2013年06月03日

●「オバマ大統領が中国に弱腰な理由」(EJ第3559号)

 米国では、2009年から民主党政権がこの4年間続いていま
す。そして2012年の大統領選でオバマ大統領が勝ったので、
あとさらに4年間は民主党政権が続くことになります。
 2期目の米国の大統領は再選の心配がないので、自分のやりた
いことをやるのが通常なのですが、既に指摘しているように、第
2期のオバマ政権は50%政権で、大統領の思うようにはできな
くなっています。民主党は強気であり、2016年の大統領選に
はヒラリー・クリントンが出て大統領になると考えています。
 この民主党の長期政権によって大きく変わってきたことがある
のです。それは国防というものに対する考え方の変化です。米国
という国は、歴史がはじまって以来、戦うことを基本としてきた
国家です。これによって国防と軍隊は予算上も特別扱いを受けて
きたのです。
 国防費には赤字という概念はないのです。いかに財政黒字を積
み上げても、もし戦争が起こってその戦争に破れれば、国がなく
なるので、何の意味もないからです。しかし、米国では女性の労
働者が増えるにしたがって、女性の政治家も増えています。民主
党にはとくに女性の政治家が多いですが、彼女たちによって国防
よりも生活が優先されるようになってきているのです。
 そのため、オバマ政権になってからの米国は一貫して国防費を
減らしてきています。これは、添付ファイルのグラフを参照して
いただければよくわかると思います。さらに、昨年末の財政の崖
を完全に処置できなかったことにより、オバマ新政権は大幅な国
防費の削減が必至となっているのです。
 これに対して中国は、2013年度の国防予算はどうかという
と、前実績比10.7 %増の7406億2200万元(約11兆
1100億円)であり、実績比では3年連続の2桁の伸びになる
のです。中国の国防費は米国に次ぐ世界第2位であり、過去6年
で2倍以上の急ペースの増えているうえ、実際の軍事費は公表金
額を大きく上回るものといわれています。
 ハドソン研究所主席研究員の日高義樹氏は、強い軍事力につい
て次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 世界は国内とは違う。国連のような組織を除いて、絶対的な権
 威と権力が存在していない。このため、国際社会のルールは実
 力、つまり軍事力によって決定されることになる。強い軍事力
 をつくるためには、経済力が必要であり、政治力がなくてはな
 らない。軍事力という能力は、あらゆる国家の力を総合したう
 えでつくられ、発揮されるものである。だが女性重視というア
 メリカが出現した場合には、想像できない変化が起きることは
 避けられないと思われる。         ──日高義樹著
  「アメリカの新・中国戦略を知らない日本人」より/PHP
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国は中国に対して要求しなければならないことがたくさんあ
ります。2011年に中国の国内総生産(GDP)が日本を抜い
て米国に次ぐ世界第2位になり、2030年には米国をも上回る
といわれています。
 しかし、そのベースになる中国の経済データ自体が政治的まや
かしであり、信用できないという声が高まっているのです。米議
会の専門家や保守的な評論家は、これについて口を揃えて次のよ
うに批判しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 中国の経済データが信用できない最大の原因は、通貨の管理体
 制にある。中国が人民元を高くするといっても、外貨、つまり
 ドルを国家が管理して値段を決め、国民の生活をコントロール
 している限り、通貨について正確な情報はあり得ない。
                ──日高義樹著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 世界の基軸通貨になっているドルの流通については、ウォール
街の金融機関はそのすべてを把握しています。しかし、いったん
中国に入ったドルは中国政府が勝手に管理しており、市場のシス
テムが介入する余地はまったくなく、外部からはすべてがブラッ
クボックスになっているのです。
 米国はこのような通貨のコントロールを非常に嫌います。日本
でも民主党政権のとき、政府は円切り下げのための介入を試みた
ことが何度かありますが、米国はこれに対して公然と抗議し、そ
のための特使を送ってきたほどです。
 しかし、オバマ大統領は日本に厳しい態度をとる一方で、中国
に対しては次のようにいい、何も抗議していないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 人民元のドルに対する交換レートは、市場の趨勢に従っており
 ほぼ世界の市場の交換レートに近づいている。
                ──日高義樹著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このオバマ政権の姿勢に業を煮やして、米議会の下院では20
12年の大統領選の前に中国の通貨制度の改革と人民元の切り上
げを求める決議を行っているのです。この決議は、もし中国が決
議に従わない場合は、中国製品に対する関税を60%引き上げる
という厳しいものになっています。
 しかし、オバマ大統領は中国に対して厳しい態度を取れないで
いるのです。日高義樹氏によると、その理由は、中国からの借金
がなければ、米国の経済が成り立たず、借金漬けの財政が成り立
たないからです。
 オバマ大統領は、米国の歴史上最もひどい借金をつくった大統
領といわれています。その中心になっているのは、生活保護費と
「エンタイトルメント」といわれる社会保障費の支出です。その
ための赤字を中国からの借金で埋め合わせてきたのです。
 なお、エンタイトルメントとは、「与えられた権利」という意
味で、福祉受給権──社会保障、公的年金、メディケア、メディ
ケイドなどの経費を意味しているのです。民主党政権によって、
かつての米国は変質しつつあるのです。── [新中国論/57]

≪画像および関連情報≫
 ●米共和党、大幅支出削減求める/2010年11月8日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  【ワシントン】幾人かの米共和党議員は、早ければ2011
  年1月にも連邦支出の大幅削減を求める構えだ。民主、共和
  両党とも2011年の連邦予算の大枠作りを目指す中で、民
  主党やオバマ政権との対立が直ちに表面化しそうだ。先週の
  中間選挙で、ティー・パーティー(茶会党)運動の強力な支
  持を受けて上院議員に当選したケンタッキー州選出のランド
  ・ポール氏と、ペンシルベニア州選出のパット・トゥーミー
  氏は7日、ワシントンでの第1の努力目標は政府債務への取
  り組みと支出削減だと述べ、共和党の他のメンバーと袂(た
  もと)を分かっても遂行していく決意を表明した。ポール氏
  はABCテレビ番組で、国防総省を含めあらゆる連邦省庁予
  算の一律5%の即時削減を主張すると語った。同氏はまた、
  連邦公務員の10%削減と連邦職員の給与の10%削減も求
  めると述べた。トゥーミー氏はCNNテレビ番組で、「政府
  の支出は著しく過剰だ」と語った。オバマ大統領も支出削減
  を支持すると述べているが、何をどの程度削減するかで民主
  党と共和党の見解の違いは大きいとみられている。(最後ま
  で読む)
  http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-145379.html?mg=inert-wsj
  ―――――――――――――――――――――――――――

戦費を含む米国防予算.jpg
戦費を含む米国防予算
posted by 平野 浩 at 04:58| Comment(1) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これからちょこちょこブログに遊びに行かせてもらいますね
Posted by takeru at 2013年06月03日 19:40
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