日のEJで、「小泉・竹中政治と同類」であるとする植草一秀氏
の説を取り上げましたが、今回は、政治評論家の森田実氏の説を
ご紹介します。
橋下氏の著書を読んでも、その政治信条が必ずしも浮かび上が
ってこないのです。森田実氏は、橋下語録にこそ資料的価値があ
るとし、語録から次の5つ政治的特色を抽出しています。
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1.憲法改正論者である
2.民主主義と独裁政治
3.競争原理重視主義者
4.選挙に対する考え方
5.公務員に対する態度
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第1は、橋下市長が「憲法改正論者である」ことです。
「橋下語録」から、憲法改正に関するものをピックアップする
と次のようになります。
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◎小泉元首相みたいなスーパーマンじゃないと、政権運営は
できない。大統領制は天皇制に反するので、憲法を改正し
て首相公選制を目指すべきだ
◎憲法9条は、自分が嫌なことはしないという価値観だ。自
己犠牲しないのなら、僕は別の国に住もうかと思う
◎首相公選制や参院廃止は国会議員は絶対認めない。既存の
仕組みでやってきた人は船中八策は受け入れられない
──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
──森田実著
『「橋下徹」ニヒリズムの研究』/東洋経済新報社刊
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これによると、橋下徹氏は明らかに憲法改正論者であると読み
取れます。憲法9条を改正し、首相公選制を実施し、参議院を廃
止するには、憲法改正が不可欠だからです。
第2は、「民主主義と独裁政治」についてです。
橋下語録から、民主主義と独裁政治に関するものをピックアッ
プすると次のようになります。
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◎今の日本の政治に必要なのは独裁。チェックするのは議会
選挙、メディア。このバランスのなかで政治は独裁しない
といけない
◎独裁政治にならぬよう民主主義がある。権力者が意思を通
そうとすれば、民主主義のコストとしてお金がかかる
──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
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これに対して森田実氏は、独裁的強権政治は百害あって一利な
しと批判しています。いま必要なのは独裁政治ではなく、調和と
合意の政治です。
第3は、「競争原理重視主義者」であることです。
ここでいう「競争原理重視主義者」は「市場原理主義者」のこ
とをいっているのだと思います。語録は次のものがあります。
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◎競争力が働いていない。競争力は僕の政治哲学だ。
◎僕は、競争を前面に出して規制緩和する小泉・竹中路線を
もっともっと推し進めることが、今の日本には必要だと思
っている ──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
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森田氏は、現在の日本の混迷と低迷は、競争原理重視の姿勢に
原因があるといっています。そして現在は競争至上主義を見直し
修正資本主義に移行すべきであると説いています。
第4は、「選挙に対する考え方」についてです。
選挙については多くの語録があります。ここでは、次の2つの
み上げておきます。これについて改めて取り上げます。
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◎今度の選挙は「政策選択選挙」だ。候補者が誰かなんてこ
とは重要じゃない。
◎選挙が全てじゃないと言われるが、民主主義の世の中で、
じゃあ選挙以外にどうやって物事を決めるのかといえば選
挙しかない ──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
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森田氏は、現行の小選挙区比例代表並列制についての反対論者
です。これによって日本の政治は劣化し、幼稚化し、政治家がチ
ルドレン化したと嘆いています。政策選択選挙ではなく、「人を
選ぶ」選挙にすべきであると主張しています。
第5は、「公務員に対する態度」についてです。
公務員に関しては語録は多くあります。これについても、改め
て取り上げるつもりです。
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◎僕はどういう理由があったにしても公務員は政治家の決定
に従わなければならないと思う
◎選挙に関与した(府市)職員は本当なら身分を失うところ
だ。選挙に負けたら全員クビ。仕事があるだけありがたい
と思わないといけない
──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
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森田氏は、政治主導は貫かねばなりませんが、それは公務員を
説得して行われるべきであり、強制や命令で動かすのは真の政治
主導にはならないと述べています。独裁的な強制や命令によって
軍隊的に公務員を働かせようとすることは、あってはならないし
正しいことではないと説いています。
―── [橋下徹研究/31]
≪画像および関連情報≫
●『橋下語録』/産経新聞出版:「まえがき」から
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「橋下さんって、本当はどういう人ですか」
私たちは、よくそうした質問を受ける。読者や有権者にして
みれば、常に橋下徹氏の身近で取材を続ける私たちは、何か
よほどの素顔を知っていると思われがちだが、実際にほ「よ
くわからない」というのが正直なところでもある。なぜか。
彼はほとんど裏表を見せないからである。有権者にしてみれ
ば、メディアを通じて見たまま、しやべったまま。取材者側
にしても、自論を述べたまま、質問に答えたまま、が全てで
あり、それ以上でも以下でもない。よく言えば、「本音の政
治家」、あえて言えば、膨大な「本音」を発信し続けるがゆ
えに、「本当は何が本音なのか」「本音の向こうが見えにく
い政治家」のような気もするのである。
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『橋下語録』/産経新聞出版
>8月20日 去年の動画ですが・・・
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3528399.html
政治的・経済的なことでぶつかっていても、いざ向き合ってみると人ってこういうことができてしまう。その壁をひょいっと超えてしまったりできる。
去年の動画ですが、今だからこそご紹介させていただきます。
動画のURL
>>http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=kXqWJNOAX8M
彼の行動力に感服します。
失礼します。
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