2003年04月18日

●難視聴問題を解決する光波長多重技術(EJ第1089号)

 光波長多重技術は、波長を多重させることによって、放送用の
映像配信とデータ通信(IP)を完全に分離させてしまう技術で
す。具体的にいうと、この光波長多重技術を使うと、1本の光フ
ァイバ―ケーブルの中を、放送と通信という全く別の性格を持つ
コンテンツが同時に流せるのです。
 道路にたとえると、普通中央分離帯は反対車線との間にありま
すが、この場合は、同じ向きの車線の間に中央分離帯があって、
車線変更ができないようになっている――そういうものをイメー
ジしていただきたいと思います。この場合、放送と通信は同じ方
向に向っていますが、決して混ざることはないのです。
 毎秒100メガビットの光ファイバーケーブルの中を、映像部
分の配信では、標準画質の放送なら500チャンネル、ハイビジ
ョンでも110チャンネルものテレビ放送が流せるのです。しか
も、それに加えて、通常のEメールやIP電話などの情報も同時
に流せるというすぐれものです。
 毎秒100メガビットの光フィバーといっても、ブロードバン
ド時代の現代のこと、すぐ手の届くところにきているのです。N
HKをはじめとするテレビ局とNTTがジョイトすれば、すぐに
実現できる現実性があります。
 光波長多重技術が実現すると、電話、インターネットによる情
報通信、テレビ放送が1本の光ファイバーケーブルによって伝送
できることになり、必要なコストを最小必要限度に抑えることが
可能になります。なぜなら、それぞれ別々にケーブルを引く必要
がないからです。
 テレビ局の親局から発する電波を電話局の屋上に設置した巨大
なアンテナで受けてもらい、それをそのまま本来は通信用に張り
巡らせている光ファイバーケーブルに多重して各家庭のテレビ受
像機まで運ぶ――これが実現すれば、デジタル難視聴の問題は、
一挙に片付いてしまうのです。この光波長多重技術は、NTTに
よって開発された独自技術です。
 2002年2月25日のことですが、新宿区四谷にあるマンシ
ョンを使って、NTTとスカイパーフェクトTV(スカパー)が
ある共同実験を行なっているのです。なぜ、マンションで実験を
やったのでしょうか。
 ブロードバンド時代の現在のことですから、これから新築され
るビルやマンションには、当然のことのように、光ファイバーが
入るでしょうが、古いマンションでは、同軸ケーブルが1本入っ
ているだけというところが多いのです。そういうところは、どう
するのか――これが大きな課題になります。
 光ファイバーは、ISDNやADSLと違って、配線工事が必
要ですから、マンションなどの場合、引き直しということになる
と、大工事になってしまうのです。ところが、それを解決する技
術もNTTは独自に開発しているのです。四谷のマンションの共
同実験は、その技術のテストだったのです。その技術は次のよう
に命名されています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
B-PON(ビー・ポン)Broadband Passive Optical Network
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 実験場所に選ばれた四谷のマンションは、古い同軸ケーブルが
入っており、マンションの住人はそれを通じてテレビを視聴して
いるのです。
 やり方はきわめて簡単です。同軸ケーブルの根元にB−PON
を1個つなぐだけです。それだけのことで、同軸ケーブルをいわ
ば、光ファイバーに変身させることができ、標準画質の放送が、
500チャンネル、ハイビジョン放送が110チャンネルを流す
ことができるのです。詳しくは次のアドレスをクリックすると、
NTTとスカパーによる報道発表資料を読むことができます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  http://www.ntt.co.jp/news/news02/0202/020225.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 B−PONは、NTTが開発した独自技術で、コストも非常に
安いのです。B−PONは、1個10万円――1個つけるだけで
マンション全部がデジタル放送を受信できるのです。かりに50
戸建てのマンションであれば、1戸当たりの負担はたったの20
00円――それも1回負担すればそれで終りなのです。
 NHKは、放送を日本全国にあまねく普及させることが義務づ
けられています。これをユニバーサルサービスといっています。
ですから、過疎地の難視聴地域にも放送を確実に届ける義務があ
るわけです。
 NTTも同様に、日本全国にどこにいても同一料金で電話が通
じるようにすることが義務づけられています。ですから、立場は
NHKと同じなのです。しかし、NHKとNTTは、必ずしも仲
がよいとはいえないのです。それもどちらかというと、NHKの
方がNTTに対して警戒感を持っており、NTTに放送の世界に
入ってきて欲しくないと考えているフシがあります。
 しかし、今はそんなことを考えているときではないはずです。
光波長多重技術を使えば、光ファイバーに放送を含めたさまざま
なコンテンツを流すことができ、光ファイバーという格好のイン
フラを生かすことができます。
 しかし、全国に張り巡らされた光ファバー網でデジタル放送を
伝送することが当たり前になると、現在、全国放送の中継基地で
しかないローカル局の存在意義がうすくなり、放送業界の再編が
起こる可能性があります。その危機感から、ローカル局サイドか
ら、「デジタル化見直し論」が巻き起こりつつあります。
 しかし、放送と通信の融合化は時代の流れであり、これに逆ら
うことはできないと思います。4月17日の日本経済新聞は、ス
カパーとそのライバルのWOWOWが黒字転換したことを伝えて
います。スカパーの狙いは、2002年10月の上場審査基準の
緩和を生かして東証一部にくら替えを図り、将来の資金需要に備
えることにあります。これにより、より機動的な事業展開が可能
になり、通信と放送の融合に拍車がかかることは必至と思われま
す。             −−− [デジタルTV/10]
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック