2013年05月29日

●「オバマ新政権は親中国政権である」(EJ第3556号)

 現在、日本は中国だけでなく、韓国とも新政権同士の対話がで
きない状況にあります。当の韓国は歴史認識の面で中国と連携し
ようとしています。そして、米中韓で組んで「日本外し」すら企
んでいるのです。
 オバマ政権、とくに2期目のオバマ政権は、日本にとってあま
り頼りになる存在ではなくなっているように見えます。ハドソン
研究所主席研究員、日高義樹氏はオバマ政権の本質について次の
ように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 オバマ政権は、基本的には親中国政権である。反日とまではい
 かないものの、中国共産党の革命的でリベラルな政策や姿勢を
 支持してきた。オバマ大統領の支持グループである『ニューヨ
 ーク・タイムズ』などのジャーナリストたち、学者たちは、ビ
 ジネス一筋の日本をあまり快くは思っていない。しかも歴史的
 に日本が侵略国家であったという認識を持っているため、侵略
 された中国や朝鮮に同情的である。     ──日高義樹著
    「アメリカの新・中国戦略を知らない日本人」/PHP
―――――――――――――――――――――――――――――
 安倍首相の「侵略の定義は国際的にまだ定まっていない」とい
う発言や、橋下徹日本維新の会共同代表の慰安婦発言で、米国務
省が一貫してお仲間の「ニューヨーク・タイムズ」紙を巻き込ん
で韓国を支持し、日本を非難しているのは、現在のオバマ政権が
中韓寄りの政権であることを示しています。
 今年2月の訪米で安倍首相は、「日米同盟の信頼と絆が戻って
きた」と胸を張りましたが、実際は逆であったといえます。野田
前首相のときよりも、朴槿恵韓国大統領のときよりも安倍首相の
扱いは冷たいものだったのです。首相に同行した外務省関係者は
次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 首脳会談でオバマ大統領に笑顔が出たのは安倍総理の祖父・岸
 信介元首相とオバマ大統領が尊敬するアイゼンハワー大統領と
 のゴルフ談義のときだけ。総理は大統領に来日を要請したが、
 それにも色よい返事はなかった。さすがの総理も会談後、同行
 筋に『こちらは遠くから来たっていうのに、笑顔もなかった。
 冷たいなァ』と気落ちした様子で愚痴をいったそうです。
              ──「週刊ポスト」5/31より
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、そうだからといって、悲観することはないのです。そ
れは2012年の大統領選におけるオバマ大統領の勝ち方を見れ
ば明らかです。
 2012年の大統領選で結果を左右すると見られた州は、コロ
ラド、フロリダ、アイオワ、ネバダ、ニューハンプシャー、ノー
スカロライナ、オハイオ、バージニア、ウィスコンシンの9州で
す。これらの州はその年によって民主と共和両党の得票が入れ替
わる州であり、「スイングステーツ」といわれているのです。
 オバマ大統領は、ノースカロライナ州を除く8つの州で勝つに
は勝ったのですが、多くの州で50%をやっと超える票しか取れ
なかったのです。その結果、オバマ大統領は、2008年に比べ
て500万票も得票数を減らしているのです。大雑把にいうと、
米国民の50%、投票率を勘案すると、わずか25%の国民に支
持されるだけの大統領になってしまったのです。
 米国の大統領は2期目は自分のやりたい政策を遠慮なくやるも
のです。多くの米国民が心配していたのは、もし、オバマ大統領
が勝つと、社会主義的な経済政策や財政政策を推し進めるのでは
ないかと心配していたのです。2期目のオバマ大統領について、
全米商工会議所のトム・ドナヒュー会長はかなり強い調子で、次
のように述べているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 オバマが50%政権であることは、我々が議会の数でオバマ大
 統領を押し潰せることを意味している。50%の政権に勝手な
 ことをさせるわけにはいかない。オバマ大統領は、結局何もで
 きない。           ──日高義樹著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 尖閣諸島の買い取りに関して支持を求める、米「ウォールスト
リート・ジャーナル」紙への東京都の意見広告は、日本国内では
いろいろ批判があったのですが、米国の海軍筋には、強いインパ
クトを与えたといわれています。
 日高義樹氏は「オバマ大統領は石原前知事に破れた」と題して
自著で次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 石原前都知事がアメリカの新聞に「尖閣列島を守ろう」という
 大きな広告を出した時、彼はこう述べた。「尖閣列島が中国に
 占領されれば、船舶の自由航行が阻害される」。この広告を読
 んだアメリカ海軍の首脳が私に電話をかけてきてこう言った。
 「石原知事の行動は、戦略的に見て素晴らしいものだ。新聞広
 告も強い説得力があった」。アメリカ海軍の首脳は総じて言え
 ば石原前都知事に同情的である。表立っては言わないものの、
 心の中で拍手している。アメリカ海軍の首脳たちは、中国が国
 際ルールを無視して南シナ海や東シナ海で帝国主義的な行動を
 強めていることを苦々しく思い、何らかの形でチェックする必
 要があると考えてきたのである。──日高義樹著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 尖閣諸島周辺海域は、日本だけでなく米国にとっても重要な海
域なのです。石原氏はそのことを意見広告で米国人に訴えたので
すが、かなり高い関心を持って見てくれたようです。
 日本人は尖閣諸島でもし不測の事態が起きたとき、本当に米国
は助けてくれるのか心配していますが、日高義樹氏によると、も
しそういう事態が起きれば、オバマ政権の姿勢のいかんにかかわ
らず、米防衛省には尖閣諸島を守る緊急計画が既に用意されてお
り、発動できるようになっているのです。尖閣をめぐる海戦では
日本と中国では相当の戦力差があります。─ [新中国論/54]

≪画像および関連情報≫
 ●やはり安倍はオバマに嫌われている
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  やっぱり安倍首相は、オバマ大統領に嫌われているのか。7
  日に行われた「米韓首脳会談」を見た政界関係者が衝撃を受
  けている。安倍首相が2月に訪米した時と比べて、明らかに
  朴槿恵大統領を厚遇したからだ。外交官だった天木直人氏が
  言う。「オバマ大統領が朴大統領を厚遇したのは間違いあり
  ません。昼食を挟んでたっぷりと2時間以上も会談し、会談
  と昼食の合間には通訳を抜いて2人だけでホワイトハウスの
  庭園を散策している。しかも、朴大統領に上下両院でスピー
  チまでさせています。アメリカ議会での演説は、日本の首相
  は誰も実現していない、非常に名誉なことです」。オバマ大
  統領が朴大統領を特別扱いしたのは、個人の好き嫌いよりも
  もちろん外交上の狙いがあってのことだろう。しかし、安倍
  首相への対応とあまりにも差がある。「オバマ大統領の安倍
  首相に対する対応は、ビジネスライクそのものでした。そも
  そも、安倍さんは1月に訪米したかったのに2月に先送りさ
  れ、昭恵夫人を同行したかったのに、ミシェル夫人の都合が
  悪いと断られた。共同記者会見も開かれなかった。驚いたの
  は、記者懇談のあと、安倍さんと握手もせずに退席しようと
  したことです。日本人記者から「握手を!」とせっつかれて
  慌てて握手していた。さすがに安倍さんもガッカリしたよう
  です」(政界関係者)
   http://ninjyaoh.blog.fc2.com/blog-entry-3733.html
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日高義樹氏.jpg
日高 義樹氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
朝日新聞の報じた記事を事実と思い込んで謝罪した宮沢内閣の軽率さである。「する必要のない、というより、してはならない謝罪」をして世界に誤解を撒き散らしたのであった。宮沢内閣の犯した過ちこそが慰安婦問題の原点である。
Posted by うなぎ at 2013年05月29日 09:48
オバマが親中新韓を目指すのを好機と捉え、日本は真の独立を目指すべき。戦後日本は平和国家を目指して努力してきたが、米国は自己都合でそれを認めようとせず、あくまでも自国のコントロール(従属)下に置き続けようとしている。また、それを慮って行動する多くの官僚やそれらに操られる多くの議員に、それが阻止し続けられている現状を変えることは無理なのか。
Posted by ym90210 at 2013年05月29日 10:56
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