悼式に中国と韓国の代表者が出席しないという残念な出来事があ
りました。
追悼式には、およそ140の国や国際機関などの代表が、出席
しましたが、中国と韓国の代表は、去年は出席したものの、今年
は出席しなかったのです。
中国が出席しなかった理由は、追悼式で国名を読み上げて献花
する「指名献花」の対象に台湾が入っていたからです。台湾を対
象に入れると、中国が反発することは分かっていたのですが、台
湾からは震災にさいして破格の支援を受けているので、日本とし
ては、その礼を尽くしたのです。
一方、韓国の欠席の理由は「事務的なミス」。つまりうっかり
して忘れていたというのです。大使のスケジュールを管理してい
るはずの駐日韓国大使館がこんな大事なスケジュールを忘れると
はとても思えないのです。したがって、韓国は中国に歩調を合わ
せたと見られても仕方がないと思います。
1978年、当時副首相だったケ小平氏は、わざわざ大阪府茨
木市の松下電器のテレビ工場を訪れ、出迎えた松下幸之助氏(当
時相談役)に次のように頼んだのです。
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中国の近代化を手伝ってくれませんか
──ケ小平副首相
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これに対し、松下相談役は快諾し、翌年の1979年に北京に
駐在員事務所を開設したのです。さらに1987年にブラウン管
製造の合弁会社を北京に設立し、日本企業では戦後初めて中国に
工場進出したのです。
2008年に来日した胡錦濤国家主席は、予定にない行動に出
たのです。大阪府門真市の松下の本社を訪れたのです。そして、
出迎えた松下正治氏(当時名誉会長)に歩み寄ると、次のように
感謝の言葉を述べたのです。
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中国の発展に尽くしていだたき、ありがとうございます
──胡錦濤国家主席
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このときの胡錦濤主席の対応を見て多くの日本人は、中国は、
「井戸を掘った人を忘れない国」であることを強く印象づけられ
たはずです。また、天安門事件において中国が、国際社会で孤立
したときも松下の工場は操業を続けたのです。当時の李鵬首相は
自ら松下の工場を訪れ、謝意を述べたといわれます。中国と松下
とはそういう親密な関係なのです。
ところが、昨年、中国の反日デモが暴徒化し、パナソニックの
山東省と江蘇省の工場が襲撃され、焼き討ちに遭ったのです。し
かも、中国政府は「全ての責任は日本側にある」として、いっさ
い補償には応じないと明言したのです。
中国に進出している日本の財界人は表面的には何も語っていま
せんが、この出来事を見て、おそらく腹を固めたと思われます。
「中国から撤退の時期が来た」と。中国では、既に「井戸を掘っ
た人を忘れない」という世界に誇るべき慣習というか精神は、風
化されてしまったようです。
ところで、中国人とはどういう人たちなのでしょうか。
戦前の中国研究家の長野朗氏は、次のように中国人の特性を指
摘しています。
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かの利害打算に明らかな支那人も、時に非常に熱して来る性質
を有って居る。支那人の民衆運動で野外の演説等をやって居る
のを見ると、演説して居る間にすっかり興奮し、自分の言って
居ることに自分が熱して来る。その状態はとても日本人等には
見られない所である。彼等は何かで興奮して来ると、血書をし
たり果ては河に飛び込んだりするのがある。交渉をやって居て
も、話しが順調に進んだかと思って居る時に、何か一寸した言
葉で興奮して、折角纏まりかけたのが駄目になることがある。
支那人の熱情は、高まり易いが又冷め易いから、支那人は之を
「五分間の熱情」と呼び、排日運動等の時には、五分間熱情で
はいけない。之の熱情を持続せよと云ったやうなことを盛んに
激励したものである。 ──長野朗著
「支那の真相」/千倉書房
──宮崎正弘著「習近平が仕掛ける尖閣戦争」/並木書房
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中国について論ずるとき、中国には大別すると、次の3つのグ
ループがあることを知っておく必要があります。
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1.共産主義青年団 ・・ 胡錦濤を中心とするグループ
2. 上海派 ・・ 江沢民を中心とするグループ
3.左翼原理主義派 ・・ 現在も毛沢東礼賛のグループ
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日本による尖閣諸島国有化によって引き起こされた反日デモは
上海派が左翼原理主義派を巻き込んで、主流派の共産主義青年団
(団派)を党大会前に窮地に追い込むために仕掛けたものである
ということができます。権力抗争に反日を利用しているのです。
胡錦濤政権は穏健派で、西側諸国とは協調路線を取っていたの
で、本当は日本とはコトを構えたくはなかったのです。そのため
日本側に尖閣諸島の国有化は断固反対するという姿勢を伝えたの
ですが、野田政権の稚拙な外交によって、団派としても強い反日
姿勢を取らざるを得なくなったのです。
それを上海派は利用して、反日デモを強化させたのです。その
結果、湖南省長沙、山東省青島、陳西省西安、広東省広州などで
はデモは暴徒化したのです。これらの場所はいずれも団派が治め
ている地域なのです。長沙の平和堂、青島の日本の自動車の販売
店、バナソニック、キャノン、ミツミ電機の工場などが焼き討ち
にされたのです。 ── [新中国論/04]
≪画像および関連情報≫
●不安定なトロイカ体制/太子党・共青団・上海閥
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【北京=山本勲】中国共産党の新指導部体制は、習近平総書
記らの太子党(高級幹部の子弟)、胡錦濤派の共産主義青年
団(共青団)と江沢民前国家主席派の上海閥の3派が並存す
るトロイカ体制となった。最高指導部内では少数派となった
胡錦濤派だが、中央・地方に配した豊富な人材が今後への強
みとなっている。最高指導部の政治局常務委員会(7人で構
成)では、太子党と上海閥が連合して多数派を構成できる一
方、政治局全体(25人)では共青団を中心とする胡派がほ
ぼ半数を占めた。習近平体制は通常の党務は常務委で処理で
きるものの、政治局にはかるべき重要問題では、胡派の同意
を得なければ決定できない不安定さをはらむ。上海閥と太子
党は江沢民・曽慶紅の前国家主席・副主席コンビを後ろ盾と
しており、その関係はもともと緊密だ。常務委内の太子党は
習総書記、王岐山副首相、上海閥は兪正声・上海市党委書記
張徳江・重慶市党委書記、張高麗・天津市党委書記の面々。
胡派は李克強副首相、劉雲山・党中央宣伝部長の両氏だが、
劉氏は江主席時代に同部副部長として中央政界に抜擢され、
江氏との関係も良好な“中間派”。胡氏直系の常務委員は李
克強氏のみとなる。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/606998/
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尖閣国有化/反日デモ