は次の10種類に及びます。
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1.尿毒症 6.ブライト病
2.リューマチ性熱 7.水銀中毒
3.結核 8.粟粒疹熱
4.甲状腺腫 9.脳の炎症
5.水腫 10.悪性チフス熱
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この中で死亡診断書に記述されているのは、「(急性)粟粒疹
熱」です。粟粒疹熱とは、高い発熱によって生ずる毛穴の炎症と
膨張であり、ある病気の結果生ずる症状のひとつであって、病名
ではないことは既に述べた通りです。
モーツァルトの謎の死と埋葬に新説を打ち出した『モーツァル
トとコンスタンツェ』の著者、フランシス・カーはモーツァルト
の死因について次のように述べています。
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提出された死因のひとつひとつを検査すると、その死因のすべ
てが、現われた症候と相いれない、ひとつあるいはそれ以上の
要素を含んでいることが確認できる。モーツァルトが示した症
候でわかっているものは、からだのむくみ、関節の炎症、熱、
頭痛それに嘔吐だけである。実際の死因は、肝炎でこじれた尿
毒症と充分考えていいかもしれない。患者が、モーツァルトの
ように、昏睡状態で死んだ場合、尿毒症は、医師がまず考える
と思われる5つの原因のうちのひとつである。
横山一雄訳『モーツァルトとコンスタンツェ』より
音楽之友社刊
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昏睡状態で患者が死んだとき、医者が考える5つの原因のうち
のひとつは「尿毒症」――他の4つの原因とは「脳卒中」「てん
かん」「外傷」「過剰な薬剤」の4つです。この最後の「過剰な
薬剤」がすなわち毒薬なのです。モーツァルトは、死の2時間前
に昏睡状態になっているのです。
要するに、これが原因であるという決め手がないのです。した
がって、ひとつの原因ではなく、いくつかの原因が重なった結果
ではないかとも考えられます。したがって、何らかの方法で毒薬
を飲まされていて、体力がなくなり、それにプラスして何らかの
病気――とくにリュウマチ熱を発症したとも考えられます。そう
なると、病死か毒殺かで白黒をつけることは困難になると思われ
るのです。
モーツァルトの死因について多くの医学関係者が指摘している
のは「リュウマチ熱」ですが、普通であれば成人がこの病気にか
かって急死することは稀なことなのです。しかも、モーツァルト
が35歳になってはじめてこの病気を発症した場合でないと、急
死は考えられないのです。ところが、モーツァルトは小さいとき
に少なくとも三度はこの病気にかかっており、免疫はできていた
と考えられるので、リュウマチ熱だけが原因で死亡した可能性は
きわめて低いといえます。
ここで、モーツァルトの担当医のクロセットやザラーバは、脳
での発症を危惧していたことを思い出していただきたいのです。
脳での発症とは、頭部における沈着、つまり「脳合併症」のこと
なのです。
クロセットもザラーバも、マクシミリアン・シュトルの門下生
ですが、シュトルは当時主流であった体液病理学の第一人者なの
です。体液病理学によると、リュウマチ性疾患によって頭部に何
らかの物質が沈着し、それが脳合併症を起こす可能性があること
を指摘しており、クロセットやザラーバがそれを疑ったのは当然
のことであるといえます。
ザルツブルグ・モーツァルティウムを卒業し、優れたピアニス
トでもあるアントン・ノイマイヤーは、同時に優れた内科医でも
あるのですが、彼はこれに関連して次のように述べています。
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ここで、当時主流であった体液病理学を思い起こしてみる必要
がある。それによれば、リウマチ性疾患の諸症状は、病因とな
る――今日なら毒性の、といわれるだろう――物質がさまざま
な器官組織へ沈着することによって生み出されるとされた。そ
のような物質のひとつが関節に集中して沈着すると、急性関節
リュウマチの、あのような症状があらわれるのである。
――アントン・ノイマイヤー著/礒山稚・大山典訳、『ハイド
ンとモーツァルト/現代医学のみた大作曲家の生と死』
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この場合、ノイマイヤーが沈着する物質にわざわざ「今日なら
毒性の、といわれるだろう」という注釈をつけたことは意味深な
ことです。モーツァルトが、かなり前から何らかの毒物を飲まさ
れていて、そういう毒性のある物質が脳に沈着した可能性をほの
めかしているのです。
モーツァルトの直接の死の原因は瀉血療法にあるという指摘を
する医師もいます。瀉血とは、人体の血液を外部に排出させるこ
とで、症状の改善を求める治療法のひとつです。体液病理学では
炎症性の疾患にこの療法をよく行うのですが、今日ではこの療法
は限定的にしか行われないのです。
モーツァルトには、体液病理学を専門といるクロセットとザラ
ーバという2人の医師が付いていたため、もちろん何回も瀉血療
法を受けていたことは確かであり、ゾフィーの手紙によると、最
後の晩もクロセットはモーツァルトに瀉血を行っているのです。
しかし、瀉血による血の喪失は、熱と発汗で衰弱していたモー
ツァルトに致命的な打撃を与えたはずであり、それが死への引き
金になったものと思われます。
モーツァルトの死因は、毒薬の投与とそれが頭部に沈着する病
気の合併症が疑われるのです。・・・・ [モーツァルト45]
≪画像および関連情報≫
・マクシミリアン・シュトルツ博士の治療法
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私の治療法は、以下のようなものであった。すなわち、必要と
あらば、あらかじめ瀉血を施した後で、多量の食塩水を与え、
次に催吐剤を投じる。これをときどき繰り返す。患者が嘔吐し
たら、体内を空に保つようにする。
――アントン・ノイマイヤー著/礒山稚・大山典訳、『ハイド
ンとモーツァルト/現代医学のみた大作曲家の生と死』
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