業者が出るといわれています。現在は、10%台だったのが7%
台に落ちているので、1500万人の失業者が出ている計算にな
ります。1500万人というと、東京都の人口は約1300万人
ですから、それ以上の失業者ということになります。
中国の失業に関しては、2つのデータからそれが非常に深刻で
あることがわかっています。
2012年12月12日に中国のメディアから出た話ですが、
西南財経大学の最近の調査によると、中国の実際の失業率は政府
が公表した数字の倍であるというのです。政府の数字は4.1 %
ですから、8%以上ということになります。これが1つ。
もう1つは、資源指数研究院が同じ2012年12月の数字に
よると、2012年の第1四半期から第3四半期、つまり、1月
から9月までの中国製造業の雇用者数が、前年に比べると20%
減少しているというのです。
このことは、世界の工場として世界経済を支えてきた中国経済
は、完全に失速したことを意味しています。実際に中国の沿海部
の広州のまわりの東莞、順徳、番愚には、ホンダや電機メーカー
の部品工場があるのですが、それらは2年前から工場が閉鎖され
てしまっているのです。つまり、工場団地全体がゴーストタウン
化しているのです。
中国に詳しい評論家の宮崎正弘氏は、中国のアパレル工場の現
状について次のように述べています。
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浙江省の温州なんかは、企業倒産が20万社ぐらいあって、百
万人ぐらいがあの都市だけで失業しているんですよ。だからこ
れは大変な問題だろうと思う。もうひとつはアパレルですね。
アパレルはミシン工の人件費だけが問題です。だからこれは台
湾がもの凄い投資をして中国で繊維産業を立ち上げて、その後
悪徳華僑らもドッと進出し、奴隷工場のように女工たちを閉じ
込めて、工場から出さないで生産してきた。まるで鉄格子のな
かのような工場ですよ。そういう工場がたくさんあったけれど
も、2年前から閑古鳥が鳴いている。みんなどこへ行ったか?
ベトナム、ラオス、カンボジアあるいはバングラデシュに行っ
たんですよ。 ──石平/宮崎正弘著
「2013年後期の『中国』を予測する」/ワック刊
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このように中国の経済の現状は厳しいものがあります。ところ
で、習近平政権が誕生してからさかんによくいわれていることが
あります。それは次のことばです。
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習近平はラストエンペラーになる
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習近平とはどのような人物なのでしょうか。日本人にはこの人
物について、よく見えていないところがあります。
2012年11月に総書記に就任すると、早速着手したことが
あります。それは軍部を把握することです。問題は彼がそれをど
のようにしてやったかです。
江沢民は軍を押え込むのに5年の年月をかけているのです。そ
のやり方は、軍の腐敗には目をつむって好き放題にやらせ、総書
記の持っている大将の任命権を活用して軍の幹部を取り込み、軍
にどんどん予算を付けたのです。つまり、軍を買収したようなも
のです。しかも、その仕上げのために、胡錦濤時代になっても、
2年間は軍事委員会主席のポストを離さなかったのです。
その江沢民のあとを継いだ胡錦濤は、軍事委員会主席になって
からの8年間、結局何もできなかったのです。最後まで軍を掌握
できなかったのです。なぜなら、軍のトップがほとんど江沢民派
だったからです。
2012年11月15日、習近平は軍事委員会主席に就任する
や軍事委員会のメンバーをガラリと入れ替えています。派閥では
なく、ハイテク重視で近代兵器に通暁したメンバーを選んだもの
と思われます。
それから習総書記は、軍事委員会と軍に対し、次の命令を出し
ています。
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軍の軍規を粛清し、戦争の準備をせよ
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この命令によって尖閣諸島への公船の出入りが活発化し、日中
間の緊張が一気に高まったのです。火器管制レーダーの照射もこ
れによって行われたものと思われます。
これに加えて出したのは「禁酒令」です。これは軍にとって衝
撃的な話だったのです。軍は贅沢であり、高級酒の茅台酒(マオ
タイチュウ)を飲んでいたのに、それが禁止になったので、茅台
酒などの酒造メーカーの株価が下がったほどです。
続いて習近平は、広東省に視察に行っているのです。この視察
には、軍事委員会のメンバー全員を連れていっているのです。陸
海空のトップ、第二砲兵のトップも同行しています。
陸海空を全部視察して、とくに海軍では、南海艦隊のフリゲー
ト艦「海口」に乗船しています。この広東省視察は、軍全体に対
する一大パフォーマンスになったのです。
ここで習近平総書記は「新南巡講和」を行っています。かつて
のケ小平の「南巡講和」を真似たのです。1992年1月18日
──当時の中国の最高指導者であるケ小平は北京から南に向けて
出発したのです。その後、湖北省、広東省、上海市を約1ヵ月か
けて視察し、各地で改革・開放の加速を呼びかけたのです。これ
が、いわゆる「南巡講話」と呼ばれるものです。習近平はそれを
再現したのです。
習近平は2013年1月になっても軍学校をすべて回っていま
す。総書記に就任したばかりの中国共産党のトップが行う行動と
しては、異例の行動であるといえます。習近平は一体何を狙って
行動したのでしょうか。 ─── [新中国論/46]
≪画像および関連情報≫
●「習近平はラストエンペラーか」/日々是口実
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中国の全人代(全国人民代表者会議)が行われ、習近平が政
権トップである国家主席に就任した。意外なことに「習近平
は中国最後の指導者になるのではないか」という声が、複数
の識者から聞こえてきた。中国は世界第2の経済大国となり
年間8%もの高い経済成長率を誇っている。国民の所得は飛
躍的に上がり、生活水準も向上した。また「世界の工場」と
言われているように、今や国際的なビジネスは中国を中心に
回っている。その点だけを捉えれば、中国は繁栄の一途にあ
ると言えよう。しかし、一方で中国は国内外で問題を引き起
こしている。国内では汚職、環境破壊、少数民族の抑圧、言
論弾圧、海外では領土問題をめぐる強引な行動、環境破壊、
自然資源の掠奪的な搾取、そして、外国の政治への不正な介
入。政府や企業へのサイバー攻撃。かほど無法な行為を行う
国が経済力、権力を持つことに世界は警戒心を抱いていた。
それは、1930年代のナチスドイツに似ているのかもしれ
ない。ヒトラー率いるナチ党は1933年に旧来のワイマー
ル憲法を停止し、独裁体制を確立。以後、第一次世界大戦な
どで奪われた領土を回復したり、軍備を拡張したりした。
http://59s-hibikor.doorblog.jp/archives/24650493.html
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独自路線の習近平政権