2012年12月03日

●「干山島論争/日韓主張の論点整理」(EJ第3440号)

 竹島の論点整理を続けます。韓国は、日本が独島を竹島として
1905年に島根県に編入した以前は、韓国領であったという歴
史的事実を持ってきて話の辻褄を合せようとしています。
 そこで出てきたのが「干山国」の話です。韓国によると、干山
国は、鬱陵島を本拠地とし、独島をその支配下に持つ海洋国家で
あるというのです。鬱陵島は朝鮮半島から約130キロ沖合いに
位置する直径10キロ程度の火山島です。
 新羅の建国は503年。そのとき新羅は朝鮮半島南東部に位置
する国であり、半島北部には高句麗、南西部には百済の3国があ
り、その3国がしのぎを削っていたのです。しかし、新羅は7世
紀の半ばには朝鮮半島をほぼ制圧しています。
 干山国は朝鮮半島平定の後半に征服されていますが、征服が遅
れたのは、この国が朝鮮半島と距離のある島(鬱陵島)を本拠に
していたので、後回しにされたのです。
 問題は、韓国の主張する「干山国は独島を支配していた」の根
拠は1452年の「高麗史地理志」の次の一文です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 一云、于山、武陵、本二島、相距不遠、風日清明、則可望見
                ──「高麗史地理志」より
 一説に言うには、于山と武陵は2つの島で、互いの距離は遠
 くない。空気が澄み切った日には、望み見ることができる
―――――――――――――――――――――――――――――
 ここで「于山」とは鬱陵島のことであり、「武陵」は独島であ
ると韓国は主張するのです。韓国としては、何としても独島を鬱
陵島の属島にしようとしていますが、それにはかなり無理があり
ます。朝鮮王朝の鬱陵島捜討官の製作した1694年の鬱陵島詳
細図(添付ファイル)によると、韓国側の主張ときわめて矛盾す
るのです。それは次の2点です。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.干山島は鬱陵島ではなく、その属島である
    2.干山島は朝鮮半島と鬱陵島の間に位置する
―――――――――――――――――――――――――――――
 もうひとつの証拠があります。鬱陵島には、独島(竹島)に関
する資料を展示する独島博物館があります。その博物館の屋外に
韓国の古地図を彫った石碑があるのです。この石碑には1694
年に鬱陵島捜討官が作成した鬱陵島詳細図とほぼ同じものが彫っ
てあるのです。これを「八道総図」と呼んでいます。
 これらの地図には、干山島は、いずれも鬱陵島と朝鮮半島の間
に描かれており、明らかに竹島とは違う島であることは明らかで
す。もし、干山島が韓国のいう独島であるなら、鬱陵島より東側
に描かれているべきです。これは、明らかな矛盾です。
 2011年8月の自民党の鬱陵島視察団は、そういうもろもろ
の資料を見学に行ったのです。しかし、韓国はその計画を察知す
ると、日本に対し、鬱陵島の視察をやめるよう働きかけ、それで
も自民党議員たちが韓国に到着すると、空港で足止めし、入国を
許さなかったのです。
 理由としては、視察団の安全を保証できないというものですが
外交上きわめて異例の措置であるといえます。こんなことをする
ところを見ると、鬱陵島には日本側に見られたくないものがある
のではないかと思われても仕方がないと思います。
 1452年の「高麗史地理志」では干山島は鬱陵島であるとい
い、1530年の「八道総図」や1694年の鬱陵島詳細図など
の韓国の古地図では干山島は独島であると主張するなど、韓国の
主張は論理的に受け入れられないものです。
 それでも現代の韓国の相当レベルの高い知識人でも、この論理
矛盾をすり替えて、都合のよい史料を出してきて、堂々と「独島
はわが領土」と胸を張るのです。そこで、現在、ソウル市立大学
国史学科教授の劉在貞氏の次の発言を読んでください。
―――――――――――――――――――――――――――――
 韓国は6世紀の新羅王朝時代から、独島を領土と認識していま
 した。15世紀の「世宗実録地理誌」(1454年)に「独島
 と鬱陵島は互いの距離が遠くないため、晴れた日には眺めるこ
 とができる」と記述しています。また、「新増東国興池勝覧」
 (1531年)、「東国文献備考」(1770年)、「萬機要
 覧」(1808年)、「増補文献備考」(1908年)などの
 別の官選資料にも、韓国が独島を領土と認識していた記録が残
 っています。日本側が持ち出す17世紀の文献よりも、はるか
 に古い記録に存在するのです。        ──劉在貞氏
 「新・ビジネスパーソンの必修講座/国境論」/日経ビジネス
―――――――――――――――――――――――――――――
 劉在貞氏は、韓国にとって有利な「世宗実録地理誌」(年号は
違うが「高麗史地理志」と同じ)を取り上げ、不利な史料はすべ
て隠しています。この人は国史学科の教授であり、専門家です。
学者に不可欠な客観的に事実を調べるという姿勢が、少なくとも
自国の領土問題では欠落しているように思えます。
 1452年の「世宗実録地理誌」を正しいとするならば、干山
島は鬱陵島のことになるのです。しかし、それ以後の文献や地図
を見ると、干山島は鬱陵島の属島になっているのです。劉在貞氏
はこの矛盾を頬かぶりしています。
 それに、そういう歴史的事実がどうであれ、日本は国際法上の
手続きを踏んで、1905年に無人島の竹島を島根県に編入して
いるのです。韓国は手続きに瑕疵があるといっていますが、既に
検証したように手続きに問題はないのです。
 GHQの裁定でも、日本は竹島を放棄させられることなく、日
本領として残されています。だからこそ、韓国は日本が主権を回
復していないときを狙って、武力で竹島を占領したのです。
 もちろん韓国は反論していますが、このように日韓の間には領
土問題が存在するのです。したがって、韓国は逃げないで、国際
司法裁判所で歴史的事実を含めて議論し、判断を求めるべきであ
ると思います。あのような岩島ひとつで日韓の関係を壊してはな
らないと思います。        ── [日本の領土/44]

≪画像および関連情報≫
 ●異なる2つの干山島/史料
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ここで改めて断わるまでもないが、安龍福の供述に依據した
  『東國文獻備考』の于山島と『世宗實録「地理志」』や『東
  國輿地勝覽』の于山島は、まつたく異なる島であった。その
  理由は2つある。第1の理由は、韓國側の文献に竹島が登場
  するのは日本側より約200年早いとされる左の『世宗實録
  「地理志」』であるが、それが正しくないからである。確か
  に同「地理志」には、「于山、武陵二島、在縣正東海中二島
  相去不遠、風日清明、則可望見」と于山島と武陵島(現鬱陵
  島)の名が見えている。ところが『世宗實録地理志』の原型
  となる『新撰八道地理志』(1432年成稿)が成立する前
  年に撰進された『太宗實録』には、すでに于山島の名が見え
  ているのである。そして、『世宗實録「地理志」』にはその
  『太宗實録』の記事が引用されてゐるので、于山島の記事も
  『太宗實録』を典據としたとみてよいであらう。
http://takesima24.wiki.fc2.com/wiki/%E7%95%B0%E3%81%AA%E3%82%8B%E4%BA%8C%E3%81%A4%E3%81%AE%E4%BA%8E%E5%B1%B1%E5%B3%B6?sid=0c1dc2ef5ebd809107950a27e4ca56e3
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韓国の古地図.jpg
韓国の古地図
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本の領土 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「野田を緊急逮捕して自衛隊撤退帰国命令させよ」

日本国内では道徳派が優勢になった。しかし浮かれてはならない。福一は今も放射能をばらまいている。戦争と同じ放射能を。

優勢なのは国内だけだ。国外は未だにユダ金米軍が絶対有利である。国外シリアでは我が同朋子弟自衛隊が野田に憲法違反派遣されてモサド・ジャッカルの血に飢えた牙の前で無防備だ。直ちに撤退帰国させなければユダ金のショックドクトリン「シリア自衛隊攻撃を受け全滅」の悲報が国内のユダ金スパイマスゴミへ送付され拡散されるだろう。

憲法9条の最大の危機が目前に迫っている。

野田を直ちに逮捕して自衛隊緊急撤退帰国命令を出させよ。

シリア駐屯の自衛隊現地司令官は現場最高責任者としての裁量判断でただちに全隊武装解除してロシア軍基地または駐屯地へ帰国難民として保護をねがって移動せよ。武器弾薬は放置して良い。

最大緊急である。
Posted by 東行系 at 2012年12月03日 04:40
「野田の罪」

阿修羅にて>>http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/216.html#c98

>>67民主党は何も悪いことなどしていません。
>国民を騙してもいなければ裏切ってもいません。
>野田さんは立派な総理であり、毎日この国のために頑張っています。

この1年:
1.政治資金規正法違反
2.出入管法違反:軍事演習キーリゾルブで対自国対相手国ともに何の外交通知もせぬまま公海上で米軍領軍艦へ単身乗艦し密談した。日本の総理始まって以来の破廉恥な国民欺し憲法違反外交である。
3.官邸前デモにおける警備違反=過剰警備で警察公安に命じてあまたの国民に対する基本的人権侵害(移動の自由、表現の自由、思想の自由を甚だしく侵害)および身体生命に対する直接的侵害である特別公務員暴行凌虐致傷罪をあまた犯行せしめた無差別暴行傷害教唆指嗾。
4.明らかな戦闘地域へ自衛隊を派遣するよう最高指揮官として命令を出した「精神障害」。精神障害なら罪を免れるがそうでなければあからさまな憲法違反であり未必の故意の自衛隊員無差別大量傷害殺人罪である。

その前:
昨年311のとき財務大臣野田はアメリカ政府へ独断メールして「東電が賠償責任を負うための財政出動は一切しない」旨確約した罪。この「財政出動無し決定」でどれだけ多くの国民が被災地でせっかく生き延びた尊い命を落としたことか。天も泣き大地も怒りに震えるはかりしれぬ大きな罪。
Posted by 東行系 at 2012年12月03日 21:09
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