結されたのです。合意にいたった日韓の主要な取り決め事項は次
の6点です。
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1.国交正常化
2.李承晩ラインを撤廃/企業協定
3.請求権・経済協力関係
4.在日韓国人の法的地位・待遇関係
5.文化財関係
6.紛争処理
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ここに竹島問題は入っていないのです。日本としてはそれを項
目として明記したいのですが、それでは交渉がまとまらない。韓
国としては「竹島=紛争」ではないと主張する。しかし、米国の
仲介もあって、何とか日韓条約をまとめなければならない。その
ためやむなく竹島問題を棚上げすることにしたのです。
1960年6月22日付の朝日新聞は、時の総理大臣である佐
藤栄作首相と佐々木更三社会党委員長の、日韓基本条約について
の発言を掲載しています。
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≪佐藤栄作首相≫
・自民党は国民の大多数の支持を得ていると思う。したがっ
て日韓問題は国民の大多数が賛成していると思うので、そ
の点からもかなり強い態度で日韓協定の批准に臨みたい。
≪佐々木更三社会党委員長≫
・竹島帰属問題を棚上げして調印するのは日本領土を事実上
放棄したことであり、国民感情として許せない。(中略)
抗議集会を開くほか、同条約・協定の国会批准阻止国民運
動をくり広げる。
──1960年6月22日付の朝日新聞/別冊宝島編
『竹島尖閣諸島の本/「領土問題」まるわかり』より
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日本の領土問題──北方領土に関しては、あくまでその返還に
意欲を燃やし、ロシアと平和条約を結ばずに現在でも領土返還に
取り組んでいます。
しかし、竹島に関しては、それが単なる日比谷公園ほどの岩の
島であるためか、先に韓国に占領されてしまったからか、あまり
積極的ではないように見受けられるのです。明らかに北方領土へ
の対応と竹島のそれは異なっているのです。
そのため、最大のチャンスであったはずの日韓基本条約の締結
においても竹島問題を棚上げにして条約を締結しています。明ら
かに韓国の方が条約締結のメリットがあったはずであり、日本に
有利に締結できたはずですが、日本の外交下手がここでも発揮さ
れてしまっています。
それでは日本側が何をやったのかというと、例によって国際司
法裁判所への提訴です。日韓交渉においても、日本側はそれを求
めていますが、韓国は次の覚書を出して、それを明確に拒否して
いるのです。
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紛争を国際司法裁判所に付託しようとする日本政府の提案は、
司法的な装いとして虚偽の主張をしている一つの企図に過ぎな
い。韓国は独島に対して初めから領土権を持っており、その権
利についての確認を国際司法裁判所に求めようとすることの理
由を認めることは出来ない。いかなる紛争もありえることがな
いにもかかわらず、類似的な領土紛争を造作するのは日本であ
る。 ──1954年10月28日付、韓国側覚書より
──別冊宝島編
『竹島尖閣諸島の本/「領土問題」まるわかり』より
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「国際司法裁判所への提訴」は、相手国が応じないと、何もで
きないのです。それがわかっていてもやるのは、何となくアリバ
イ作りをしているように思えるのです。本気でやっているとはと
ても考えられないのです。
2012年8月10日に韓国の李正博大統領が竹島を訪問した
ときも、外務省は玄葉外相をして「国際司法裁判所への提訴」を
宣言させ、実際提訴したものの、韓国は予想通り応じず、日本は
単独提訴とまでいっていましたが、メディアでの取り上げ方が弱
まると、こっそり中断を決め込んでいます。韓国が拒否すること
がわかっているので、アリバイづくりをやっているのです。
国際法学者の芦田健太郎神戸大名誉教授は、日本政府のこのよ
うな抗議のやり方は、「ペーパー・プロテスト」に終っていると
いい、次のように政府の姿勢に疑問を呈しています。
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外交的抗議(ペーパー・プロテスト)のみでは、不法占拠に基
づく権限の取得を阻止するには不十分である。「不法から法は
生じない」という法格言があると同時に、「事実は法から生ず
る」も存在する。 ──芦田健太郎著
『日本の領土』より/中公叢書刊
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2005年に韓国政府が公開した外交文書によると、1962
年11月12日に金鐘秘中央情報部長が日本の大平正芳外相と会
談したとき、韓国側は大平外相に竹島問題について第三国調停を
求めたことがわかっています。ちなみに、ここでいう第三国とは
米国のことと思われます。
しかし、日本はこの調停案に応じず、韓国側がそれを取り下げ
た経緯があります。実はこの2ヵ月前に伊関裕二郎外務省アジア
局長が「竹島爆破」発言をしているのです。そのあたりに日本の
外務省の本音があるようです。外務省の役人にとっては、こんな
面倒な島は爆破してなくなってしまった方がよいと考えているの
でしょう。李正博大統領の竹島訪問も外務省にとってはまともに
取り組みたくない問題なのです。 ── [日本の領土/41]
≪画像および関連情報≫
●日韓対立、我が国は「法律戦」に徹すべし/「議論百出」
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韓国の李明博大統領による竹島上陸に端を発する日韓対立激
化の根底にあるのは、いうまでもなく領有権問題と歴史問題
である。韓国側からの天皇陛下への謝罪要求や親書の受け取
り拒否といった対応は尋常ではなく、我が国が強く反発する
のは当然のことである。ただ、シャトル外交をこちらから停
止するとか、韓国で開催される会議に閣僚を送らないとか、
一見強硬策に見えるが実効性の疑わしいようなことは行なう
べきではない。それでは、どういう基本姿勢で臨むべきかと
いえば、「戦域」を「法律空間」に集中させること、すなわ
ち「法律戦」に徹することである。竹島領有権をめぐっては
国際司法裁判所(ICJ)への提訴がようやく行なわれるこ
ととなった。周知の通り、ICJで実際に裁判が行なわれる
ためには当事国双方の同意が必要で、韓国側が拒否している
以上、ICJでの裁判は現実のものとはならない。しかし、
このことの意義を過小評価すべきではない。竹島領有権問題
をICJの場で解決するというのは、1952年に韓国側が
「李承晩ライン」を一方的に設定して、竹島を不法占拠し始
めて以来の、日本側の一貫した立場である。1954年9月
には、口上書をもって竹島の領有権問題を国際司法裁判所に
付託することを韓国側に提案したが、韓国はこの提案を直ち
に拒否している。
http://www.gfj.jp/cgi/m-bbs/contribution_history.php?form%5Bno%5D=2126
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国際司法裁判所


