2013年06月20日

●「日本の下水以下の中国上水道基準」(EJ第3572号)

 69回にわたって中国のことを調べてきてわかったことがあり
ます。この国は、世界第2位の経済大国として、国としてやるべ
きことにきちんと真摯に取り組んでいないということです。
 16日夜のNHKスペシャル『中国の激動』を見てもわかる通
り、地方の都市化をめぐって人民との紛争が頻発しており、年間
20万件の反政府デモが発生しています。最近では、人民による
抗議の自殺も増加しています。このことは、今回取り上げる環境
問題──とくに「水の問題」について知ると、それがいかに深刻
なことかよくわかります。以下、この問題を取り上げた「週刊新
潮」6/20のレポートに基づいてまとめます。
 最近、中国のネット上で、次のメッセージが出て話題になって
います。
―――――――――――――――――――――――――――――
 わが中国は偉大な国家だ。北京では窓を開けると、タダでタ
 バコを吸える。上海では水道の蛇口をひねると、タダで豚骨
 スープが飲める。       ──「週刊新潮」6/20
―――――――――――――――――――――――――――――
 ほとんど説明は不要だと思います。「タダでタバコを吸える」
とは、PM2・5による大気汚染のことであり、「豚骨スープ」
は、今年3月、上海の水源である黄浦江上流で、1万頭のブタの
死骸が不法投棄された事件を指しています。
 2013年5月30日、中国国内では、次の衝撃的なニュース
が報道されたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 【5月31日/AFP】香港の金融街にある米コーヒーチェー
 ン大手スターバックス店舗が、トイレ脇にある蛇口から採取し
 た水道水でコーヒーを入れていた事実が判明し、利用客から怒
 りの声が上がっている。この店舗は、香港島のランドマークと
 もなっている中国銀行タワー内に入っている。2011年10
 月の開店からずっと、飲料用の水は化粧室内の水道の蛇口から
 取っていたという。香港紙「蘋果日報」は、薄汚れた化粧室内
 の便器からわずか数メートルの位置にある「スターバックス専
 用」と書かれた蛇口の写真を掲載した。同紙によると、この化
 粧室は中国銀行タワーの駐車場にあるという。
   http://www.afpbb.com/article/economy/2947117/10824459
―――――――――――――――――――――――――――――
 このスターバックス店は、連日大繁盛していたのですが、この
ニュースが出るや一夜にして閑古鳥の巣と化したのです。当然と
いえば当然のことです。驚くべきことは、このとき中国人が激怒
したのは、取水場所がトイレだったからではなく、水道水を使っ
たからなのです。
 なぜなら、中国で水道は飲むと危険な水であることが広く知ら
れているからです。首都の北京ですら、飲料水はミネラルウォー
ターの使用を原則としているのです。
 水質指標に「COD」というものがあります。水のなかの有機
物の含有量が多いほど高い数値になります。環境省の説明を以下
に示します。
―――――――――――――――――――――――――――――
    0mg/L ・・    汚濁のないきれいな水
     1以下 ・・ヤマメ、イワナなどが住む渓流
   1〜2以下 ・・      雨水と同じレベル
     3以下 ・・     サケやアユが住める
  5〜10以下 ・・ 汚濁に強いコイやフナが住む
    10以上 ・・     下水や汚水のレベル
             ──「週刊新潮」6/20
―――――――――――――――――――――――――――――
 環境省は10以下を基準とし、実際には3以下を目標としてい
るのです。これはきわめて高い数値です。なお、水の消費量の増
大や水質汚染に対応するため、上水道のための取水においても、
下水道からの排水においても、何らかの化学処理が施されること
が一般的です。
 しかし、中国の上水道のCODは「20以下」なのです。日本
では工場排水でもこれ以下です。実際に中国の水道水は茶色く濁
り、匂いがきついので、飲むどころか、歯磨きに使うことにも抵
抗があるのです。結局、中国の上水道は、皿洗いか、洗濯用が主
な用途になり、白いシャツは一回で黄色く染まってしまうといい
ます。だから中国人は、シャツは白を避けて、青や薄紫のものを
使う人が多いのです。
 それなのにスターバックスともあろう店が水道水をコーヒーの
水として使っていたので、お客が激怒したのです。しかし、他の
店で水道水を使っていない保証はないのです。2012年5月に
中国のメディアが伝えたところによると、水道水の安全基準を満
たしている上水道は50%ということです。
 それでは、どういう水を飲めばよいのでしょうか。それはミネ
ラルウォーターということになります。しかし、ミネラルウォー
ターも安全とはいえないのです。
 中国の国内シェアトップのミネラルウォーターブランドに「農
夫山泉」というのがせあります。550ミリリットルで1・5元
(約24円)です。その水源は、浙江省の森林公園にある湖であ
り、国が一級水源保護区に指定しているので、人気を博している
ミネラルウォーターです。
 しかし、この「農夫山泉」は、水質基準が水道水以下であるこ
とが、2013年4月に「京華時報」によって、スッパ抜かれた
のです。水道水では検出されてはならない大腸菌が「農夫山泉」
では検出されているからです。
 しかも、この「農夫山泉」の販売元サイドが浙江省の水質基準
の策定に関与していた事実がわかって、さらに信用を落とす結果
になったのです。販売元は反発し、紛争になっているのです。
 そうなると、エビアンなどの外国製品に頼らざるを得ないこと
になりますが、これには偽装商品が堂々と商店に陳列されていて
見分けるのは不可能です。     ――─ [新中国論/70]

≪画像および関連情報≫
 ●水と報道:見えない基準と真実/ニューズウィーク
  ―――――――――――――――――――――――――――
  「京華時報」は、その「農夫山泉」が「国家基準の「生活飲
  用水基準GB5749」ではなく、浙江省が定めた「ボトル
  入り飲用ミネラルウォーター基準DB33/383−200
  5」に準じて生産、国家基準が定めたヒ素、セレン、カドミ
  ウムの含有量制限を満たしていない」と指摘した。「農夫山
  泉」側はこれに対してすぐに声明を発表。同社の製品は国、
  業界、地方、企業の基準に基づいて管理されており、京華時
  報が指摘した国家基準GB5749(同時にこれは飲用水道
  水の基準だと指摘)のみならず、やはり国家基準のDB19
  298「ボトル入り飲用水衛生基準(2003年版)」、浙
  江省のDB33/383「飲用ミネラルウォーター基準」に
  合格していると反論した。そして驚いたことに続けて同社の
  公式ブログ上で、「この報道は意図を持って練り上げられた
  ものであり、その黒幕は国有飲用水ブランド、『華潤怡宝』
  だ」と指摘、「華潤怡宝」が3月からずっと同社を狙ってメ
  ディアと組んでネガティブ情報を流してきた、と「証拠」を
  列挙した。今度は「華潤怡宝」がその日のうちに、「我々は
  農夫山泉がその声明で述べたような形で参与はしておらず、
  農夫山泉への法律的手段を取る権利を保留する」と声明を発
  表した。(最後まで読む)
  http://www.newsweekjapan.jp/column/furumai/2013/05/post-676.php
  ―――――――――――――――――――――――――――

「農夫山泉」.jpg
「農夫山泉」
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
◇ 防 衛 ◇  「自衛隊創設60周年記念行事」の当日である2014年7月1日、安倍晋三内閣は、日本国の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を下した。これは、偶然の一致と言うよりも、『護国の英霊たちの天佑神助の風が吹いている』と言うべきだろう。安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使を閣議決定しなければならない理由は、今後に想定される(1)朝鮮半島情勢の激変と (2)中国の直接侵略に対応するためだ。先ず、(1)朝鮮半島情勢の激変とは、中国の主導による朝鮮半島の統一のことであり、北朝鮮と韓国の統一国家の樹立へ向けた動きのことである。中国は、北朝鮮の張成沢(チャン ソンテク)を通じて、北朝鮮の核開発などの全てを完全に支配する計画であったが、この不穏な動きを察知した北朝鮮の金正恩(キム ジョンウン)は、張成沢の一派を『クーデター謀議による反逆だ』と判断し、2013年12月12日に粛清した。この結果、中国は、北朝鮮を経済的に崩壊させることにより、北朝鮮を韓国側に吸収併合させる形で朝鮮半島を支配する計画に改めた。例えば、中国は、北朝鮮に対する石油の輸出を2014年1月から停止する一方、韓国との連携を一層強化しつつある。中国の習近平(シー チンピン)は、北朝鮮の金正恩と一度も会談しないまま、7月3日〜4日に訪韓して朴槿恵(パク クネ)と6回目の会談を行い、韓国側もまた、『反日を国是とする中国と組めば、対日外交と対北外交が優位に進められる』と考え、中国詣(もう)でに余念がない。つまり、韓国は、「親日罪法」(2005年)を制定するなど、反日の低劣愚昧な民族精神しか持たないゆえに、日本国の敵国になってから9年間を経たが、時代潮流の行く末を何一つ理解できないまま、2014年に中国の属国と化したのである。一方、中国に見捨てられた北朝鮮は、日本人拉致事件の解決を表明しつつ、日本国からの経済援助を得ようと画策している。日本人は、北朝鮮の延命工作に手を貸してはならず、激変する朝鮮半島情勢を理解するために「朝鮮戦争」(1950〜1953)の原因と戦況の推移を今一度学習しておくべきだろう。なお、旧ソ連だったロシアは、北朝鮮を支援しても何一つ国益にならないため、朝鮮半島情勢には関与しないと考えられる。次に、(2)中国の直接侵略とは、中国が、尖閣諸島などの日本国領土を軍事侵攻することである。例えば、中国の空軍・海軍・漁船に偽装した工作船による日本国領土を侵犯する事件や一触即発の空中戦の挑発行為が絶えない現状にあるが、政治的・経済的な破綻状態に陥った中国が、今後数年以内に日本国の沖縄本島以南に位置する尖閣諸島・宮古島・石垣島・与那国島を軍事侵攻すると見積もられる。なお、中国は、「日本解放工作要綱」(1972)に見られるごとく、北朝鮮・韓国と連携しながら既に日本国に対する間接侵略を大規模に実行しており、在日の中国・北朝鮮・韓国の約30万人の指導的立場にある工作員たちが、日本国の政財官学報の各界、特に官界の「官公労」の約122万人と報道界の「電通」及び「朝日毎日系列」の約1万人を操作しているため、これらに対する警戒監視体制を一層強化する必要がある。また、1990年代の中国は、日本国ばかりでなく米国をも間接侵略してきた。例えば、中国は、反日親中のビル・クリントンを大統領の座にすえるため、在米の仏教団体や孔子学院などの中国人団体を総動員して、ビル・クリントンの選挙に協力し、その民主党に政治資金を流し込み、ソ連の崩壊(1991)を見届けた、現職の(父)ジョージ・ブッシュ共和党政権(1989〜1993)を打ち負かしてビル・クリントン民主党政権(1993 〜2001)を誕生させた。中国は、この見返りとして、クリントン政権から通商上の最恵国待遇と弾道ミサイル技術を獲得すると共に、米国マスメディアから世界中に「南京事件・慰安婦問題・侵略国家日本」という虚偽風説を発信するなど、米国政府と米国世論を反日親中政策に従わせてきた。しかし、米ソ冷戦体制崩壊後のクリントン政権下の米国が、中国の安価な労働力と広大な市場に魅了され、日本国を一時的に敵視した事実はあるものの、自由・民主・人権・法治という価値観に従わない共産党一党独裁の中国を、今後の米国が政治的・軍事的に容認することはありえない。最後に、クリントン政権下において国防次官補を務めたジョセフ・ナイが、『米国は、日中戦争をセットアップした後、東シナ海に眠る石油資源を漁夫の利として得るべきだ』と主張する「対日超党派報告書」なる出所不明の偽情報がネット上に出回っている。これは、中国による日本人に対する心理戦であり、日米離間工作のひとつだ。戦争に関わる極秘事項を大勢に公言したこと自体が異常であり、実現可能性を低下させるだけであり、中国共産党の手による創作だとわかる。以上のごとき緊迫した国際情勢下にあり、日本国の軍隊・警察・消防・海保だけでは、今後の中国による軍事侵攻・大規模テロ・間接侵略という非常事態に対処できないため、民間防衛を充実させて行こう。 


Posted by poil at 2014年07月02日 10:31
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