2012年12月11日

●「日韓2人のリーダーの相次ぐ下野」(EJ第3446号)

 李承晩大統領は、日本の歴代首相のなかで岸信介首相が親韓で
あるという情報を掴んでいたのです。問題は、いかにして岸首相
とコンタクトを取るかです。何しろ日韓は国交断絶状態なので、
それは容易なことではなかったのです。韓国も経済が疲弊してき
ており、日本との関係を修復しなければと考えていたのです。
 そこで李承晩大統領が使ったのが、李泰夏(ユテハ)という腹
心です。李泰夏氏は岸の側近矢次氏に接近します。そして矢吹氏
は李泰夏氏と韓国外務部の金東祚(キムドンジョ)政務局長を南
平台の岸邸に案内し、裏口から家に入り、岸首相と会談していま
す。金東祚政務局長は、このときの会談の模様を次のように述懐
しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 岸首相は、矢次氏の案内で、私宅前を取り囲んでいた記者たち
 を避けて裏門から入ってきた私に「故郷長州の先輩である伊藤
 博文が韓国を併合し、植民統治した過ちを深く反省し、日韓会
 談の成功に最善の努力を尽くすつもりである」と言い、「私が
 生まれた山口県の萩港は徳川幕府時代の貿易船だった朱印船が
 朝鮮半島と往来したところで、私の血にも韓国人の血が混ざっ
 ているかもしれない」とつづけた。そして、「日本国首相岸信
 介」と印刷されてある名刺を出して、「李大統領に奉呈してく
 ださい」と丁寧に言った。      ──ロー・ダニエル著
                  「竹島密約」/草思社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 矢次氏の話によると、岸邸の正門には大勢の新聞記者が取り囲
んでいたので、裏の台所口から入ったのですが、そこにはたくさ
んの赤ん坊のおしめが干してあり、それをかき分けながら、家に
入ったと話しています。
 岸氏の娘婿は安倍晋太郎氏であり、そのとき干してあったおし
めは、現在自民党総裁の安倍晋三氏(当時2歳5ヵ月)のもので
あったのです。表に詰めている記者たちも、まさか国交断絶して
いる韓国の外交の担当者が裏口から岸邸に入って、首相と対談し
ているとは夢にも思わなかったでしょう。
 岸首相の願いは、何とかして李大統領に自分の親書を届けるこ
とにあったのですが、国交のない、しかも敵対している国のトッ
プに対してそれを実現するのは非常に困難だったのです。何しろ
日本国内は「韓国何するものぞ」という強硬意見が充満していた
からです。
 しかし、その実現に努力したのは、李大統領の腹心の李泰夏氏
だったのです。李泰夏氏は、李大統領に日本の岸総理はきわめて
親韓的で、大統領と連絡をとることを希求していることを伝え、
岸総理の側近の矢次一夫氏を大統領の賓客として招待することを
勧めたのです。
 1958年正月に李承晩大統領の書簡が岸首相宛てに届いたの
です。岸首相はその書簡を受けて、矢次氏に賓客としての訪韓を
要請します。1958年5月19日に矢次氏の訪韓は実現したの
です。その前日には日韓両国が互いに抑留者を釈放し、会談成功
の雰囲気づくりに努めたのです。その会談について、ロー・ダニ
エル氏は次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 柳と金東祚の案内で景武台の李大統領に会見した矢次は、岸首
 相の親書と「初心不可忘」と書かれた揮毫を大統領に贈呈し、
 岸の言葉を伝えた。それについて矢次は、「政府の特使じゃな
 い。岸総理の個人特使です・・・そうして行ってみると、向こ
 うは大統領の他に金東祚外務次官、柳泰夏だけが向かい合って
 座って、岸総理の手紙を大統領に直接手渡したんだ」と証言し
 ている。その場で、矢次は、「岸首相と同郷である伊藤博文が
 朝鮮を侵略し、韓国の人々を不幸にしたのは大きな過ちであり
 反省する」など、李の耳に快い話をしたと、同席した金東祚は
 回想している。     ──ロー・ダニエル著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 このようにして矢次氏は、李泰夏氏と組むことによって、コリ
アン・ロビーの中枢を占めるようになったのです。1956年の
秋から1957年の暮れまで、矢次氏は李泰夏氏と400回にわ
たって会談しているといわれます。
 このようにして、岸首相と李大統領は互いに信頼感を抱くよう
になり、その意を受けて動いた矢次一夫、田中龍夫、船田中、李
泰夏、金東祚たちが作り上げた日韓のロビーラインが努力したも
のの、日韓国交正常化は実現できなかったのです。その理由は、
日韓の2人のリーダー──岸首相と李承晩大統領が相次いで権力
の座を降りることになったからです。
 李大統領は1960年に入り、5月に予定していた選挙を3月
に前倒して実施したのです。というのは、最大の政敵が病気療養
のため、渡米しているすきを狙って、政権の延命を図ろうとした
のです。
 これに国民の怒りが爆発したのです。韓国南部の都市の馬山で
学生の暴動が起きて、デモが全国に広がったのです。1960年
の4月19日は、ソウルで市民と警察が全面対決する事態になり
多くの学生が死傷するまでにデモは拡大したのです。この事態を
見てさすがの李承晩大統領も自分の時代の終わりを悟り、下野す
ることにしたのです。
 日本では、新安保条約の調印とその批准を巡って国会が紛糾し
「安保反対」の大規模なデモが起きて、東大の学生の樺美智子さ
んが死亡するなどの事態になったので、6月15日に岸内閣は総
辞職しています。その1日前に岸首相は暴漢に襲われ、瀕死の重
傷まで負っているのです。
 しかし、6月18日深夜に新安保条約は自然成立、6月21日
に批准されたのです。岸氏はそのとき「安保改定がきちんと評価
されるには50年はかかる」という言葉を残しています。こうし
た一連の行動について、文藝評論家の福田和也氏は「本物の責任
感と国家戦略を持った戦後唯一の総理」として岸首相を高く評価
しています。           ── [日本の領土/50]

≪画像および関連情報≫
 ●脱原発の風潮は60年安保闘争に似ている
  ―――――――――――――――――――――――――――
  日本を危険な状態に陥れるものという意味で最近「TKK」
  という略語が使われる。Tは東京電力、KKは経済産業省と
  日本経団連のことだ。つまり、政官財癒着の構造について言
  っているのであり、そのTKKによってつくり上げられたの
  が原発だということになる。脱原発を主張するのは朝日新聞
  と毎日新聞である。8月6日付の朝日新聞は社説で「核との
  共存から決別へ」と題して次のように書いた。「世界各国に
  広がった原発も、同じ燃料と技術を使い危険を内包する。核
  被害の歴史と現在に向き合う日本が、核兵器廃絶を訴えるだ
  けではなく、原発の安全性を徹底検証し、将来的にゼロにし
  ていく道を模索する。それは(略)次の世代に対する私たち
  の責任である」。朝日新聞が書いているのは、原発が核の平
  和利用であるというのは間違いであり、核兵器と同様に非常
  に危険なものだ、ということである。人類を危険の淵に陥れ
  るものであるから、核兵器とも原発とも決別しよう、という
  内容である。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110810/280586/
  ―――――――――――――――――――――――――――

岸信介元首相と李承晩元韓国大統領.jpg
岸信介元首相と李承晩元韓国大統領
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(1) | 日本の領土 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「賢者日本常民君子の言葉」

阿修羅にてhttp://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/607.html#c199
(通りがけrWn9PLlcps のコメントじゃありません)
199. 2012年12月11日 05:50:16 : VCFii8m8Jc
178>さん
そりゃそうだ。TPPに対してはっきりダメだと断定できない政治家はバカだ。
日本国憲法より、
1)TPPの法律のほうが優先的に稼働するとか、
2)拒否権はアメリカだけにあるとか、
3)裁判はアメリカでのみ受け付け、これを行うとか。
ああ、堂々のアメリカ至上主義ではないか。
つまり、アメリカにお金を差し上げるシステムなんだよ。
まだ、気がつかないのかなー。
マスゴミは、TPPの致命的なデメリットには一切触れていない。
TPPに加盟すると、そのうちにアメリカの保険会社が、「国民皆保険制度を廃止 せよ!」と日本政府を裁判で訴えるだろう。
日本の優秀な技術が強引なアメリカ主義でぼろぼろになる。
TPPはやってはいけないんだよ。
日本は、貿易自由国なんだよ。
野田は本当にバカ。
Posted by 東行系 at 2012年12月11日 09:59
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