キャメロン首相の言葉です。本音です。しかし、EUの中心国の
首脳でありながら、何という発言でしょうか。日本にも心ない政
治家が多いですが、英国よ、お前もかという感じです。
ユーロ圏が停滞すれば、英国経済への打撃が大きく、金融セン
ターであるシティの基盤が揺らいでしまうのです。シティにとっ
てはユーロの存在は非常に重要なのです。この英国の首相は、日
本の野田首相と同じく、経済というものがまるでわかっていない
ようです。そのためか、いま英国の国内経済は大変なことになっ
ています。
英国は、自らを通貨統合義務を伴わない「オプトアウト」のポ
ジションに身を置いていますが、EUの中心国としてはあまりに
も無責任であるといえます。
結局、ユーロというシステムは作ってしまった以上、途中で抜
けることは許されないのです。ユーロには離脱メカニズムが用意
されておらず、離脱という選択肢はないのです。したがって、た
とえギリシャのような小国が離脱しても、ユーロ全体が崩壊する
事態になってしまうのです。
今年の3月8日にギリシャはデフォルトの寸前まで行ったので
す。そこで、ギリシャの債務を75%棒引きにしてまで守ったの
ですが、これは正解だったのです。いわゆる「秩序あるデフォル
ト」といわれるものであり、既に述べている通りです。
ジョージ・ソロス氏は、2011年9月15日付のレポートで
次のように述べています。まさに慧眼です。
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小国のデフォルト、もしくはユーロ離脱の可能性に備えて、そ
れに対処する仕組みを築くことは、それらの国を見捨てるとい
うことではない。それどころか、秩序あるデフォルト──他の
ユーロ圏諸国とIMFが債務を肩代わりするデフォルト──が
可能になれば、ギリシャやポルトガルはどちらの道をとるかを
選ぶことができる。そのうえ、現在ユーロ圏のすべての赤字国
を脅かしている悪循環──緊縮政策が成長の可能性を弱め、そ
のため投資家が法外に高い金利を要求し、それがこれらの国の
政府にさらなる支出削減を強いるという悪循環──を断ち切る
ことができる。 ──ジョージ・ソロス著/藤井清美訳
『ソロスの警告/ユーロが世界経済を破壊する』
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ジョージ・ソロス氏は、ユーロ危機を解決するためには、次の
3つの措置を行うべきであるとしています。
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1.銀行システムの改革と資本強化策推進
2.ユーロ参加国共同保証の共同債の発行
3.ユーロ離脱メカニズムの仕組みを構築
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第1の措置は「銀行システムの改革と資本強化策推進」です。
マーストリヒト条約では、救済基金は銀行を救済する権限がな
かったのです。それにEFSFはたとえ銀行に資本注入する場合
も、その国への融資として出すしかなかったのです。
ソロス氏は早くから、救済基金が銀行を直接救済できる権限を
持つべきであり、そのためには銀行の監督も行うべきであると提
案してきているのです。
しかし、これについては7月2日のEJで述べたように、6月
28日〜29日のEU・ユーロ首脳会議において、実現のメドが
立っています。
第2の措置は「ユーロ参加国共同保証の共同債の発行」です。
ユーロ圏共同債──これについてジョージ・ソロス氏は、次の
ように述べています。
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ヨーロッパにはユーロ圏共同債が必要だ。ユーロの導入は経済
の収欽を強化するとされていたが、実際には格差を拡大し、債
務や競争力のレベルに大きな差異が生じでいる。重債務国が高
いリスク・プレミアムを払わされたら、これらの国の債務は持
続不可能になるが、それが今まさに起きようとしているのであ
る。解決策は明白だ。赤字国が黒字国と同じ条件で債務を借り
換えられるようにすればよいのである。
──ジョージ・ソロス著の前掲書より
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このソロス発言の「赤字国が黒字国と同じ条件で債務を借り換
えられるようにすればよい」という部分は重要です。現在、ユー
ロ圏では、国債発行はばらばらに行われています。それをユーロ
として共同して発行できるようにしようということです。もちろ
ん共同債の発行には、いろいろ制限がかかるでしょうし、最終的
には金融政策に続いて、財務政策までも統合化することを意味し
ているのです。
共同債についてドイツ国民のほとんどは反対しており、メルケ
ル首相は、先日のEU首脳会議でも強行に反対を貫いているので
とてもすぐには実現できそうにないのです。
第3の措置は「ユーロ離脱メカニズムの仕組みを構築」です。
現在のユーロには離脱メカニズムはないので、たとえ離脱せざ
るを得ない国が出てきても、それによるユーロ全体への衝撃を制
御できないのです。したがって、その衝撃をできるだけ低くでき
るような離脱メカニズムを予め作っておくべきであるという提案
です。ソロス氏は、これについて次のように述べています。
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秩序ある離脱の仕組みがないなかでは、ユーロ圏共同債体制は
逃れようのない拘束力を持つものでなければならない。
──ジョージ・ソロス著の前掲書より
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―── [欧州危機と日本/65]
≪画像および関連情報≫
●ユーロ圏共同債についてのメルケル首相の見解
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[ベルリン/マドリード 27日 ロイター]メルケル独首
相は6月27日、下院で演説し、欧州首脳が新たな財政規律
で合意する以前にユーロ圏共同債の導入を求めているのは本
末転倒だと批判。「首脳会議では連帯債務に関する案に協議
が集中し、規制や構造政策に関する議論が軽視されるのでは
ないかと懸念している」と述べた。(中略)メルケル首相は
ユーロ圏各国がそれぞれの予算監督権の返上で合意するまで
共同債に関する検討はできないとの考えを明確に示し、「連
帯債務は十分な規制がなされた時に初めて可能になる」と述
べた。さらに、ユーロ圏共通債や債務償還基金などは、ドイ
ツで憲法違反となるばかりでなく、経済的に誤った、非生産
的なものだ、との見解を示した。
【フランクフルト時事】ドイツのメルケル首相は26日の連
立与党の会合で、ユーロ圏諸国が共同で発行するユーロ共同
債構想について、「(自分が)生きている限り」はあり得な
いとして、強く否定した。複数の独メディアが報じた。
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メルケル首相とユーロ共同債


