2012年12月05日

●「GHQは竹島をどう処分したか」(EJ第3442号)

 ここまでの考察で、1905年の竹島の島根県編入以前の歴史
において、竹島(独島)が韓国領であったことを明確に示す証拠
は何もないことが明確になったと思います。
 韓国側は「独島はわが領土」であるという前提に立って、明ら
かな韓国領である鬱陵島の属島である竹嶼と観音島に関する記述
のある歴史的事実を竹島(独島)にすり替えて主張している──
そのように考えられます。
 そうなると、終戦直後の竹島の扱いがどうなっているかです。
事実関係を追ってみたいと思います。これについては11月26
日のEJ第3435号と27日のEJ第3436号で述べていま
すが、そこで触れていない事実があるので、その経過を調べてみ
ることにします。
 日本は、1945年8月15日にポツダム宣言を受け入れ、敗
戦国になったのですが、領土処分に関しては同年12月までその
ままの状態にされたのです。
 1945年12月16日に、米英ソ3国の外相会談がモスクワ
で開催され、戦後処理問題が話し合われています。これに基づき
12月27日に朝鮮半島は、米英ソ中の4ヶ国による信託統治を
受けることが決まったのです。
 考えてみると、韓国にとってはひどい決定です。やっと日本か
らの支配を脱したと思ったのに、今度は他国の信託統治というの
ですから・・・。これによって、朝鮮半島は38度線を境に二分
され、事実上、朝鮮半島の北部は中ソ、南部は米国の軍政下に置
かれたのです。これが朝鮮戦争の遠因になるのです。
 これによって、竹島の命運は事実上米国の手に委ねられたこと
になります。1946年1月29日に連合国軍総司令部──GH
Qは、「訓令第677号」によって、竹島は日本の領土から外さ
れています。同じ年の6月22日には日本列島と朝鮮半島の間に
は「マッカーサーライン」が引かれるのですが、それによっても
竹島は韓国側になっているのです。
 その時点で韓国は、日本から独立して韓国に戻っていますが、
国が二つに分割されたので、正式にいうと2つの国としては成立
していない状態にあったのです。
 しかし、韓国では、独島が正式に韓国領として認められたので
韓国山岳会主催による学術調査団を編成し、1946年8月16
日から2週間かけて独島の調査が行われているのです。おそらく
韓国側としては、これで独島は韓国に正式に戻されたと考えたは
ずです。これは当然のことです。
 もし、事態がこのまま変っていなければ、竹島問題はそこで決
着がついていたはずです。もともと竹島は無人島であり、日本側
に占有権があったとしても、敗戦による領土処分で決着がついた
こととして、現在韓国がやっているように、後からごちゃごちゃ
蒸し返すことはなかったはずです。日本人はそういう気性を持っ
ている国民です。
 しかし、事態はそうはならなかったのです。朝鮮半島がにわか
に不安定になったからです。1948年8月15日に大韓民国政
府が誕生し、9月9日には北朝鮮に朝鮮民主主義人民共和国が樹
立されたのです。
 ところが、それから2年後に朝鮮戦争が起きるのです。孫崎亨
氏の本から引用します。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1950年6月25日午前4時、38度線で北朝鮮軍の砲撃が
 開始されました。30分後には約10万の朝鮮人民軍が38度
 線を越えて韓国を攻撃しました。ソウルはあっというまに陥落
 し、準備不足の韓国はどんどん追いつめられ、半島南端の釜山
 周辺にまで追いこまれました。急遽、国連軍が編成され、10
 月20日には平壌を占拠し、5日後には中国との国境の鴨緑江
 付近まで攻めこみます。こうした状況のなか、中国が北朝鮮に
 人民義勇軍を派遣しました。両軍の攻防がつづき、1953年
 7月27日に板門店で休戟協定が調印され、38度線が国境と
 なります。                 ──孫崎亨著
      『戦後史の正体/1945〜2012』/創元社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 孫崎氏によると、なぜ北朝鮮軍が韓国に攻め込んだのかという
と、その背後にソ連の意思が働いているというのです。実は米国
の国家安全保障会議は、1949年12月に韓国から撤退するこ
とを決めており、その情報をソ連のスパイが入手し、戦争はおそ
らくスターリンが断を下したものと思われます。こういうことが
冷戦の原因になったのです。
 こういう事態が起きてくると、竹島は米国の軍事戦略上重要な
意味を持ってくるのです。それに日本側もサンフランシスコ講和
条約(1951年9月8日)の日が迫っているので、竹島の奪還
のために米国にいろいろ働きかけていたのです。その一人がシー
ボルト駐日政治顧問です。
 「竹島は日本の領土である」──シーボルト政治顧問はこのよ
うに米国務省へ提言しています。これを受けた米国務省は、講和
条約草案の竹島に関する部分を次のように書き替えたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ≪書き替え以前≫
 日本から除外される地域として済州島、竹島、鬱陵島・・・
 ≪書き替え以後≫
 日本から除外される地域として済州島、巨文島、鬱陵島 ・
―――――――――――――――――――――――――――――
 これによって、竹島は再び日本領になったのです。韓国の立場
からは絶対に納得できないでしょう。実は事実はこのようになっ
ていますが、真相は違うようです。これについては、重要なこと
なので、明日のEJで詳しくいきさつについて説明します。
 朝鮮半島の情勢は不安定になっており、対処を誤ると、米国と
対ソ連や中国との戦争に発展しかねない緊迫した情勢です。やっ
と日本に勝利した後に、米国としては、大規模な戦争など起こし
たくなかったのです。       ── [日本の領土/46]

≪画像および関連情報≫
 ●朝鮮戦争──北朝鮮による奇襲攻撃
  ―――――――――――――――――――――――――――
  1950年6月25日午前4時(韓国時間)に、北緯38度
  線にて北朝鮮軍の砲撃が開始された。宣戦布告は行われなか
  った。30分後には朝鮮人民軍が暗号命令「暴風」(ポップ
  ン)を受けて、約10万の兵力が38度線を越える。また、
  東海岸道においては、ゲリラ部隊が工作船団に分乗して後方
  に上陸し、韓国軍を分断していた。このことを予測していな
  かった李承晩とアメリカを始めとする西側諸国は衝撃を受け
  た。なお北朝鮮では、当時から現在に至るまで、「韓国側が
  先制攻撃してきたものに反撃したのが開戦の理由」だと主張
  し続けているほか、中華人民共和国でも現在に至るまで「ア
  メリカ合衆国による北朝鮮への軍事進攻によって戦争が始ま
  った」と学校で教えられ、中国国家主席に就任した習近平も
  「6・25は平和を守ろうとする侵略に対立した正義のある
  戦争」であると表明している。が、この様な北朝鮮や中華人
  民共和国による主張は、ソ連崩壊後のロシア政府にさえ公式
  に否定されている。         ──ウィキペディア
  ―――――――――――――――――――――――――――

シーボルト駐日政治顧問.jpg
シーボルト駐日政治顧問
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(1) | 日本の領土 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「戦争対平和の戦い」
阿修羅にて>>http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/314.html#c164
>>159今度の選挙はまさに「道徳」対「反道徳」の戦いなのである。
さて戦争と原発事故は人災の極致であり共に放射能を凶器として用いる点で同じものである。

福一事故は人災(すべて人間の手によって作り出された災害)であり原爆投下(戦争)とおなじ。

戦争は人道のかけらも無い反人道の限りを尽くす無差別殺戮殺人であり、「反道徳」の極致である。
同じく福一事故も日本政府マスゴミ司法によって事故直後から国民に対して無差別に「反道徳」の限りが尽くされている。

戦争と言えば今ユダ金米軍がイスラエルと組んで対シリア攻略戦の真っ最中であり日本国民は自衛隊として「反道徳」野田ユダ金スパイテロリストによって戦場「憲法違反の戦闘地域」シリアへ派遣され「戦争」の反道徳無差別殺戮殺害の標的にされている。野田テロリストの目的は「戦争」反道徳を用いた「憲法9条のなし崩し的破壊」にあることは明らかである。

日本の内政はいままさに戦時中「反道徳」であり海外のシリアの「反道徳」戦場と直結して連動している。

そして「道徳」と「反道徳」は決して両立しない永久不変の対立勢力である。

今朝の新聞で全政党がいっせいに「原発ゼロ」公約を掲げたとあった。「原発ゼロ」は一見して「道徳」に見えるがそれは間違い。日本国内の「反道徳」は福一事故において行われており、内政における「道徳」は「福一石棺桶化」「住民疎開」「放射能封じ込め」によってのみ行われる。
よって「脱原発」「卒原発」「原発ゼロ」公約のいずれにも「道徳」は存在しない。

今度の選挙は「道徳」対「反道徳」の戦いである。
原発が選挙の争点にならないことはいま書いたとおりである。
では「道徳」対「反道徳」の本当の争点は?

原発事故と同じ人災の極致それは「戦争」である。
今度の選挙の争点は「戦争」そのものである。すなわち日本国憲法第9条「国際紛争平和解決」条項の是非を巡って今度の選挙は争われているのである。

脱原発に争点がないことがはっきりした今、有権者は今度の選挙で「戦争参加の是非」について選択しなければならない。

そして「戦争=反道徳の極致」であり「平和=道徳の極致」である。

日本国憲法9条は和をもって貴しとなす道徳常民が先祖代々営んできた日本の国土と常民にとってまさに「大和魂」そのものというべき扶桑の島天御中主命天常立命大国主命の和魂(にぎみたま)である。

そして人間は「道徳」と「反道徳」を同時に独りが行うことは決してできない、限られた存在である。

今度の選挙は本来政党を選ぶ選挙ではなく政治家を「道徳者」か「反道徳者」かで選ぶ選挙であるが、比例代表制併用である以上政党を選ぶ場合も基準は同じであり、「道徳=平和」対「反道徳=戦争」の戦いの中で自分の心に正直に政党を選び投票することである。

私は「道徳=平和」へ投票する。「道徳」は君子によってのみこの世に行われるのであるから、君子小沢一郎、君子亀井静香のいる政党が私の投票先候補政党となる。
Posted by 東行系 at 2012年12月05日 18:10
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