2013年02月01日

●「中国は『超限戦』を展開している」(EJ第3478号)

 中国政府は尖閣諸島について「棚上げ」の意思を持っているの
は確かです。米国のこの問題に対する姿勢が中国が考えているよ
りもはるかに強いものであることがわかったので、少し時間を置
こうと考えたものと思われます。それには「棚上げ」しか方法は
ないのです。
 しかし、中国側からそれを要請したくはなく、日本側からいわ
せたいのです。そこに公明党の山口代表が「棚上げ」を明確に口
にして訪中してくる雰囲気があったので、中国はこれを利用しよ
うと考えたのです。
 しかし、山口氏は政府筋の反対を受けて主張を修正したので、
中国側は方針の若干の変更を迫られたのです。実は習近平総書記
は最初から山口氏とは中国滞在最終日に会う予定でいたのです。
山口氏は安倍首相の親書を持参しているので、これをトップが受
け取らないのは好ましくないという考え方だったようです。
 しかし、最後の最後まで、そのことを日本側に伝えなかったの
です。その間、中国側は山口氏に何人もの幹部と会談させ、事実
上の「棚上げ」の言質を取ろうとしたのです。「棚上げ」とは、
尖閣諸島を「係争地」であることを認めさせ、その解決を先送り
させることを意味しています。
 中国政府はこれと並行して、日本の親中派の大物に訪中を促し
要人と会談させています。事実鳩山由紀夫元首相、村山富一元首
相、加藤紘一前衆院議員などの親中派は中国政府から招待され、
訪中しています。中国側の狙いは、彼らが尖閣諸島が「係争地」
であることを発言させることにあります。鳩山元首相はまさに中
国の意向に沿う発言をしています。
 中国は、ある国家目標を達成するさい、「三戦」といって、次
の3つのステップを踏んでくるのです。「超限戦」といいます。
―――――――――――――――――――――――――――――
           1.「心理」戦
           2.「世論」戦
           3.「法律」戦
―――――――――――――――――――――――――――――
 中国の立場に立って尖閣問題を例にとって考えてみます。まず
尖閣問題をクローズアップさせ、日本人にこの問題の存在を認識
させる必要があります。
 方法はいろいろあります。漁船で尖閣周辺海域に入り、一部の
漁民を島に上陸させたりして、日中の間でトラブルを起こすので
す。そしてそれを原因にして反日デモを起こします。日本は実際
にこれをやられています。
 2010年に起きた尖閣諸島海域における中国漁船と海上保安
庁巡視船との衝突事件、それに船長を逮捕したことによる反日デ
モ。これだけやれば、日本人のほとんどは尖閣問題を認識するで
しょう。これはまさしく「心理戦」なのです。
 さらに野田政権の尖閣諸島国有化を原因とする激しい反日デモ
と尖閣諸島周辺海域への中国公船の領海侵犯の執拗な繰り返し。
さらに今度は航空機での領空侵犯。これには航空自衛隊によるス
クランブルが繰り返されています。これだけやれば、日本人は嫌
でも尖閣問題を認識せざるを得なくなります。これが「心理戦」
なのです。戦争は始っているのです。
 この心理戦に並行して中国は「世論戦」も仕掛けてきているの
です。現在沖縄には多くの中国工作員が潜入し、さまざまな工作
を仕掛けているといわれます。彼らは実際に沖縄に住み、県民と
も交流し、自然に県民レベルから、普天間基地県内移設反対、オ
スプレイ配備反対などの世論が形成されつつあります。中国の狙
いは、この基地反対運動をさらに拡大させ、沖縄から在日米軍基
地を撤退させることにあるのです。
 確かに沖縄から米軍が出て行っていちばん利益を得るのは中国
であることは明らかです。なかでもオスプレイの配備反対はヒス
テリックであり、何となく意図的なものを感じます。つまり、沖
縄の米軍基地反対の声は、必ずしも県民の声だけとは限らず、中
国の工作員によって仕掛けられている面もあるということを認識
すべきです。これが「世論戦」です。
 その後に控えるのは「法律戦」です。既に中国は、外交交渉を
通じて中国の立場を各国に訴えています。また、国際機関に尖閣
諸島が中国領であることを示す史料であるとか、地図であるとか
を提出し、来るべき国際司法裁判所での法律戦に備えています。
 もちろん、それらの史料や地図などが正しいとは限りませんが
日本も尖閣諸島が「無主の地」であったことを裏づける調査資料
や島に定住していたことを示す証拠資料などを整備し、法律戦に
備える必要があるのです。
 中国の狙いは、まず日本に尖閣諸島が「係争地」であることを
認めさせることにあります。「日中間に領土問題なし」という日
本の主張では物事が進まないからです。しかし、日本は係争地で
あることを認めると、不利になります。ジャーナリストの福島香
織氏は、棚上げの行きつく先について次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 今、棚上げが何とか継続できても、数年も経てば、また同じこ
 とが起きる。その頃の中国の軍事力・国力は今より強くなって
 いるのではないか。棚上げを継続して得するのはむしろ中国の
 方ではないか。日本にとって、棚上げ論の行きつく先は、最善
 の結果で「共同開発」だろう。いっそのこと、尖閣諸島は係争
 地域であると認めてしまって国際法廷に提訴するか。人民解放
 軍の理論派、羅少将は意外なことに「国際法延への提訴」も支
 持している。多くの日本人は国際法廷で勝てると思っているか
 もしれない。私も日本側の主張の方に理があると思っている。
 だが、世界は腹黒く、正義は欺瞞に満ちている。正直、外交力
 や国際社会での存在感や影響力で結果が変わることもあるので
 はないか。 ──日経ビジネス「新国境論」所載の福島香織氏
    論文「棚上げ論はもう限界/国際社会を日本の味方に」
―――――――――――――――――――――――――――――
                 ―─ [日本の領土/82]

≪画像および関連情報≫
 ●日本なくして中国人の生活は成り立たない/福島香織氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  地球最後の巨大市場と呼ばれる中国では、日本製以外に米国
  製、ドイツ製、フランス製、スペイン製と世界各国の製品が
  ひしめく。そして、それらの製品はグローバルサプライチェ
  ーンのなかで製造され、部品や素材が各国から集められ、多
  くは中国の工場で中国人によって仕上げられている。日本製
  品はシェアからいえば、米国やドイツ、フランスに負けてい
  る分野も多々あるが、商品に付随する日本的ライフスタイル
  らしさ、などの付加価値はかなりはっきり意識されている。
  もちろんルイ・ヴィトンやディオールなどのブランドは、そ
  のような付加価値が付随しているもので、消費者はその付加
  価値を好んで買うわけだが、日本製の場合、そのような付加
  価値など必要ない普通の実用品でも、日本らしさをブランド
  としてまとう。たとえば日本の家電や自動車に付随する「耐
  久性」や「エコ」は日本らしさで、ライフスタイルだ。日本
  の家電製品は「耐久消費財」だが、この言葉は中国製や米国
  製に使用されることはない。米飯のおいしさを劇的に変えた
  日本製炊飯器、高級住宅でじわじわ普及したウォシュレット
  のような洗浄便座なども、一部の中国人のライフスタイルに
  影響を与えた人気商品だ。(続きを読む)
             http://blogos.com/article/51095/
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山口代表/習近平会談.jpg
山口代表/習近平会談
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の領土 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
暴走する従米右派がばら撒く膨大なプロパガンダに、
また一つ良質な情報源が潰されてしまった・・。

冷静に国益の観点から主張・行動している方々に対して、
証拠もないのにデマを鵜呑みにして、工作員だとか
洗脳されてるとかレッテル張りみたいな持論を展開する
のってどうなんでしょうか。

彼らは、尖閣の漁船衝突事故の時にも、中国人船員が
海に落ちた海保職員をモリで突き刺したとか、
とんでもないデマを垂れ流していますし・・。

鳩山さんのイラン訪問のときもボロクソにマスコミが
叩いていましたが、米国に言われるまま制裁に同調
していたら、完全に国益を損なっていましたよ。
今回の訪中も良いタイミングだったと評価しています。

最近のアルジェリア人質事件では欧米に従属し過ぎる
ことへの危険性を再認識できました。

対米従属、中国敵視を続けることの問題については、
田中宇さんが詳しく発信して下さっています。

http://tanakanews.com/130130japan.htm
http://tanakanews.com/130118japan.htm
http://tanakanews.com/121011japan.htm

棚上げという国家間の取り決め・約束事、
これは国交正常化の前提条件なんですよね。

それを平気で破るようなことをすれば、
中国の指導部が怒るのは当たり前だと思いますけどね。

それにしても・・。

なんだか、戦前の日本みたいになってきましたね。
良識派の人々を多数派が言論弾圧したり・・。

幼稚化の進む先は、日本の衰退なんでしょうか。
Posted by 長野県民 at 2013年02月01日 06:39
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