ない次の3つの発言があったのです。
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1.旧ソ連はスターリンなど過去の偉人を批判したことで共産
主義に対する信仰が薄れたのである。
2.旧ソ連は党から軍を引き離し、政治的中立を守らせたこと
によって共産党が消滅したのである。
3.民主化が進んでいないことは政治改革の後退ではない。中
国独自の民主化を進めるべきである。
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この3つのことがなぜ中国メディアで報道されなかったかです
が、これは習総書記自身の意向で発言から削除されたのです。そ
れは胡徳平ら右派勢力からの反発を避けるためです。習総書記は
敵を作ることに過敏な政治家なのです。
簡単にソ連の歴史を振り返ってみましょう。レーニンの後継者
である元ソ連共産党書記長のスターリンは、政敵の大粛清を行い
個人独裁の体制を敷いたのです。
スターリンの生存中は何もいえなかったフルシチョフは、スタ
ーリンが死ぬと、その専制政治を批判したのです。そのため、ス
ターリンを評価する中国との間で激しい論争が起き、国家間の対
立に発展しています。
習総書記は、このソ連の例を引き、過去の偉人の批判を強く戒
めているのです。具体的には「毛沢東を批判するな」といってい
るわけです。
ソ連では80年代後半からゴルバチョフ書記長が出てきて、一
党独裁の放棄や国会議員の直接選挙などの大改革を実行します。
90年代に入ると、改革に不満を持った党保守派がクーデターを
起こしたのですが、軍が中立的立場を取ったため、クーデターは
中途半端で終わります。一党独裁を廃止しているので、ソ連の軍
は共産党から独立し、中立的存在になっていたのです。習総書記
は、これを戒めているのです。今後も共産党の一党独裁体制を強
化し、軍は共産党の軍隊としての位置付けをあくまで維持すると
しているのです。
中国政治と外交が専門の毛利和子氏は、旧ソ連と中国の違いに
ついて、次のように述べています。
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ソ連の経済システムは、1930年代からほぼ半世紀にわたっ
てつくり上げられたものである。中国のいわゆるスターリン型
の集権システムがはげしい政治変動と恣意的な経済運営で実際
には言われるはど機能していなかったのと違って、ソ連では固
いシステムができ上がってしまっている。それを抜本的に変え
るには相当のエネルギーと観念の転換が必要である。
──毛利和子著「中国とソ連」(岩波新書)
──加藤隆則/竹内誠一郎著
「習近平の密約」/文春新書911
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ゴルバチョフは、経済を改革するには政治改革が必要であると
して政治改革を先行させています。これに対して中国は、政治と
経済を分離し、経済改革を先行させ、それに対して一定の成果を
収めていますが、政治改革は先送りしています。つまり、習総書
記は西側モデルを目指さず、中国独自の民主化を進めればよいと
考えているのです。
このように報道で伏せられた上記3つに習近平総書記の本音が
よくあらわれているのです。つまり、彼は毛沢東式の中央集権に
よってケ小平の提案した経済発展を進めようとしているのです。
ソ連が崩壊したとき、習近平は福州市の党委書記をしていたの
です。彼はソ連解体に強い関心を示し、同市の課長以上の幹部を
500名を集めて次のことを述べているのです。
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前年に党の視察団の一員としてソ連を訪問した。ソ連人民は自
家用車を持ち、広い家を持ち、中国人民よりも良い生活をして
いたが、今は貧困の中にいる。民主化の代償だ。ソ連共産党の
解体は偶然ではなく、欧米など外部の介入に加え内部からの崩
壊もあった。我々はソ連と同じ道をたどってはならない。
──加藤隆則/竹内誠一郎著の前掲書より
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習近平のイメージは一見すると、庶民派のそれです。しかし、
総書記就任直後からの発言を聞いていると、強軍が強国を作ると
し、強国の夢の実現として、富国・強軍を説いています。習総書
記は広州軍区で「強軍の夢」を実現させるために、次の3つの心
得を兵士に説いています。
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≪習総書記が説いた3つの心得≫
1.断固として党の指揮に従うことこそ強軍の魂である
2.戦って勝利することができることが強軍の要である
3.法によって軍を厳格に治めることが強軍の基である
──加藤隆則/竹内誠一郎著の前掲書より
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軍に対して共産党の絶対的指導──これは毛沢東の軍事思想で
す。1997年制定の国防法により、「中華人民共和国の武装団
体は中国共産党の指導を受ける」と明記されています。習総書記
は、この毛沢東の軍事思想を守ることを宣言しています。
胡錦濤と習近平の考え方は大きく異なります。人民に対しても
次の違いがあります。
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胡錦濤 ・・・・・・ 「親民」路線
習近平 ・・・・・・ 「統民」路線
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しかし、両者の考えるところは基本的に同じなのです。胡は親
民でないと人民が爆発すると考え、習は統民しないと暴発は防げ
ないと考えているからです。 ─── [新中国論/47]
≪画像および関連情報≫
●習近平体制/「平和発展」から「富国強兵」へ
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【北京=山本勲】3月5日開幕した第12期全国人民代表大
会を機に、中国は胡錦濤体制から習近平体制への10年に1
度の政権交代を行う。2003年春発足した胡錦濤政権は外
には「平和発展」、内では「調和社会の構築」を唱えた。多
くはかけ声倒れに終わったが、努力の跡もうかがえた。対照
的に今大会で国家主席を兼任する習近平共産党総書記は「中
華民族の偉大な復興」を唱えて民族主義を鼓吹し、富国強兵
路線を邁進しようとしている。国際社会は対外強硬姿勢をあ
らわにする習政権を前に、新たな対応を迫られている。新政
権の鮮烈なデビューは、「胡温新政(胡錦濤・温家宝の新政
治)」と内外の期待を集めた。「調和社会の構築」を唱えて
社会格差是正に取り組み、農業関連諸税を全廃するなど一定
の成果も挙げた。外交面では江沢民前政権の反日民族主義路
線を改め、「善隣友好、平和発展」政策を打ち出した。08
年には東シナ海のガス田共同開発で暫定合意するなど、日本
重視の姿勢は随所にうかがえた。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130306/chn13030608570003-n1.htm
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『習近平の密約』/加藤隆則/竹内誠一郎著
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選管に鉛筆犯罪を止めさせてすべての投票場に油性ボールペンを用意させよう!
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