2012年12月28日

●「密約における2つの喪失」(EJ第3458号)

 次のラテン語の意味がわかるでしょうか。この言葉は、国際法
を勉強した人なら、お馴染みのものだそうです。
―――――――――――――――――――――――――――――
          pacta sunt servanda
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは「約束(条約)は守られなければならない」という意味
であり、国際法の基本原則になっています。重要なことは、それ
がたとえ密約であってもそうするべきだということです。密約も
条約であり、守るのは当然のことだからです。
 しかし、2012年8月10日、李正博大統領は日韓基本条約
締結以来はじめて竹島を訪問しているのです。この大統領の行動
は、「韓国は現状を維持し、警備員の増強や施設の新設、増設を
行わない」ということを謳っている竹島密約に反する行為である
ことは明らかです。
 問題は「密約が存在する」ことを日韓双方の首脳が知っている
必要があります。その点はどうだったのでしょうか。それには、
日韓基本条約締結後の韓国における政権の推移について知る必要
があります。
 1961年5月16日未明のクーデターによって政権を握った
朴正煕氏は、18年5ヵ月後の1979年10月26日、腹心の
中央情報部長によって暗殺されたのです。
 この暗殺の騒乱のなかで、軍隊と市民軍が交戦するという「光
州事件」が起きて軍事政権が誕生し、1993年まで軍事政権が
続くことになるのです。具体的にいうと、軍事政権は次のように
変遷したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
  軍事政権      朴正煕 → 全斗煥 → 盧泰愚
 非軍事政権      金泳三 → 金大中 → 盧武鉉
―――――――――――――――――――――――――――――
 軍事政権の時代は竹島密約は誠実に実行されていたのです。密
約の存在は歴代大統領にはきちんと伝えられることが慣例化され
それが守られてきたのです。
 しかし、軍事政権後の竹島密約について、『竹島密約』(草志
社刊)の著者であるロー・ダニエル氏は、既に次の2つの喪失が
起きていることを指摘しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
          1. 「紙」の喪失
          2.「精神」の喪失
―――――――――――――――――――――――――――――
 第1は「『紙』の喪失」です。
 「紙」とは、竹島密約の原本のことです。密約の原本は韓国に
あるはずです。それを懸命に探した日本人がいます。中曽根康弘
元首相です。彼は当時河野派に属し、竹島密約の事情をよく知る
一人です。
 中曽根氏はソウルの全斗煥大統領(当時)に問い合わせて紙の
存在を確かめたのですが、「そのような紙はない」という返事が
返ってきたのです。「金鍾珞に会えばわかるかもしれない」と中
曽根氏は決断し、ソウルを訪問したのです。2007年1月30
日のことです。
 当時、金鍾珞氏は87歳で健在だったのです。中曽根氏は、南
山の中腹にあるハイヤット・ホテルで金鍾珞氏に会い、密約の文
書について尋ねたのです。そのときの対話を再現します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 中曽根:その紙はどこにありますか?
 金鍾珞:私が燃やしました。
 中曽根:どうしてですか?
 金鍾珞:歴史の逆賊という烙印を押されるのを恐れたのです。
       ──ロー・ダニエル著/「竹島密約」/草思社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 密約といえども条約である以上、紙は日本にもあるはずです。
しかし、少なくとも河野一郎氏は何も残していないのです。現在
のようにコピー機などない時代であり、簡単に写しを取れなかっ
たという事情もあることに加えて、宇野宗佑氏は生前関係者に対
して、「韓国には原本を渡している」といっていたのです。
 ロー・ダニエル氏は、宇野宗佑氏の娘婿の宇野治氏にも会い、
紙の所在を確かめていますが、そういう資料は一切ないという事
実が明らかになっています。どうやら紙はないようです。
 第2は「精神の喪失」です。
 密約のことを記述した紙は既になく、しかも長い年月が経過し
てくると、条約を守ろうとする「精神」もなくなってしまうもの
です。密約の存在は盧泰愚大統領には間違いなく伝わっています
が、軍事政権が終わり、韓国の歴史上李承晩大統領以来の文民大
統領の金泳三氏には伝わっていないと思われます。
 その証拠に、その後韓国側は少しずつ独島(竹島)に手を入れ
日本政府の再三の抗議にもかかわらず、灯台、ヘリポート、レー
ダー、船舶の接岸場、警備隊宿舎などを設置、西島には漁民施設
を建設しています。明らかに密約は守られていないのです。
 しかし、日本の外務省は竹島密約について申し送りが行われて
いることは確かです。その証拠は、毎年暮れになると、定例行事
のように、「竹島は我が国固有の領土」という公文を韓国に発信
しているからです。これは密約の「イ」で謳われているように、
主張があれば互いに主張することを認めているからです。すなわ
ち、交換公文がそうです。日本は毎年暮れになると、きちんと公
文を発信しているのです。
 韓国の外務通商部はどうやらこの公文について理解しておらず
日本の執念深さに辟易としているようです。密約の存在を知らな
い証拠です。それにしても、ロー・ダニエル氏は、どのようにし
て『竹島密約』を書いたのでしょうか。あまりにも詳細です。
 本号は2012年の最後に配信するEJになります。1年間を
通し、ご愛読に感謝します。新年は4日から配信します。来年も
よろしくお願いします。      ── [日本の領土/62]

≪画像および関連情報≫
 ●韓国外務部が竹島密約を知っていない証明
  ―――――――――――――――――――――――――――
  竹島密約の存在を韓国側が完全に知らないらしいことを証明
  する発言があります。2008年7月に竹島・独島論争が再
  燃しましたが、そのときの韓国外務通商部の幹部は次のよう
  に発言しているのです。
  ***************************
  韓国政府の独島関連措置を満遍なく注視しながら、適時に対
  応してくることがわかり鳥肌が立った。日本の外務省は毎年
  年末にアジア局の名義で「竹島は日本領土」である旨の文書
  を送ってくる。韓国で独島観光が許可されて以降(2005
  年3月)日本外務省の攻勢はさらに激しくなった。
       ──ロー・ダニエル著/「竹島密約」/草思社刊
  ***************************
  ―――――――――――――――――――――――――――

中曽根康弘元首相.jpg
中曽根 康弘元首相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本の領土 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
【最高裁裁判官国民審査投票箱全票検査住民監査請求】
「いま選管ムサシが宦官総理を造る」 http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/5f204b67f6a7d798f51472eae4bbdb24

ペリーが不平等条約で道徳倫理日本政府に新平民政治家をもたらし、マッカーサーがチー・キョー・テー3Sで日本倫理道徳庶民社会に不倫反道徳の文化破壊をもたらした結果、最近の総理は全員が破廉恥不倫反道徳アメリカ選管(宦)ムサシによって捏造されたアメポチタマナシパペットばかりっつう、みっともなくてもーたまらんていたらくでがんす。

先ず直近の裁判宦共謀選宦ムサシの反道徳反憲法犯罪を最高裁裁判官国民審査投票箱の住民監査請求再開封全票検査で暴き出し、ムサシの犯行を明らかにすると同時に選挙の投票箱を再開封全票検査して選挙無効にしてやりましょう。あへあへもタマナシ総理やるよりそのほうが長生きできますから。

詳しい手順についてはrWn9PLlcps のIDで阿修羅に書きました。以下をご参照ください。あと2週間と少し猶予期間がありますね、「最高裁裁判官国民審査投票箱住民監査請求」w

>>不正選挙請負疑惑会社「ムサシ」は投票用紙や投票機器からスタッフ派遣に至るまですべて独占状態
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/683.html#c187

「野田を緊急逮捕してシリア派遣自衛隊を緊急帰国させねばなりません」
これは自衛隊員の命と安倍新総理の命をユダキンジャッカルのテロから守るために絶対必要です。
参考http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-3e38.html#comment-75280307
Posted by 東行系 at 2012年12月31日 08:30
皆様あけましておめでとうございます
野田氏がシリアの自衛隊の皆さんを順次帰国してもらって我が家でお正月を迎えることができるようにしてくれたそうです。心から明けましておめでとうございます。無上の聖賢仁徳を御顕しになるいとかしこき今上陛下の御心が野田氏をご薫陶たもうて君子豹変なされたのでしょうか、いずれにしても日本に新しい平和憲法を守る君子政治家が生まれたこととあわせて今上陛下のおん御代に新たな御栄光が初日の出と共に地球に訪れたことをわが大君の辺にこそ死なむ一寸の通りがけ五分の大和魂のあらん限りを捧げまして心よりお慶び申し上げます。
Posted by 東行系 at 2013年01月01日 08:56
不正選挙に関して、書こうと思ったらすでに書き込んでいる方がいらっしゃいますが、このような書き方だとちょっとビックリしちゃうんじゃないでしょうか。
不自然な得票率の推移など、裏付けるデータがでてますので、ご覧になってみてください。
Posted by お願い at 2013年01月03日 16:23
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