2012年09月03日

●「議員定数半減は道州制導入が前提」(EJ第3378号)

 8月26日、橋下大阪市長は、松山市で開催した中村時広・愛
媛県知事との公開対談で、衆議院議員定数を現在の480人から
240人に半減させ、あわせて議員歳費と政党交付金の3割削減
を次期衆院選の公約にするという注目の発言を行ったのです。
 これに対して、民主党と自民党の両幹事長は次のようにコメン
トしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ◎二院制の憲法下で定数を半減して民意が反映できるのか。一
  気に半減はできないだろう。  ・・・ 民主党輿石幹事長
 ◎過疎地と都市部との配分をどうするのか、完全に1票の格差
  をなくすのか。詳細がわからない。 ・ 自民党石原幹事長
―――――――――――――――――――――――――――――
 この発言を聞くと、これら与野党の両幹事長が、橋下新党が実
現を目指そうとしている政策について、いかに勉強していないか
がよくわかります。
 この衆院議員定数半減には、「道州制が実現すれば」という前
提条件がつくのです。多くの人は、橋下大阪市長のやりたいこと
は、大阪府市を一体化させ、大阪都をつくること──このように
とらえていると思います。なかには、たかが一都市のことで日本
中が騒ぎ過ぎだと考えている人もいます。
 8月29日の参院本会議で、「大都市地域特別区設置法」が成
立しましたが、この法律は、橋下大阪市長が推進する大阪都構想
を実現するために不可欠な法律であり、かねてから橋下大阪市長
が求めていたものです。
 橋下氏は、当初この法案が成立しなければ、大阪維新の会を率
いて国政にうって出ると公言していたのです。既成政党側として
は、2011年の大阪ダブル選挙の大阪維新の会の勢いを恐れ、
法案を成立させて国政への進出は遠慮してもらおうという気持ち
もあって、大都市地域特別区設置法の成立に協力したのです。
 しかし、橋下氏は、大阪都構想を実現する要件が整うと、国政
への進出を断念するどころか、かえって当然のことのように、国
政進出の構えを強く見せています。唯一「自分は出馬に出ない」
といい続けているだけですが、それもやがて撤回するものと思わ
れます。ところで、道州制とは何でしょうか。橋下氏が何を狙っ
ているを知るには、道州制を理解する必要があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
 道州制とは、国、都道府県、市区町村となっている現在の国の
 構造を、既存の市区町村を再編した「基礎的自治体」、基礎的
 自治体の集合体である「道州」、そして「国」という三層構造
 にすることである。       ──高橋洋一著/中経出版
     『日本の「お金の流れ」を変える!大阪維新の真相』
―――――――――――――――――――――――――――――
 問題は、どうして道州制が必要なのかということです。それは
人口規模が1億人を超える日本ほどの規模の国になると、全国一
律で行政を行うのは困難であるというのが理由です。
 多くの日本人は日本の国を実際よりも小さくとらえています。
確かに日本の国土は狭いですが、人口規模でみると、日本は世界
有数の大国なのです。現在日本の人口は、1億2653万人で、
世界第10位です。
 それでは、どのくらいの人口ならマネジメントしやすいのかと
いうと、1000万人程度ではないかといわれています。欧州で
はその規模の国は多くあります。そのため、中央集権体制を廃し
日本を10〜12の道州に分けて、マネジメントしようというの
が道州制なのです。
 中国、インドに次いで世界第3位の人口規模を有する米国は、
「連邦制」をとっています。現在50の州があり、各州はアメリ
カ合衆国連邦とは主権を共有しながら、それぞれ独立した主体に
なっています。
 橋下氏は、大阪府知事に就任して大阪を改革しようとしたので
すが、主要な権限はすべて国が握っており、地方の首長がいくら
がんばっても肝心な改革は何もできないことがわかったのです。
そして、発したのが次の有名な語録です。
―――――――――――――――――――――――――――――
     ◎地方は国の奴隷。奴隷を解放してほしい
         ──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
―――――――――――――――――――――――――――――
 さらに大阪府の場合、府と市の関係がおかしく、似たようなこ
とを府と市の両方でやっていて効率が悪い。権限にしても、府よ
りも市の方が強い権限を持っていて府としてやれることに限界が
あるなど、数々の矛盾に気が付いたのです。地方の首長の立場か
ら国のあり方を考えてみて、そこに多くの問題点を発見し、それ
を解決する政策として、大阪都構想を打ち出したのです。
 この大阪都構想をさらに進めると、道州制の導入が現在の日本
には必要であることがわかったのです。道州制は、3ゲン──権
限、人間、財源を国から地方に移すことを意味するので、国とし
ては外交、防衛、安全保障、財政金融政策など、国にしかできな
い仕事だけを担うことになります。そうすれば、国としての仕事
は減るので、衆議院議員は現在の半分で十分というのが、今回の
衆院議員定数半減の橋下宣言なのです。
 しかし、道州制のような大きな問題は、そう簡単には実現でき
ない大問題です。にもかかわらず、それを実現する前提で橋下氏
は議員定数半減を打ち出したのです。選挙が近いので、衆目を集
めるための大胆な発言といえます。
 本来なら「道州制の実現」を公約として打ち出すべきですが、
それではあまりインパクトがないし、意味がわからない人も多い
ので、道州制が導入された成果のひとつである衆院議員定数半減
を訴えたのでしょう。これは、選挙対策としては効果的かもしれ
ませんが、誤解を招きやすい発言であることは確かです。
                 ── [橋下徹研究/40]


≪画像および関連情報≫
 ●地域主権道州制とは何か
  ―――――――――――――――――――――――――――
  道州制とは、全国を10程度の道州に再編し、国の役割を主
  に外交・安全保障などの対外的な仕事に純化し、産業や生活
  など内政に関わる仕事の大半を道州に移すというものです。
  なかでも「地域主権型道州制」とは国が内政全般に関与して
  きた中央集権体制を廃し、国、道州、基礎自治体(市町村)
  が明確な役割分担のもと、それぞれが独立した権限とみずか
  らの税財源をもつことで、地域が自由で独創的な活動をでき
  るようにするという「新しい国のかたち」を意味します。こ
  の「地域主権型道州制」は、単なる都道府県合併でもなけれ
  ば、国の出先機関を統合する国主導型道州制とも異なり、中
  央政府の解体再編と地域政府の確立を目指すものです。ただ
  し、アメリカのように各州が独自に憲法や軍を持つ連邦制と
  は違い、現行の日本国憲法の中で実現できる改革なのです。
  (続きを読む)
       http://research.php.co.jp/devolution/faq.php
  ―――――――――――――――――――――――――――

高橋洋一著/大阪維新の真相.jpg
高橋 洋一著/大阪維新の真相
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 橋下徹研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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