル平和賞が、中国の反体制活
動家の劉暁波氏に授与されることになった。この件を知って
私がまず思ったことは、タイミングの悪さだ。劉暁波は08
年末、共産党の一党独裁をやめて多党制に移行すべきだと主
張する「08憲章」の立案を主導したため中国政府に逮捕さ
れて有罪になった。今回のノーベル平和賞は、08憲章に代
表される劉の中国民主化をめざす運動に対して与えられてい
る。08憲章の発表後、劉に対する授賞は昨年も取り沙汰さ
れた。だが結局、オバマ米大統領が授賞している。劉への授
賞が今年でなく昨年だったら、授賞による影響は欧米(特に
米英中心主義の勢力)にとって、まだましなものになったか
もしれない。中国は当時まだ、国際社会における政治力が今
より弱く、欧米に反撃するより低姿勢でやりすごそうとする
傾向が強かった。しかしここ1年、中国の国際政治力は急拡
大した。ドルの崩壊感が強まる中、中国の出方が国際基軸通
貨制度の今後を決定する事態となっている。人民元が対ドル
為替の切り上げを決めたら、ドルの崩壊感が強まるだろう。
欧米の対イラン制裁は中国の協力なしには進まないし、北朝
鮮も中国の傘下に入った。
http://www.tanakanews.com/101016china.htm
―――――――――――――――――――――――――――
ノーベル平和賞受賞者/劉暁波氏