2003年04月16日

●BS/東経110度CSの言語BML(EJ第1087号)

 テレビがデジタルして、双方向サービスになるときに、問題に
なることが2つあります。
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          1.使用言語
          2.リモコン
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 CSデジタル放送でも、東経124度/128度を使うCSデ
シタル放送では、HTMLという言語を使っています。HTML
は、インターネットのホームページを書く言語であり、広く普及
していることは、ご存知であると思います。
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   HTML=Hyper Text Markup Language
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 東経124度/128度CSデジタル放送では、HTMLを使
うことによってインターネットとの親和性を強め、IRD(デジ
タル放送受信用単体チューナ)に高速インターネットモデムを組
み込むことによって、PCにつなげ、衛星インターネットで送る
――といったように、ますます、テレビを高機能化しつつあると
いってよいと思います。
 しかし、これに対して東経110度CSデジタル放送の方は、
高画質に重点を置き、高機能の方については付加的なものと位置
づけています。それはBSデジタル放送の方針と同じであるとい
えます。このことは、BSデジタル放送と東経110度デジタル
放送が採用している言語に関係があります。
 BSデジタル/東経110度CSで使用する言語は、HTML
ではなく、次の言語を採用しています。
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   BML=Broadcast Markup Language
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 HTMLという言語は、コンピュータ言語としては、非常に易
しい言語です。少し勉強すれば誰でも書ける言語です。このこと
と、インターネットが普及したこととは無関係ではないのです。
 しかし、BMLは、HTMLに比べるとかなり難しいのです。
普及もしていないため、書ける人が少ないのです。そのため、ハ
イレベルの画像を提供しようとすると、コストが非常に高くつい
てしまうのです。
 それなら、どうしてHTMLを使わずにBMLを採用したので
しょうか。
 HTMLを採用しなかった理由は、テレビの画面のサイズや視
聴するさいの画面との距離、リモコンの操作性から判断したもの
ということです。しかし、その本音は違うと思うのです。それは
インターネット上で流れている公序良俗に反するコンテンツがテ
レビの画面で映っては困るという判断です。そのため、あえてイ
ンターネットとの親和性を断ち切りたかった――というのが本音
であると思います。
 ところで、BMLという言語――まったくHTMLと無関係と
いうわけではないのです。もともと、HTMLはSGMLという
構造化言語から派生したものです。構造化言語とは、簡単にいう
と、文書の再利用のために文書を構造化するものです。
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   SGML=Standard Generalized Markup Language
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 HTMLは、SAGLからマークを付けて文書を構造化するこ
とを引き継ぎ、WWW用に機能を特化させたものです。しかし、
HTMLはその後、徐々に複雑化するマルチメディアや表現の多
様化に合わせて、「表示すること」を重視した独自の言語になり
つつあります。
 そういう傾向を受けて、SGMLの特徴を持ちつつ、HTML
のように、WWWで使える「XML」という言語が登場してきて
います。
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   XML=eXtensible Markup Language
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 これによって、WEBサイトの拡大によって膨大な量になって
いるHTML文書を、資産として活用するために普及させようと
しています。BMLは、このXMLと親和性があるのです。
 さらに、このXMLと表示機能を強化したHTMLの両方を包
含する新しい記述言語「XHTML」も登場してきています。こ
の言語は、BMLも包含するので、BSデジタル/東経110度
CSが、BMLを採用したことは、あながち間違っているとはい
えないと思います。
 言語の話が長くなりましたが、デジタル双方向サービスのもう
ひとつの問題点である「リモコン」について話します。
 双方向サービスを利用するためには、テレビ局ごとに会員登録
しなければならないのです。しかし、デジタルの双方向サービス
といっても、受け手である視聴者にあるのはリモコンだけです。
キーボードもなければ、マウスもないのです。
 キーボードやマウスは難しいといいますが、リモコンだけで会
員登録するのはもっと難しいのです。といって、テレビにキーボ
ードやマウスを付けたら、テレビは本当にPCになってしまうの
で、やるべきではありません。
 これにより、BSデジタル/東経110度CSでは、双方向サ
ービスといってもきわめて限定的なものにならざるを得ないので
す。つまり、高画質は追求するが高機能は追わないという方針に
なるわけです。
 一方、PCが自由に使いこなせる人は、東経124度/128
度CSが面白いと思います。既に述べたように、スカパーはこれ
から、どんどんインターネットと親和性を深めるからです。
 本当に便利な世の中になってきましたが、テレビを買うのにも
かなりの勉強が必要になってきたようです。
               −−− [デジタルTV/08]

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posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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