毎日取材し、少しでも面白い発言があると、それをニュースにし
て伝えています。きわめて異常な現象であると思います。
このようにメディアは、橋下氏をメディアに超露出させること
によって、意識的に時代の寵児につくり上げようとしているよう
に見えます。その一方で大手メディアは、橋下氏の考え方に反対
の人を少しずつ、慎重にメディアから外していっています。これ
について、政治評論家の森田実氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
マスコミはおそろしい存在です。マスコミは「無視する」とい
う武器を使うのです。マスコミはマスコミが気に入らない人物
や考えは無視して、報道しないのです。日本のマスコミは一枚
岩のように団結していますから、無視された人物や考えは、こ
の世に存在していないかのように扱われてしまうのです。マス
コミは、言論人を選別します。選ばれた人の考え方だけが世論
のように扱われるのです。 ──森田実著
『「橋下徹」ニヒリズムの研究』/東洋経済新報社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
森田実氏は、かつてはテレビの政治番組の常連だったのです。
しかし、森田氏は小泉郵政民営化をテレビで厳しく批判したこと
によって、大手メディアから相手にされなくなったのです。最近
では森田氏は大手メディアにまったく登場せず、ネットや一部の
夕刊紙などに評論を書いています。森田氏の述懐によると、「森
田実はもうこの世にいない」と思われていたそうです。
同じ政治評論家でも後藤謙次氏、鈴木敦夫氏、田崎史郎氏など
はほとんど毎日のようにテレビに登場しますが、それは基本的な
ところでマスコミの論調を守っているからです。彼らに共通して
いるのは、「反小沢」であることです。マスコミのウラには財務
省がおり、政治番組に出演する政治評論家をチェックしていると
いわれています。
橋下氏についての好意的なメディアの報道は、これから選挙に
臨む日本維新の会にとって大きなメリットがあります。選挙のな
いときならともかく、こういう報道のしかたには公平性の観点か
ら考えても、大いに問題があります。
橋下氏と対照的なのは小沢一郎氏です。小沢氏が新党「国民の
生活が第一」を立ち上げ、着々と選挙準備を積み上げているのに
メディアは完全に無視しています。そのくせ明日からはじまる小
沢氏の控訴審は、きっと大々的に取り上げると思います。小沢氏
にとってマイナスの報道は喜々として報道を行うのです。
さて、真偽のほどはまだわかりませんが、これまで維新の会の
政策を大阪市特別顧問として支えてきた中心スタッフ、脱藩官僚
の古賀茂明氏(経産省)、原英史氏(経産省)、高橋洋一氏(財
務省)の3人が、近く「集団離反」すると、9月20日発行の日
刊ゲンダイ紙は伝えています。一体何があったのでしょうか。
維新の会(日本維新の会と大阪維新の会)では、その合流者や
連携しようとする政党に対して、その綱領ともいえる維新八策に
完全一致しなければ組まないと明言していたはずです。それも公
開の場で徹底的に討論を行うことによって、価値観が一致すれば
合流を認めるし、連携するというのです。
しかし、最近の維新の会はその大原則から大きくブレはじめて
います。それは同会が、ほとんどの政策が一致しているみんなの
党との連携を拒否し、その一方において必ずしも政策が一致して
ない自民党の安倍元首相に接近していることが明らかになってか
ら、大きなブレになったといえるのです。
維新八策に盛られている政策は、憲法改正や地方自治法改正、
道州制の実現などを前提とするものが多く、しかも、その政策実
現までの工程表が一切ついていないのです。そのなかにあって、
次の2つは、その気になれば前進させられる政策といえます。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.増税法反対
2.脱原発政策
―――――――――――――――――――――――――――――
かつて維新の会は消費増税に反対を唱えていたはずです。20
11年1月26日、菅政権が消費税を含めた税制改革の検討を始
めたことについて橋下氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
まずは自分の所から身を削る姿勢を示さないと、消費税論議
を国民は支持しない。支持しちゃいけない
──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、消費増税に関しては、維新八策の最終版の第1策のな
かに「消費税の地方税化」として載っているだけです。最近では
増税は決まったことであるので、今さら議論しても仕方がないと
いっており、事実上消費増税を認めています。
脱原発政策──これは維新の会が最も力を入れていた政策のは
ずです。そのために橋下氏は、大阪府市エネルギー戦略会議を設
立して、原子力ムラ出身ではない優秀なスタッフによって、ここ
まで20回にわたって大阪市のエネルギー政策を検討してきたの
です。しかるに橋下氏は、突如原発容認姿勢に転じ、こともあろ
うに戦略会議まで中断してしまったことは、9月20日のEJ第
3390号で述べた通りです。それは維新の会のツートップが安
倍元首相と連携を組むことが原因であったようです。
安倍氏は原発政策では橋下氏のように関西電力との対決姿勢を
鮮明にしたり、再稼動に反対していないのです。それどころか、
安倍氏は脱原発が争点になった先の山口知事選において、原発容
認派の山本繁太郎候補(現山口県知事)を応援しています。しか
し、橋下氏は、その山本氏に対抗して立候補した脱原発の元大阪
市特別顧問の飯田哲也氏を応援せずに見殺しにしています。
こういう維新の会のツートップのブレに対し、大阪市特別顧問
のブレーンが距離を置き始めているのは、むしろ当然のことであ
るといえます。 ── [橋下徹研究/55]
≪画像および関連情報≫
●維新の会に距離を置きはじめた3人の橋下ブレーン
―――――――――――――――――――――――――――
古賀茂明氏、原英史氏、高橋洋一氏は、維新の会の「変節」
にかなり違和感を持っているようです。「脱原発」のエネル
ギー戦略会議が中止になってしまったことも大きい。消費増
税についても、橋下市長は「決まったことは受け入れる」と
容認してしまった。なにより、最近の維新は安倍晋三にラブ
コールを送ったり、改憲に熱心だったりと、改革派の「第三
極」というより、「第2自民党」のようになっている。さす
がに政策づくりに熱心な3人はついていけないでしょう」。
もともと3人はみんなの党のブレーンだったこともあって、
橋下新党とみんなの党がケンカ別れしたのをキッカケに、み
んなの党にシフトするだろうとみられていた。19日も「み
んなの党」が開いた勉強会に3人そろって参加している。
(霞が関関係者) ──9月20日発行の日刊ゲンダイ
―――――――――――――――――――――――――――
大阪市特別顧問の3氏


