ます。現代中国研究家の津上俊哉氏によると、中国のGDP統計
には、次の2つの問題点があります。
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1.地方のデータの水増し
2.デフレーターが未公表
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第1の問題点は「地方のデータの水増し」です。
中央には「保八」のような目標があって、中央から地方へ相当
強いプレッシャーをかけるので、地方がデータを水増しして報告
してくる可能性があります。とくに景気後退期の数字はその傾向
が強いのです。
2009年の第1四半期の上海市と広東省のデータを比較して
みることにします。2009年といえば、リーマン・ショックで
世界中が深刻な景気後退局面に陥った年です。
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上海 広東
2009年1QのGDP成長率 3.1 % 5.8 %
外需GDPシェア(2008年) 5.4 % 19.9 %
成長率(2009年) −45.3 % −27.1 %
──津上俊哉著「中国台頭の終焉」/日経プレミアシリーズ
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上海市は成長が3.1 %まで落ち、全国でも最も深刻な影響を
受けた都市です。これに対して広東省は5.8 %と上海市の2倍
の成長率を保っています。
しかし、これは不可解なのです。GDPにおける外需のシェア
で見ると、上海市の5.4 %に対して広東省は19.9 %と外需
依存度が約4倍高いのです。それなのに、なぜ、上海市の倍の成
長率を維持できるのでしょうか。
実際に広東省では、2008年の暮れから空前の数の出稼ぎ農
民工が職を失って、郷里に帰っているのです。輸出の落ち込みに
加えて、消費への影響も大きかったはずであり、上海市よりも広
東省の経済の落ち込みが小さかったということはあり得ない現象
なのです。
第2の問題点は「デフレーターが未公表」です。
中国国家統計局は毎年はじめに前年のGDPを公表し、これが
世界中に報道されます。2012年のGDP成長率はは7.8 %
であり、公表されるGDPは次の通りとなっています。
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金 額 ・・・・・ 名目値
成長率 ・・・・・ 実質値
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問題はGDPデフレーターが公表されないことです。GDPデ
フレーターとは、名目GDPから実質GDPを算出するために用
いられる物価指数のことです。
そのため、実質値を名目値からどのように導いたのかがブラッ
クボックスになっています。なぜ、公表しないのかはわかりませ
んが、国家統計局がデフレーターを使って何らかの操作をしてい
る可能性が考えられるのです。
2006年〜2009年までの中国のGDPのデータを次に示
しておきます。
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名目GDP 実質GDP 実施GDP伸び率
2006 215884元 10.7 % 12.7 %
2007 266411元 11.4 % 14.2 %
2008 315275元 9.0 % 9.6 %
2009 341401元 8.7 % 9.2 %
──津上俊哉著「中国台頭の終焉」/日経プレミアシリーズ
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GDPの名目値、実質値、デフレーターの関係について、誰で
もわかるやさしい説明をご紹介しておきます。
ある国の国民がAとBの2人だけだとします。Aは小麦を栽培
し、BはAから小麦を買ってパンを作って売っているとします。
2000年にAがBに売った小麦代は総額50円とします。こ
の小麦を使ってBの作ったパンの売上総額は100円だったとし
ます。この場合、2000年のこの国のGDPは、Aの付加価値
とBの付加価値を合計した数字になります。
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A(50円)+B(100円−50円)=100円→GDP
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2001年のGDPはどうなるでしょうか。2001年は生産
量や取引量は同じですが、Aは小麦を値上げしたので、その総額
は80円になります。これに伴いBもパンを値上げし、売上総額
は150円になっています。
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GDP=80円+(150円−80円)=150円
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2000年のGDPは100円、2001年は150円であり
1.5 倍になっています。この物価上昇率をGDPデフレーター
というのです。しかし、2001年は物価が上がっただけであり
取引量は同じなのです。したがって、もし物価が同じだったとす
れば、実質的なGDPは100円で変化はないのです。これが、
GDPの名目値、実質値、デフレーターの関係です。
中国の経済統計数字が信用できないもう一つの要因は途中でよ
く変更が行われることです。2009年1月のことですが、中国
は、2007年通年の実質成長率が11.4 %と発表したのです
が、実は13%であったと訂正しているのです。
もうひとつ中国では2008年に北京オリンピック、2010
年には上海万博という景気浮揚効果の大きいイベントが行われて
いることも中国の経済統計の数字を考えるとき、頭に置く必要が
あります。 ── [新中国論/11]
≪画像および関連情報≫
●中国の経済統計はねつ造だらけ?/レコードチャイナ
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2012年7月10日、米外交専門誌フォーリンポリシーは
クリストファー・ハリソン氏の署名記事「中国の経済データ
に深刻なねつ造の疑い」を掲載した。以下は、その内容であ
る。米連邦準備制度理事会(FRB)の地区連銀経済報告書
「ベージュブック」をモデルとした中国経済に関する民間調
査報告「チャイナ・ベージュブック」が発表され、中国の公
式統計がそれより1〜3ヵ月ほど遅れをとっている可能性が
指摘された。筆者はそれを出版した会社の共同創設者。米国
や日本の経済が衰退するなか、中国が世界第2の経済大国に
なったことは決して悪いことではない。経済成長が中国人民
に自由をもたらすことを願う。少なくとも、ファイヤウォー
ルを突破するソフトが買える国民が増えればよいのではない
か。だが、最悪なことに中国経済データの透明性は全く進ん
でいない。すべてのデータは国家統計局が出し、中国指導部
が最終チェックを行う仕組みだが、なぜかどの数字も非常に
シンプルだ。たとえそれが正しいものだとしても、これほど
複雑な中国経済を分析するのにこんな大雑把な数字でよいの
か。考えてみてほしい。13億という人口を抱える中国の四
半期統計が、わずか2週間で集計されている。米国は同じよ
うなデータを集計するのに1ヵ月は必要だ。中国の規模と統
計局の作業効率を考えるとこれは驚くべきスピードである。
http://news.guideme.jp/kiji/ab269b774d5359c468b24cff4e91ae70
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津上 俊哉氏の本
故きを温ねて新しきを知る。といってもTPPはなにも新しいことではありません。アメリカが建国以来つづけて来た戦争虐殺略奪外交のそのままバカの一つ覚えですから。グァムを見てみましょう。
>【人間扱いされぬ先住民】
選挙権も電気も水も奪われ「米軍基地と観光施設が優先」
阿修羅「アメリカの嘘 田中 良紹 」への書き込みから抜粋します
http://www.asyura2.com/13/senkyo145/msg/500.html#c52
▼現在でもグアムは、アメリカの「未編入領土」という名の植民地である。グアム住民は連邦政府が定める納税義務を果たしているが、アメリカ大統領選挙への投票権は与えられていない。また、普通選挙で選出された「グアム代表」は連邦下院議会に出席はできるが、議決権は与えられていない。
▼グアムは観光産業以外に主要な産業がなく、その観光産業は外資企業が占めている。外資企業は客室清掃や調理などのブルーカラーに、チャモロ人ではなく(米国市民権を持ち、最低賃金を保障しなければならない)、フィリピン人や他島からの移民を最低賃金以下で大量に雇うことで、経営コストを圧縮している。先住民のチャモロ人は、おもに米軍基地関係の仕事についている。
▼そしてグアムの住民が住んでいる地域は、給水施設が未整備のために断水が頻繁に起こる。また数年に一度大型台風が上陸し、島中の電線を破壊して、長期停電と断水になる。摂氏35度を超える熱帯の島で、水も電気もない状態が数週間から数ヶ月続き、病人や死者も出る。だが他方で、巨大な米軍基地と林立する観光施設には日々大量の水と電力が潤沢に注ぎ込まれ、停電や断水とは無縁である。チャモロ人を始めグアムの住民は、民主主義と人権を享受すべき同等の人間とはみなされていないのである。