故防止標語です。この標語にもあるように、多くの日本人は「日
本は狭い」と考えています。しかし、それは間違いです。日本は
意外に広い国なのです。まず、東西南北で見てみると、次のよう
になります。
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東は南鳥島から西は与那国島まで3143キロメートル
北は択捉島から南は沖ノ鳥島まで3020キロメートル
──山田吉彦著『日本の国境』/新潮新書107
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南北間3020キロメートルもあるので、その冬季における平
均気温の差は、摂氏30度にもなるのです。まさに亜寒帯から熱
帯までの幅広い気候分布を有しているのです。
しかし、日本の国土ということになると、もっと領土、領海、
領水を含めて考える必要があります。
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国土(領土)面積 ・・ 約38万平方キロメートル
領海面積 ・・ 約43万平方キロメートル
排他的経済水域 ・・ 約447万平方キロメートル
──山田吉彦著『日本の国境』/新潮新書107
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約38万平方キロメートルの広さは、世界では59番目の広さ
であり、日本の人口が1億2千万人を超えることを考えると、確
かに広いとはいえないでしょう。
しかし、いわゆる排他的経済水域(領海を含む)というものを
考えると、日本のそれは約447万平方キロメートルもあり、世
界で6番目の広さになるのです。日本の陸地+排他的経済水域の
順位は世界9位になります。陸地を含めると、ブラジル、中国、
インドが日本の上にくるので9位です。参考までに、排他的経済
水域のベスト10を示しておきます。
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アメリカ ・・・・ 1135万平方キロメートル
フランス ・・・・ 1103万平方キロメートル
オーストラリア ・・・・ 1064万平方キロメートル
ロシア ・・・・ 756万平方キロメートル
カナダ ・・・・ 559万平方キロメートル
日本 ・・・・ 447万平方キロメートル
ニュージーランド ・・・・ 408万平方キロメートル
イギリス ・・・・ 397万平方キロメートル
ブラジル ・・・・ 366万平方キロメートル
チリ ・・・・ 201万平方キロメートル
──ウィキペディア
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ところで、排他的経済水域(以下、EEZ)は、どのように決
められるのでしょうか。領海とはどう違うのでしょうか。
ちょっと複雑な問題なので、ひとつずつていねいに考えていく
ことにします。海洋には次の2つのゾーンがあります。
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1.公海 ・・・ 自由航行が認められている
2.領海 ・・・ 沿岸国の主権がおよぶ水域
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領海というのは、沿岸国の領土に接する水域のことで、領海内
ではその国の主権を行使することができます。この場合、沿岸国
の主権は、領海の上空と海底、さらにその海底の下にまでおよぶ
とされています。
外国船舶がどこかの国の領海を航行するときは、その国が設定
する無害通航に関する法令(無害通航権)の遵守を求められるこ
とになります。この場合、その国の平和・秩序・安全を害さずに
通航しなければならないのです。例えば、継続的かつ迅速に航行
を行わなければならず、特別な場合以外は投錨や停船はできない
ことになっています。また、潜水船は浮上して、国旗を掲げて航
行しなければならないことになっています。
もともと領海幅は3海里が主流だったのです。18世紀初頭に
英仏間の紛争があったのですが、中立的立場を守りたいオランダ
が、他国の軍艦が自国の3海里内に勝手に侵入することを拒絶し
たのです。これにより3海里が国際的にも認められる基準になっ
てていたのです。ちなみに3海里という距離は、当時の大砲の弾
丸が届く距離だったのです。
海洋国家の日本は、明治維新後に近代国家の形成を目指したの
ですが、1872年(明治5年)に、太政官達によって、領海3
海里を宣言し、以後100年以上──1977年にわたって沿岸
3海里を領海としてきたのです。
現在は沿岸12海里が領海ですが、日本近海の国際海峡を特別
海域に指定し、今でも領海幅3海里を守っています。その国際海
峡とは、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡(東水道/西水道)、大
隅海峡の4つです。もし、12海里を主張すると、海峡のすべて
が領海になってしまうという他国配慮です。他の国では絶対にや
らない配慮です。日本人が主権や国益意識が希薄である証拠であ
るといえます。
しかし、時代が経つにつれて、漁業管轄権や海底資源の調査・
採掘権などが重視されるようになり、領海について国によってさ
まざまな距離が主張されたのです。多くは12海里でしたが、な
かには、200海里まで自国の領海であると主張する国が現れて
きたのです。そこで国連が中心になり、沿岸国の権利と自由通航
の確保を両立させるための条約制定会議が行われ、1982年に
定められたのが「国連海洋法条約」なのです。
この条約によって、沿岸国は沿岸の基線から、200海里まで
の範囲内で設定できるようになったのがEEZ──排他的経済水
域なのです。日本は、1977年に200海里漁業専管水域を設
定したのです。EEZはこのように生まれたのです。
── [日本の領土/04]
≪画像および関連情報≫
●EEZによって中国は永久に日本に太刀打ちできない
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中国国内のニュース記事で、ある政府機関経済研究所の研究
者が次のように発言していました。『中国は排他的経済水域
と領海が小さいので、このままだと中国は永久に日本に太刀
打ちできない。中国はあらゆる面において、日本に追いつき
追い越してアジアの盟主的地位を確立しなければならないが
日本の広大な排他的経済水域は、今後の中国にとって超える
ことが出来ない大きな壁となって立ちはだかることは確実で
ある』(意訳)日本の排他的経済水域と領海面積は中国の約
5倍となります。(中略)一方、中国の人口は日本の約10
倍、国土面積は日本の約26倍です。日本の一人あたりの排
他的経済水域と領海面積は、中国の約50倍もあるのです。
これからは、海洋資源の有無が国家の命運を左右するかもし
れない、中国の苦悩とあせりは、周辺海域で周辺国との摩擦
を引き起こしています。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n112970
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日本のEEZ