2012年10月01日

●「日本の領土問題について考える」(EJ第3397号)

 日本と中国の間が日を追って緊迫しています。中国の公船が何
隻も尖閣諸島の領海周辺の海域に常時居座っていて、ときどき日
本の領海内をゆうゆうと航行する状態が続いています。当然海上
保安庁の巡視船は中国の公船と並走し、「ここは日本の領海なの
で、領海の外に出なさい」と警告を発しますが、それ以上のこと
はできないことになっています。そのため、中国の公船は、なか
なか領海から出ようとしないのです。
 中国側も並走する海上保安庁巡視船に対して、「この海域は中
国の領海であるから、海上保安庁の船は出なさい」とアナウンス
を返しています。中国もここは中国の領海であると主張し、退去
を求めてきているのです。
 日本からみれば、完全な領海侵犯ですが、中国も同じことを主
張しているので、この状態が長期的に続くと、国際社会は、日本
と中国の間には領土問題が存在すると認識するでしょう。実はそ
れが中国の狙いなのです。
 日本は、「尖閣諸島は歴史的にも、国際法上も日本固有の領土
であり、領土問題は存在しない」という立場です。同じ島でも九
州や四国に領土問題が存在しないように、尖閣諸島も同様に領土
問題は存在しないといっているわけです。
 中国はそれを崩しにかかっているのです。国際社会に領土問題
が存在することを認めさせ、なし崩し的に島を占拠し、戦争をし
ないで取れるなら、このさい取ってしまおうと考えているようで
す。実に乱暴な話ですが、中国は間違いなくそれを狙っているの
です。実際に、フィリピンが同じ目に遭っているからです。
 「ウエッジ・インフィニティ/日本をもっと、考える」サイト
の次の記事を読んでください。
―――――――――――――――――――――――――――――
 2012年4月、スカボロー岩礁をめぐる対立が表面化した際
 中国はフィリピンのバナナ、パパイヤ、マンゴー、ココナッツ
 パイナップルの検疫を意図的に遅らせただけでなく、フィリピ
 ンへの観光も差し止めた。中国の思惑通り、フィリピン実業界
 は比政府に中国との対立を止めるよう懇願した。その後、中比
 間の緊張は緩和されたが、現在スカボロー岩礁へのフィリピン
 船の出入りは中国船がブロックしている。
          http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2160
―――――――――――――――――――――――――――――
 尖閣諸島についても、中国は同じことをやろうとしています。
こういう事態に対して、日本はどのように対処したらよいでしょ
うか。この問題は簡単に終わりそうもなく、日本もそれなりのハ
ラをくくる必要があります。
 そこで、今日からのEJは、新テーマとして領土問題を取り上
げることにします。
―――――――――――――――――――――――――――――
       日本の領土問題について改めて考える
        ── 尖閣・竹島・北方領土 ──
―――――――――――――――――――――――――――――
 尖閣諸島や竹島、それに北方領土はわが国固有の領土──耳に
タコができるぐらいそう聞かされています。しかし、それでは何
を根拠にそういえるのかと問われたら、答えられるでしようか。
これこれこうだから、尖閣諸島や竹島、北方領土は日本固有の領
土であるときちんと説明できるでしょうか。
 きちんと説明できる人は少ないと思います。これまで日本政府
は国際社会に対しても、日本国民に対しても、そのことについて
きちんと説明をしてきていないからです。
 ただ、固有の領土といいながら、尖閣諸島には人は住んでいな
いし、日本人は上陸すらできないのです。それに現在、竹島は韓
国に、北方領土はロシアに実効支配を許しています。それなのに
なぜ固有の領土なのでしょうか。取り返せないのでしょうか。
 このあたりのことを歴史的にも、少していねいに調べてみたい
と思い、これを今回のEJのテーマとしたのです。なぜなら、尖
閣諸島や竹島は、地図で調べると、中国や韓国が、これはわれわ
れの領土だと主張しても不思議はないほど、微妙な位置関係にあ
るからです。したがって、これが紛れもなく日本の領土であると
いう証拠というか、歴史的事実が必要です。
 尖閣諸島周辺での日本の海上保安庁の巡視船と中国の公船の諍
い──こんなことを続けていると、何かのトラブルで、戦闘行為
に発展する危険性があります。「尖閣沖海戦」は絵空事ではなく
十分あり得るのです。
 その場合、日本はどこまで戦えるのでしょうか。海上保安庁は
どの程度の実力を持っているのでしょうか。実戦経験のない海上
自衛隊は海戦でどのくらい戦えるのでしょうか。それに既に空母
まで保有している中国海軍の戦力は本当のところどの程度のもの
でしょうか。そして仮に尖閣沖海戦に突入したら、日本は、同盟
国である米国の支援は受けられるのでしょうか。
 このことについて、元防衛大学教授・孫崎亨氏は近著で将棋に
喩えて次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 将棋の盤面を考えていただければよいと思います。米国は王将
 です。この王将を守り、相手の王将をとるためにすべての戦略
 が立てられます。米国にとって日本は「歩」かも知れません。
 「桂馬」かも知れません。「銀」かも知れません。ときには、
 「飛車」だといってチヤホヤしてくれるかもしれません。それ
 は状況によって変わるのです。しかしたとえどんなコマであっ
 ても、国際政治というゲームのなかで、米国という王将を守り
 相手の王将をとるために利用されることに変わりありません。
 状況しだいでは見捨てられることもあります。王手飛車取りを
 かけられて、飛車を逃がす棋士はいないでしょう。一瞬のため
 らいもなく、飛車を見殺しにする。あたりまえの話なのです。
         ──孫崎亨著、『戦後史の正体』/創元社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
                 ── [日本の領土/01]

≪画像および関連情報≫
 ●尖閣:中国、日本の「領土問題は存在せず」に反発
  ―――――――――――――――――――――――――――
  【北京・工藤哲】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)につ
  いて「領土問題は存在しない」とする日本政府の公式見解に
  対し、中国が反発を強めている。中国側は9月28日、日本
  に対し領土問題を認めるよう公然と要求。日本から譲歩を引
  き出した後、問題を棚上げにすることで事態を沈静化する狙
  いとみられる。中国外務省の副報道局長は28日の定例会見
  で、「我々は日本に争いを認め、対話を通じて問題を解決す
  ることを強烈に促す」と述べた。問題解決の条件として初め
  て「日本側が争いの存在を認めること」を掲げた。同日開か
  れた中国国際問題研究所などが主催する会合でも「日本がま
  ず主権問題で争いがあることを認め、いわゆる国有化を撤回
  し、公務員を再び島に上陸させないという三つの条件が達成
  されて初めて1972年(国交正常化)、1978年(元最
  高実力者・ケ小平氏の『棚上げ』発言)の原点に戻ることが
  できる」(中国社会科学院の李薇・日本研究所長)などの意
  見が出た。副報道局長の発言は、こうした主張を公的に認め
  たものだ。    ──2012年9月29日付/毎日JP
  http://mainichi.jp/select/news/20120930k0000m030031000c.html
  ―――――――――――――――――――――――――――

日本の領海に侵入した中国公船.jpg
日本の領海に侵入した中国公船>
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本の領土 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
尖閣有史480年、チャイナ領有にかすりもせず。ご笑覽を。
八重山日報「馬英九閣下、尖閣史料ご提供」連載解説全六囘。
http://ishiwi.iza.ne.jp/blog/entry/2938241/
解説の元記事は、「清國史料、尖閣は國外」。
更にASEM楊ケッチ六百年發言潰し
「明國地圖、尖閣は國外」
八重山日報・尖閣頁より
http://www.yaeyama-nippo.com/%E5%B0%96%E9%96%A3%E8%AB%B8%E5%B3%B6/
ご覽下さい。もしくはヤフー等で檢索して頂いてもご覽になれます。

Posted by いしゐのぞむ at 2012年12月04日 22:25
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。