のサイバー攻撃に対して、イランはその報復攻撃のために、10
億ドルを投入して、サイバー戦力の増強を図ったのです。
そして、1年3ヵ月後の2011年12月に、米軍の最新鋭ス
テルス無人偵察機「RQ170」の通信をハイジャックし、遠隔
操作で同機をイラン領内に不時着させることに成功します。
RQ170は、ロッキード・マーチン社が製造し、米軍や中央
情報局(CIA)が使用する最新鋭の無人偵察機です。高高度か
ら解像度の高い映像の撮影が可能で、ウサマ・ビンラーディン容
疑者の殺害でも、潜伏先の調査に投入されたといわれている米軍
が誇る無人偵察機です。
イランは、直ちに事実を公開していますが、関連ニュース動画
があるので、ご紹介します。
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≪イランはサイバー攻撃で捕獲したRQ170を公開≫
http://www.youtube.com/watch?v=MEJcd4b49HI
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周回軌道にある偵察衛星での対象物の監視は、1回につきせい
ぜい数分ぐらいでしかないのですが、RQ170は1万5000
メートルの上空で、数時間にわたってとどまることが可能なので
す。そのため、映像だけでなく、盗聴機器や大気中の放射線の測
定もできるのです。
そういうわけで米国は、ここ数年間、アフガニスタン基地から
RQ170を飛行させ、イラン上空での偵察を活発化させていた
のです。そのRQ170がイランのサイバー攻撃隊によってイラ
ン領内に不時着させられたのですから、米国はショックです。
しかも、上記の映像を見る限り、機体は破壊されておらず、ス
テルス技術の解析は十分可能であるということです。オバマ政権
はイランでの米国の利益代表部となるスイス大使館を通じて、機
体の返還を正式に要請したようですが、イランは拒否。当時のク
リントン国務長官も記者団に対し「機体が戻ることを期待はして
いない」と発言したのです。これは、米軍のサイバー攻撃技術の
敗北を意味します。
これによってわかるように、軍事力については米国は突出して
いるものの、ことサイバー攻撃技術については、米国といえども
中国をはじめとする他国と大きな差はないのです。人民解放軍の
エンジニアによる計画書によると、中国は2050年にはこの分
野で米国に対して優位に立てるとしています。
さて、6月7日〜8日の米中首脳会談の始まる直前に、米中央
情報局(CIA)の元職員のエドワード・スノーデン氏が、米国
の国家安全保障局(NSA)が通信記録や電子メールの情報を収
集し、とくに香港や中国本土を標的にハッキング行為をしている
と告発したのです。
これは、どう考えても、偶然の出来事ではなく、中国側が仕掛
けた可能性が高いと思われます。現在、スノーデン氏は香港にい
るからです。これについて、元CIA高官のボブ・ベアー氏は次
のように述べています。
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スノーデン氏の滞在先が中国情報機関を牛耳る上海である点
が問題だ。この問題が発覚したことで、オバマ政権は大恥を
をかかされた。 ──元CIA高官のボブ・ベアー氏
2013年6月13日付、夕刊フジ
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米政府当局者は、6月12日、司法省がスノーデン氏の刑事訴
追を進めていると発表しています。これに対してスノーデン氏は
「米国の犯罪を暴くために香港にとどまり、米政府と戦う」と発
言。これでは、いくら米国が不当なサイバー攻撃をやめろといっ
てもまるで説得力がないのです。今回のサイバー攻撃のやり取り
では、明らかに中国の方が勝っています。
このように、ステルス無人偵察機がハッキングされるというこ
とになると、宇宙空間を飛んでいる人工衛星もハッキングの対象
になる可能性があります。
人工衛星は、宇宙空間にある本体と基地局の制御プログラムが
通信によって結びついています。したがって、その制御プログラ
ムの周波数を入手できれば、外部からのコントロールも可能にな
るのです。実際に米国の観測衛星は、過去に中国によって数分間
ハッキングされたことがあるのです。現在、中国は、GPS衛星
を止めることも研究しているといわれています。
信じ難いことですが、こんな話があります。あの福島第一原発
(1号機〜3号機)の制御プログラムにウイルスが混入していた
という事実です。といっても福島原発がこのウイルスによって破
壊されたという意味ではないのです。あの3月11日の地震以前
にウイルスが送り込まれており、それが地震と津波のあとでシス
テムの修復作業を行うさいにウイルスが邪魔をしたのです。
この告発をしたのは、福島原発を制御するプログラムの開発者
の一人であるA氏です。A氏は事故発生から3日後に東電と政府
関係者から呼び出され、防護服に身を固めて福島原発の制御室に
行って作業をしているのです。
A氏の任務は、制御プログラムを再稼動させることです。その
ためには、指紋認証、網膜認証、そして数10桁の暗証番号入力
などで、そのすべてを2分間以内に終了しなくては再稼働しない
仕組みなのですが、開発者のA氏ならクリアできるのです。
しかし、A氏はその作業に難航したものの、最終的にはシステ
ムを初期化して再稼動に成功します。しかし、そのさいにウイル
スの存在に気がついたのです。あとでA氏はそのウイルスの発信
源を解析したところ、すべてロシアからであることがわかったの
です。詳細は次のレポートを読んでいただきたいと思います。
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http://www.news-postseven.com/archives/20111202_72892.html
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――─ [新中国論/68]
≪画像および関連情報≫
●米人工衛星2基にハッキング/中国軍関与の疑い
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[ワシントン 28日/ロイター] 米中経済・安全保障調
査委員会は、米国の人工衛星2基が、2007年と08年に
少なくとも4回にわたって、中国軍からとみられるハッキン
グを受けていたとする議会向けの報告書案をまとめた。報告
書案によると、中国の関与を示す直接的な証拠はなかったが
ハッキングは「中国軍の手法と一致している」という。攻撃
を受けた衛星は、米航空宇宙局(NASA)と米地質調査所
(USGS)が所管するもので、気象観測や地形調査のため
に使用されていた。1基は2007年と08年に計12分以
上の妨害を受け、もう1基は2008年6月に2分以上、同
年10月に9分以上の妨害を受けていた。通常ハッカーは、
複数の地域を経由してコンピューターに不正侵入するなど、
痕跡を分かりにくくしているため、攻撃の当事者を特定する
ことは極めて困難。今回のハッキングは、ノルウェーの地上
施設を経由して行われていたが、施設を所有する企業による
と、システム上に異常は見られなかったという。ワシントン
にある在米中国大使館からコメントは今のところ得られてい
ない。 ──2011年10月29日
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-23894420111029
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エドワード・スノーデン氏