2007年01月24日

なぜ、ホワイトプランを導入したのか(EJ第2005号)

 ケータイの料金に深く関係する3要素――通話、Eメール、パ
ケットについての基本的な説明は前回までで終了しています。続
いて、現在の日本の携帯電話業界の現状を理解し、今後の展開を
予測するために必要な通信の基礎知識についての説明に入るので
すが、その前にソフトバンクが1月5日に急遽発表した「ホワイ
トプラン」(1月16日スタート)について述べておきます。
 1月17日発行の『夕刊フジ』に、次の衝撃的なトップタイト
ルが出たのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        危うい/ソフトバンク激安設定
    ―― 債権者の金融機関からブーイング ――
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここでいう「ソフトバンク激安設定」が「ホワイトプラン」な
のです。「ホワイトプラン」の特徴をまとめてみます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.1時から21時まではソフトバンク携帯電話宛の通話は何
   時間話しても無料
 2.ソフトバンク携帯電話宛のメールは無料。他社へのメール
   は3円〜200円
 3.それでいて月額基本料金は980円。ソフトバンク・ユー
   ザのコース変更可
 4.ホワイトプランに新スーパーボーナスを付けると、端末の
   大幅割引き購入可
―――――――――――――――――――――――――――――
 月額基本料金は980円――これは他のキャリアのどのコース
よりも安いのです。NTTドコモとau両社の最も安いコースは
「タイプSS」(ドコモ)「プランSS」(au)は、月額37
80円(税込み)ですから、比較にはなりません。
 ドコモやauのあらゆる割引きが行われた後の月額基本料金で
も、1000円以下にはならないのです。それに加えて、対ソフ
トバンクへの通話やメールも無料というのですから、他社には価
格的には対抗不能です。
 それでは、月額基本料9600円を70%引きにして2880
円にした「ゴールドプラン」とどこが違うのでしょうか。違いは
たったのひとつ、午後9時から午前1時までについての料金が異
なるだけです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪21時から1時まで≫
 ゴールドプラン ・・・・・ 21円/30秒(税込み)
 ホワイトプラン ・・・・・ 200分/月間までは無料
―――――――――――――――――――――――――――――
 この21時から1時までという時間ですが、年代層によって認
識が異なるのです。中高年層ビジネスマンであれば、午後9時以
降は家にいる可能性が高く、固定電話もあるので、ケータイを最
も使わない時間帯ですが、高校生や若年層ではこの時間帯の通話
が最も多いのです。
 それからもうひとつ「月200分までは無料」というサービス
の受け止め方です。マスコミでは、200分を30で割って「一
日たったの6分強」というように、その少なさを訴えていますが
果たして本当にそうでしょうか。
 確かに「一日6分」というように6分を強調すると少ないよう
に感じますが、それは毎日一日も欠かさずこの時間帯に電話をか
けたときの話であり、200分はかなりの時間なのです。ソフト
バンクには前から、「月200分までは無料」というサービスが
あったのですが、ほとんどのユーザが使い切れず、大幅に残して
しまうことがわかっています。したがって、孫社長としては「月
200分までは無料」を大きなサービスとして位置づけ提供した
つもりだったのです。
 しかし、「ゴールドプラン」のユーザ――かくいう私もそうで
すが――としては「月200分までは無料」のために月額980
円で済む基本料金を2880円支払うのは得策ではないといえる
でしょう。1900円も安くなるのですから。
―――――――――――――――――――――――――――――
       2880円−980円=1900円
―――――――――――――――――――――――――――――
 したがって、現在「ゴールドプラン」に入っているソフトバン
クのユーザは速やかに「ホワイトプラン」に変更することをお勧
めします。そのうえで「パケット放題」をプラスしても1000
円ほど安くなってしまうからです。
 それでは、ソフトバンクはどうして「ホワイトプラン」を導入
したのでしょうか。
 当初の計画では孫社長としては、「ゴールドプラン」の激安提
供を1月15日で打ち切りたくなかったのです。しかし、銀行団
との約束でこのプランは15日までということになったのです。
 ソフトバンクは、身の丈を超えるボーダフォンの買収にボーダ
フォンの事業資産を担保にLBO(レバレッジ・バイ・アウト)
ローンで短期の資金調達を行っています。そして、昨年11月末
にこの借り換えを行ったのです。
 ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)の全資産を担保とし
携帯電話事業が創出するキャッシュフローを裏付けとする事業証
券化で1兆4500億円もの資金調達を行ったのです。つまり、
将来の事業収益も借り入れの裏付けとしたことになります。
 事業証券化には詳細なる負債返済スケジュールが銀行団に提出
されており、それに付随する種々の約束事があったるはずです。
そのひとつとして「ゴールドプラン」の激安提供を1月15日ま
でとすることもあったと考えられます。しかし、MNPスタート
当初のシステムダウンや広告のクレームなどがあって、想定より
契約数が伸びなかったので、より刺激の強い「ホワイトプラン」
を出したのではないかと考えられます。これなら、銀行団のブー
イングはあり得ることです。    ・・・ [通信戦争/13]


≪画像および関連情報≫
 ・ソフトバンクモバイルの財務制限条項について
  ―――――――――――――――――――――――――――
  詳細な負債返済スケジュールをはじめ、最大設備投資額、E
  BITDAの目標値などさまざまな条件が明記されている。
  たとえば、携帯電話の契約者数目標は2019年まで四半期
  ごとに詳細な設定がなされている。「マネジメントケース」
  が経営陣の設定した事業計画で「ミニマムケース」が今回の
  事業証券化スキームにより合意した借り入れ返済の最低水準
  となる。このミニマムケースを割り込むと貸し手の管理が厳
  しくなってしまう。
     ――『週刊東洋経済』2006年11月25日号より
  ―――――――――――――――――――――――――――

ホワイトプランを発表する孫社長.jpg
posted by 平野 浩 at 04:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ通信戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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