2012年08月08日

●「民主党の政策には2つの柱がある」(EJ第3360号)

 ここまで現在大阪市長の橋下徹氏がどういう人物かを探るため
に、彼の弁護士時代、タレント時代、大阪府知事時代のエピソー
ドのいくつかをご紹介してきました。今回からは、橋下徹氏が政
治家としてどういう信条を持つ政治家なのかについて探っていき
たいと思います。
 政治評論家の森田実氏は、橋下氏の発言語録を分析して、その
政治信条を探っています。その語録の1つは次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党が言ったことが実現しなければ、ことあるごとに「ウソ
 つき、ウソつき」とメッセージを発する。
           ──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは、橋下知事(当時)が、2009年8月28日、政権交
代が成し遂げられた衆院選の期日前投票を済ませた後、記者団に
対して発した言葉です。この言葉によると、当時橋下知事は、民
主党の政策を支持していたことになります。
 今や民主党のマニフェストといえば、選挙目当てで、できもし
ないことを並べた公約ということで散々ですが、その柱になって
いるのは、次の2つです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        1.脱官僚主導・霞ヶ関解体
        2. コンクリートから人へ
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党という党は、右から左まで幅広い政治家の集合体であり
そのため、いまだに党の綱領を作れないでいるのです。それがこ
の2つの柱にあらわれています。
 「脱官僚主導・霞ヶ関解体」は、長年続いている官僚主導の政
治を国民主導の政治に転換しようという主張です。経済の考え方
としては、自由競争や規制緩和による経済成長を重視し、そのう
えで福祉を充実させようという主張であり、基本的には新自由主
義に立脚しています。
 これに対して「コンクリートから人へ」は、日本の社会民主主
義者の主張であるといえます。つまり、経済成長よりも福祉を重
視するのです。そういう意味において、同じ社会民主主義の立場
に立つフランスとは、雇用と成長を重視する点で、日本の社会民
主主義者と異なっています。
 このように民主党という政党は、新自由主義者と社会民主主義
者の混成部隊なのですが、勢力関係でいうと、社会民主主義者の
勢力は弱く、新自由主義者が党の主導権を握っています。
 政治評論家の森田実氏によると、民主党に合流している社会民
主主義者は本物ではなく、現在では民主党の主流である新自由主
義者の予備軍化していると、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党の主導権は、新自由主義の立場に立つ松下政経塾出身者
 旧新党さきがけ出身者、旧日本新党出身者、旧新生党出身者が
 握っています。彼らは皆、米国共和党の手先のような政治家で
 す。今日では旧民社党系政治家も新自由主義の立場に立ってい
 ます。しかも社会民主主義の旧社会党の出身者は非常に軟弱で
 す。日本の社会民主主義者は、本来、社会民主主義者が強く主
 張すべき「雇用・成長」を主張しないのです。日本の社会民主
 主義者はホンモノの社会民主主義ではないのです。それゆえに
 日本の社会民主主義者はたやすく新自由主義の予備軍になって
 しまうのです。民主党は新自由主義者の政党なのです。
                       ──森田実著
     『「橋下徹」ニヒリズムの研究』/東洋経済新報社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 2009年8月に民主党が自民党から政権を奪取できたのは、
民主党のマニフェストの中身もさることながら、国民が自民党に
強い嫌悪感を持っていたからです。それを民主党の代表として先
頭に立って訴えたのが小沢一郎氏なのです。そのとき、一番強く
出ていた主張が、「脱官僚主導・霞ヶ関解体」です。これは、小
沢氏の政治信条そのものなのです。
 2003年(平成15年)の民由合併以来、小沢氏は、民主党
の一兵卒として、代表として、また選挙担当として、ひとつずつ
選挙を勝ち抜いて、自民党から民主党への政権交代を実現させた
のです。まさに政権交代の立役者なのです。もし、民由合併なか
りせば、民主党は与党にはなれなかったのです。この小沢氏の政
治信条と橋下徹氏のそれとは似ている点があり、これについては
改めて述べます。
 しかし、民主党の主流派は政権を取ると、小沢氏と距離を置き
「脱官僚主導・霞ヶ関解体」どころか官僚機構に屈服し、公約に
ない消費税増税をこともあろうに自民党や公明党と組んで、通そ
うとするに及んで、小沢氏を中心とするグループは、既に民主党
を離党し、「国民の生活が第一」党を設立させています。
 しかも、党を分裂させてまでして可決させようとした消費増税
法案も、自民党や公明党の出方によっては成立は風前の灯になっ
ています。もし、解散・総選挙になったら、民主党は、元の少数
政党に転落することは確実の情勢です。
 冒頭の橋下氏の語録は、民主党が勢いに乗って政権を奪取する
時点のものであり、民主党の掲げる「脱官僚主導・霞ヶ関解体」
に共鳴し、そこに期待したからこそ、ああいう表現になったと思
うのですが、それが失望に変わるのも早かったのです。
 民主党のマニフェストは、今ではすべて小沢主導で作ったとい
われていますが、そんなことはないのです。小沢氏には、民主党
生え抜きではないという遠慮があり、マニフェスト作成メンバー
の意見を十分に取り込んでいるのです。たとえそれが自らの主張
と違っていてもです。しかし、小沢氏は「脱官僚主導・霞ヶ関解
体」には強くこだわったのです。この点が橋下氏の主張に通ずる
ものがあるのです。       ―── [橋下徹研究/22]


≪画像および関連情報≫
 ●森田実の言わねばならぬ【1195】より
  ―――――――――――――――――――――――――――
  民主党の2009年総選挙マニフェストの中でマスコミがこ
  ぞって支持し支援した公約は「政治主導、脱官僚、霞が関解
  体」だった。総選挙に勝った民主党はさっそく「脱官僚、霞
  が関解体」に取り掛かった。ほとんどすべての中央官庁で、
  政務三役(大臣、副大臣、政務官)がすべてを取り仕切ること
  を宣言した。ある中央官庁では、大臣が事務次官、局長ら幹
  部の仕事をすべて取り上げてしまった。事務次官、局長は大
  臣の承認なしに行動することができなくなった。その上、天
  下りを全面禁止とする国家公務員法改正案が作成された。法
  案作成段階で一部手直しされたが、中央官庁内の空気は一変
  した。政治家の天下り批判に便乗したマスコミの反官僚キャ
  ンペーンが展開された。多くの官僚は使命感を減退させた。
  この改正案は廃案になったが、中央官庁のしらけた空気は元
  に戻ることはなかった。民主党は百数十名の国会議員を大臣
  副大臣、政務官として中央官庁に送り込み、官僚の仕事を奪
  おうと試みたが、中央官庁約30万人の官僚の仕事を百数十
  名の国会議員で請け負うことは、もともと不可能なことだっ
  た。民主党の指導者たちの考えはあまりにも幼稚だった。こ
  のため民主党政権になってから、行政は著しく停滞すること
  になった。
      http://www.pluto.dti.ne.jp/mor97512/C07143.HTML
  ―――――――――――――――――――――――――――

森田実氏.jpg
森田 実氏
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 橋下徹研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「にんげんをかえせ」

今日の長周新聞に峠三吉原爆詩集から三編の詩が掲載されていました。
それで思い出して蔵書のうちから峠三吉原爆詩集*を引っ張り出して読んでみると被爆直後の植民地化された日本が驚くほどすべてが今現在の日本の姿と生き写しです。詩人の鋭い感性に驚嘆落涙しました。

峠三吉原爆詩集 
>>http://www.aozora.gr.jp/cards/001053/files/4963_16055.html

*峠三吉原爆詩集 『すべての声は訴える』の完全版収録 

1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾により命を奪われた人、また現在にいたるまで死の恐怖と苦痛にさいなまれつつある人、そして生きているかぎり憂悶と悲しみを消すよしもない人、さらに全世界の原子爆弾を憎悪する人々に捧ぐ (峠三吉)   
序/八月六日/死/炎/盲目/仮繃帯所にて/眼/倉庫の記録/
としとったお母さん/炎の季節/すべての声は訴える など23編を収録
        発行・下関原爆展事務局  B5判 119頁 
>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/tougesannkitigennbakusisyuu111.htm  
Posted by 東行系 at 2012年08月08日 17:33
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