電話機(端末)だと思うのです。どうしてかというと、ケータイ
キャリア各社を変更するには必然的に端末を買い直さなければな
らないからです。
その端末の最大の目玉は、時期的にやはりワンセグケータイで
あろうと思います。おそらく10月24日のMNPスタートまで
に、各社それぞれ魅力的な端末を用意すると考えていたのです。
しかし、私の予想とは大きく違っていたのです。昨年12月の
時点までで、それぞれのキャリア各社が用意したワンセグ付き端
末は、NTTドコモはわずか1機種、auは2機種、ソフトバン
クは3機種だったのです。投入時期は、au、ドコモ、ソフトバ
ンクの順であり、どのように見ても一番遅く発売したソフトバン
クの端末が、デザイン、機能ともに一番良いと思われます。これ
は、明らかに意気込みの違いをあらわしていると思います。
NTTドコモの中村維夫社長は、ワンセグ本放送開始の直前に
次のようにいっているのです。
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通信と放送の融合にどのように取り組んでいくのかを探ってい
きたい。今のサイマル放送では、ケータイはテレビ受像機のま
まであり、ドコモにメリットはない。2008年のサイマル放
送見直しで、どんなサービスができるのか、どんなビジネスモ
デルが構築できるのかが、重要な課題だといえる。もし、テレ
ビとは別の放送を流すことができれば、そこで新たな広告が獲
得できたり、有料での放送を行うことも可能だ。
――NTTドコモの中村維夫社長
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要するにワンセグケータイは、ドコモとしてメリットがないの
で、最小必要限度のことしかしない、と明らかに乗り気ではなく
事実その通りの対応をしています。この社長には完全に顧客から
の視点が欠けています。私は、中村社長のこの発言を知って、ド
コモを離れようと決意したのです。
ちなみに「サイマル放送」というのは、ワンセグの放送内容と
して、2008年までは現在据え置き型テレビ向けに放送されて
いる番組を視聴できるようにする――そういう措置のことをいう
のです。2008年には見直しが行われるのです。
現状では、ワンセグケータイ端末はあらゆる端末の中の最高機
種に位置づけられています。通常の端末に付いている機能にプラ
スして、ワンセグTV、音楽プレーヤー、お財布ケータイ、ブル
ーツゥースなど、すべての機能が付いています。したがって、価
格はどうしても5〜7万円もしてしまうのです。
問題は、現実問題として5〜7万円の端末が売れるだろうかと
いうことにあります。一般の顧客が店頭で支払うケータイ端末の
価格はせいぜい2〜3万円でしょう。いまどき、7万円ならPC
だって購入できるからです。
ところが「新スーパーボーナス」なら、誰でもリーズナブルな
価格で最高級のケータイ端末を手にすることができるのす。
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・機種/ソフトバンク911SH――アクオス・ケータイ
・価格/72480円
72480÷24=3020 → 本来の1ヶ月の負担分
3020−2280=740 → 実際の1ヶ月の負担分
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実際の例に基づいて説明します。ソフトバンクから提供されて
いるシャープ製のワンセグケータイ/911SHを選んだとする
と、価格は72480円になるのです。金利・手数料はソフトバ
ンクの負担ですから、それを24で割ると3020円――これが
実際の毎月の負担額ということになります。
しかし、この3020円から毎月ソフトバンクが2280円を
負担してくれるのです。したがって、740円がワンセグケータ
イの月額負担分になります。つまり、24ヶ月間は基本料金であ
る2880円に740円を加えた3620円を支払うことになる
わけです。
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740円×24=17760円
72480円−17760円=54720円
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したがって、24ヶ月を払い終わると、ユーザの端末負担分は
17760円になります。この価格で最高級のワンセグケータイ
端末が入手できるのです。このケースのソフトバンクの割引きは
24ヶ月で、54720円ということになるわけです。
ソフトバンクの割引き額はケータイ端末によって異なり、機種
によっては無料になるものもあるのです。要するに「新スーパー
ボーナス」は端末を買いやすくするためのサービスである――そ
う考えることができます。
「新スーパーボーナス」の前身の「スーパーボーナス」は、上
記のケースでいう17760円を頭金として店頭で受け取って端
末を渡し、ユーザの毎月の負担分と同等額をソフトバンクで割引
いて、24ヶ月間続けるシステムだったのです。
「新スーパーボーナス」は、その頭金を24回分割にして支払
うシステムにし、店頭では受け取らないようにしたのです。その
ため、店頭では1円も支払う必要がないので「お持ち帰り0円」
と称したわけです。
ここまで、「通話」を中心にソフトバンクの「0円戦略」につ
いてご紹介してきましたが、これだけでも戦略の核心は見えるは
ずです。来週の月曜日は1月15日であり、「ゴールドプラン」
の締切日ですが、ソフトバンクは16日から「ホワイトプラン」
という新しいサービスをスタートさせようとしています。
来週からは、もう少し全体的な立場から、ケータイによる通信
戦争について書いていきたいと考えています。これから壮絶な戦
いが始まるのです。 ・・・・ [通信戦争/05]
≪画像および関連情報≫
・ワンセグ放送とは何か
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地上デジタル放送で行なわれる携帯電話などの移動体向けの
放送。2006年4月1日放送開始。もともと技術的呼称と
して1セグメント放送と呼ばれていたが、地上デジタル放送
推進協会によって2005年9月にワンセグという名称が決
定された。日本の地上デジタル放送方式では、1つのチャン
ネルが13の「セグメント」に分割されており、これをいく
つか束ねて映像やデータ、音声などを送信している。ハイビ
ジョン放送は12セグメント必要だが、通常画質の放送は4
セグメントで済むため、3つの異なる番組を1つのチャンネ
ルで同時に放送することもできる。
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