2013年03月14日

●「尖閣反日デモは中国内の権力抗争」(EJ第3506号)

 東日本大震災の発生から2年となる3月11日、政府主催の追
悼式に中国と韓国の代表者が出席しないという残念な出来事があ
りました。
 追悼式には、およそ140の国や国際機関などの代表が、出席
しましたが、中国と韓国の代表は、去年は出席したものの、今年
は出席しなかったのです。
 中国が出席しなかった理由は、追悼式で国名を読み上げて献花
する「指名献花」の対象に台湾が入っていたからです。台湾を対
象に入れると、中国が反発することは分かっていたのですが、台
湾からは震災にさいして破格の支援を受けているので、日本とし
ては、その礼を尽くしたのです。
 一方、韓国の欠席の理由は「事務的なミス」。つまりうっかり
して忘れていたというのです。大使のスケジュールを管理してい
るはずの駐日韓国大使館がこんな大事なスケジュールを忘れると
はとても思えないのです。したがって、韓国は中国に歩調を合わ
せたと見られても仕方がないと思います。
 1978年、当時副首相だったケ小平氏は、わざわざ大阪府茨
木市の松下電器のテレビ工場を訪れ、出迎えた松下幸之助氏(当
時相談役)に次のように頼んだのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      中国の近代化を手伝ってくれませんか
               ──ケ小平副首相
―――――――――――――――――――――――――――――
 これに対し、松下相談役は快諾し、翌年の1979年に北京に
駐在員事務所を開設したのです。さらに1987年にブラウン管
製造の合弁会社を北京に設立し、日本企業では戦後初めて中国に
工場進出したのです。
 2008年に来日した胡錦濤国家主席は、予定にない行動に出
たのです。大阪府門真市の松下の本社を訪れたのです。そして、
出迎えた松下正治氏(当時名誉会長)に歩み寄ると、次のように
感謝の言葉を述べたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  中国の発展に尽くしていだたき、ありがとうございます
                  ──胡錦濤国家主席
―――――――――――――――――――――――――――――
 このときの胡錦濤主席の対応を見て多くの日本人は、中国は、
「井戸を掘った人を忘れない国」であることを強く印象づけられ
たはずです。また、天安門事件において中国が、国際社会で孤立
したときも松下の工場は操業を続けたのです。当時の李鵬首相は
自ら松下の工場を訪れ、謝意を述べたといわれます。中国と松下
とはそういう親密な関係なのです。
 ところが、昨年、中国の反日デモが暴徒化し、パナソニックの
山東省と江蘇省の工場が襲撃され、焼き討ちに遭ったのです。し
かも、中国政府は「全ての責任は日本側にある」として、いっさ
い補償には応じないと明言したのです。
 中国に進出している日本の財界人は表面的には何も語っていま
せんが、この出来事を見て、おそらく腹を固めたと思われます。
「中国から撤退の時期が来た」と。中国では、既に「井戸を掘っ
た人を忘れない」という世界に誇るべき慣習というか精神は、風
化されてしまったようです。
 ところで、中国人とはどういう人たちなのでしょうか。
 戦前の中国研究家の長野朗氏は、次のように中国人の特性を指
摘しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 かの利害打算に明らかな支那人も、時に非常に熱して来る性質
 を有って居る。支那人の民衆運動で野外の演説等をやって居る
 のを見ると、演説して居る間にすっかり興奮し、自分の言って
 居ることに自分が熱して来る。その状態はとても日本人等には
 見られない所である。彼等は何かで興奮して来ると、血書をし
 たり果ては河に飛び込んだりするのがある。交渉をやって居て
 も、話しが順調に進んだかと思って居る時に、何か一寸した言
 葉で興奮して、折角纏まりかけたのが駄目になることがある。
 支那人の熱情は、高まり易いが又冷め易いから、支那人は之を
 「五分間の熱情」と呼び、排日運動等の時には、五分間熱情で
 はいけない。之の熱情を持続せよと云ったやうなことを盛んに
 激励したものである。            ──長野朗著
                 「支那の真相」/千倉書房
   ──宮崎正弘著「習近平が仕掛ける尖閣戦争」/並木書房
―――――――――――――――――――――――――――――
 中国について論ずるとき、中国には大別すると、次の3つのグ
ループがあることを知っておく必要があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.共産主義青年団 ・・ 胡錦濤を中心とするグループ
 2.    上海派 ・・ 江沢民を中心とするグループ
 3.左翼原理主義派 ・・ 現在も毛沢東礼賛のグループ
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本による尖閣諸島国有化によって引き起こされた反日デモは
上海派が左翼原理主義派を巻き込んで、主流派の共産主義青年団
(団派)を党大会前に窮地に追い込むために仕掛けたものである
ということができます。権力抗争に反日を利用しているのです。
 胡錦濤政権は穏健派で、西側諸国とは協調路線を取っていたの
で、本当は日本とはコトを構えたくはなかったのです。そのため
日本側に尖閣諸島の国有化は断固反対するという姿勢を伝えたの
ですが、野田政権の稚拙な外交によって、団派としても強い反日
姿勢を取らざるを得なくなったのです。
 それを上海派は利用して、反日デモを強化させたのです。その
結果、湖南省長沙、山東省青島、陳西省西安、広東省広州などで
はデモは暴徒化したのです。これらの場所はいずれも団派が治め
ている地域なのです。長沙の平和堂、青島の日本の自動車の販売
店、バナソニック、キャノン、ミツミ電機の工場などが焼き討ち
にされたのです。          ── [新中国論/04]

≪画像および関連情報≫
 ●不安定なトロイカ体制/太子党・共青団・上海閥
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  【北京=山本勲】中国共産党の新指導部体制は、習近平総書
  記らの太子党(高級幹部の子弟)、胡錦濤派の共産主義青年
  団(共青団)と江沢民前国家主席派の上海閥の3派が並存す
  るトロイカ体制となった。最高指導部内では少数派となった
  胡錦濤派だが、中央・地方に配した豊富な人材が今後への強
  みとなっている。最高指導部の政治局常務委員会(7人で構
  成)では、太子党と上海閥が連合して多数派を構成できる一
  方、政治局全体(25人)では共青団を中心とする胡派がほ
  ぼ半数を占めた。習近平体制は通常の党務は常務委で処理で
  きるものの、政治局にはかるべき重要問題では、胡派の同意
  を得なければ決定できない不安定さをはらむ。上海閥と太子
  党は江沢民・曽慶紅の前国家主席・副主席コンビを後ろ盾と
  しており、その関係はもともと緊密だ。常務委内の太子党は
  習総書記、王岐山副首相、上海閥は兪正声・上海市党委書記
  張徳江・重慶市党委書記、張高麗・天津市党委書記の面々。
  胡派は李克強副首相、劉雲山・党中央宣伝部長の両氏だが、
  劉氏は江主席時代に同部副部長として中央政界に抜擢され、
  江氏との関係も良好な“中間派”。胡氏直系の常務委員は李
  克強氏のみとなる。
  http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/606998/
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尖閣国有化/反日デモ.jpg
 
尖閣国有化/反日デモ
posted by 平野 浩 at 01:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 新中国論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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