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ディレクTV獲得/マードック氏に経営権
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ルパート・マードック氏が率いるオーストラリアのメディア大
手ニューズ・コーポレーションが、米衛星放送最大手のディレク
TVを保有するヒューズ・エレクトロニクスの経営権を66億ド
ル相当の現金と株式交換で取得することになったというのです。
ディレクTVは、1130万人もの契約者を抱えており、これを
手に入れることによってニューズ社は、世界規模のネットワーク
を実現できることになります。
さて、先週の続きです。放送の問題を考えるとき、日本は公共
放送――NHKが非常に強いということを前提においておく必要
があります。世界でこんなに公共放送が強い国は日本しかないの
です。ちょうど通信の世界におけるNTTと同様です。
もともとBS放送は、地上波放送の難視聴対策としてはじめら
れたものです。ですから、当然のことながら、アナログからはじ
められたのです。NHKの場合は、日本全国の視聴者に対して、
その放送を見られるようにすることが義務づけられています。日
本は山あり谷ありの国ですから、この条件をクリアするには衛星
を使うのが一番効果的だったのです。
このようにして、BSアナログ放送ははじめられたのですが、
地上波放送技術の向上によって、難視聴地域対策は、衛星を使わ
なくてもクリアできるようになっていったのです。そうなると、
BSアナログ放送は、地上波放送のもう1つのチャンネル「モア
・チャンネル」としての色彩を強めることになります。
このBSアナログ放送には、有料放送としてWOWWOWが参
入し、2社運営となったのですが、NHKのBS放送は、オリン
ピックなどの全試合放送などを除くと、たいして魅力的なコンテ
ンツがないにもかかわらず、1600万世帯近くの視聴者を集め
たのです。これは驚くべき普及力といえます。
かくいう私もBSアナログ放送の視聴者なのですが、PCでテ
レビを見るようになってからは、BSはほとんど見ることはなく
なっています。たまに、午後8時に大河ドラマを見損なったとき
に、午後10時からBSで見る程度の利用度なのです。
それでも1600万世帯の顧客を集めてしまうところがNHK
の実力であり、強さなのです。ちょうどこれは、NTTがあのス
ローなISDNの顧客を1000万世帯以上集めた力に匹敵する
パワーといえるでしょう。
実は東経110度CSは、このBSアナログ放送の1600万
世帯の視聴者を潜在的顧客として意識した苦肉の策ともいうべき
戦略なのです。要するに、東経110度CSは、BSと経度が同
じであるため、BS/CSの共用アンテナ、共用受信機によって
両方が視聴できるようになります。
そうすれば、BSアナログ放送の受信者で、デジタルへの切り
換えをしないユーザも、「CSも見られるなら・・」ということ
で、BSデジタル放送への切り換えをしてくれるに違いない――
こういう読みがあったようなのです。東経110度CSが打ち上
げられたのは、2000年10月7日のことですから、どうやら
郵政省(現総務省)は、最初からBSデジタル本放送への顧客獲
得の厳しさを最初から予測していたフシがあるのです。
そこで、BSアナログ放送の受信者、1600万世帯を何とか
BSデジタル放送に引き込む仕掛けとして、東経110度CSを
考えていたと思われます。
しかし、事態は、郵政省が予測していたよりも厳しい結果にな
っているのです。BSデジタル放送の普及状況は、放送開始から
2年以上が過ぎているにもかかわらず、相変わらず伸び悩んでい
ます。放送開始前には「1000日で1000万世帯」という目
標を掲げたのですが、時の経過とともに目標との差が開くばかり
になってしまっているのです。何が原因なのでしょうか。
コンテンツで差をつけようと最初は考えていたようです。こん
な話があります。NHKは、当初イチロー人気でメジャーリーグ
中継の視聴者が多いことに注目し、BSデジタル放送だけで放映
していたのです。ところが、BSアナログ放送の視聴者からもの
凄いクレームがきて、アナログでも放送せざるを得なくなってし
まったのです。
そもそもBSデジタル放送のコンテンツが、BSアナログ放送
のそれに決定的な差をつけられない――そこに大きな問題がある
といえます。
もっと衝撃的なことは、日本のデジタル放送を立て直す期待の
ホシとして開始された東経110度CSの加入者が伸びていない
ことです。放送開始は2002年6月ですが、6ヶ月が経過した
昨年暮れの時点でも、加入者は5万世帯程度なのです。そのため
早くも撤退を検討している事業者も出始めています。5万世帯な
ど、とても放送サービスの数字とはいえないでしょう。
その原因は、明らかに国の政策の失敗にあるといえます。それ
は、行政によるプライオリティの間違いにあります。CSデジタ
ル放送をどのようにするのかという明確なビジョンのないままに
BSデジタル放送を立ち上げ、その補完するものとして、思いつ
きとしか思えない東経110度CSの打ち上げを行い、それにも
失敗するというテイタラクです。
プライオリティのトップは、地上波デジタル放送に決まってい
ます。そのときはデジタルテレビにしなければならないことは誰
にもわかっています。しかし、その大本命が一番最後に出てくる
のですから、誰だって買い控えをするに決まってします。
既に地上波デジタルとBSデジタル、それに東経110度CS
の共用受像機とアンテナの発売が決まっているのです。3つの放
送が全部見られるのです。このようなものが一番最後に出てくる
のでは、先に買った方が損をすることになります。BSデジタル
が普及しないのは当然と思われます。
−−− [デジタルTV/06]